放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

英政府,デジタルラジオ行動計画を発表

イギリスの放送を所管する文化メディアスポーツ省は7月8日,デジタルラジオについての第1次行動計画を発表した。2015年のアナログラジオ放送の終了に向けて,終了する基準として,国民の50%以上がデジタルラジオを利用していることと,全国ネットのデジタルラジオがFMと同じレベルのカバー率を持つこと,ローカル向けデジタルラジオについては90%の人口をカバーし,すべての幹線道路をカバーすることを決定した。また,アナログ放送終了後のFM波は,事業の

採算性と聴取者のニーズがある限り,ローカルおよびコミュニティラジオのプラットフォームとして継続する。

英Ofcom,公共サービス放送の年次報告書を発表

イギリスの放送と通信を規制するOfcom(Office of Communications) は7月14日,BBCやITVなどによる公共サービス放送に関する年次報告書を発表した。それによると,各局による新作のテレビ番組制作への投資が 2008年から2009年にかけて6%減少し,2005年との比較ではBBCが13%,ITVなど商業テレビ全局では20%の減少が見られる。一方,公共サービス放送全体の視聴シェアは,2005年の58%から2009年には55%へ減少したが,これらのチャンネルに対して,63%の人々が高い評価を与え,2006年の58%よりも上昇した。

独公共放送,オンラインサービスの公共的価値承認

ドイツ公共放送連盟ARDは7月20日,加盟する各州放送協会の監督機関が,インターネットサービスに関する「3段階審査」と呼ばれる審査,計37件をすべて終了したと発表した。この審査は,2009年6月の放送法改正で定められたもので,公共放送は,提供しているすべてのインターネットサービスについて,法律に定められた公共サービス任務に合致するか,市場競争に悪影響を及ぼさないかを抜本的に見直さなければならないとされている。ARDによると,見直しの過程で既存のコンテンツ約10万件を削除した。

欧州委,伊Skyの地上デジ参入 条件付き承認

EUの欧州委員会は7月20日,イタリアの衛星有料放送Sky Italiaに課されていた反トラスト規制を一部撤廃し,地上デジタルプラットフォームへの参入を認める決定を出した。Sky Italiaは,2003年に誕生した当時国内唯一の有料放送事業者であったため,2011年末まで衛星以外のプラットフォーム運営や有料サービスを制限するなどの条件が欧州委員会により設けられた。しかし,イタリア政府が地上デジタル放送の5つの多重周波数帯(MUX)を近々新規入札させる方針を固めたことから,同社は市場の状況が変わったことを理由に,入札に参加できるよう欧州委員会に規制解除を要請していた。今回の決定で,Sky がMUXを落札した場合,5年間は無料で放送することを条件に運営が認められる。

伊Europa7,DVB-T2で地上デジタル有料放送を開始

1999年にアナログ全国免許を付与されながら周波数不足で放送ができずにいたCentro Europa7が,7月28日,ローマ市とその近郊で国内初となるDVB-T2 方式による有料放送を開始した。Europa7の周波数に関しては,欧州司法裁判所が2008年1月,イタリア政府に対して周波数割り当てを促す判断を出した。その後,所管当局との間で交渉が重ねられた結果,2010年4月に周波数割り当てで合意が成立し法的争いに決着がついていた。提供されるのは,無料の総合編成1チャンネルを含め,HDによる映画専門,成人向けなどの全10チャンネルで,サービス地域は今後順次全国に拡大される予定である。視聴には専用のセット・トップ・ボックスが必要で,8月2日から販売が開始される。

欧州機関,HbbTVの標準規格を認定

独仏を中心とした放送関連企業60社が参加するHbbTVコンソーシアムは7月1日,ETSI(欧州電気通信標準化機構)により,HbbTVの標準規格が認定されたと発表した。HbbTV(Hybrid Broadcast Broadband TV)は,インターネット接続機能を備えたテレビ受信機やセット・トップ・ボックスにより,テレビ放送とインターネットの境目のない利用を可能にするもので,標準規格の認定によって多くのメーカーの市場参入が可能となり,利用者の選択肢も増えることが期待されている。