放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

中国政府,グーグルの免許を更新

アメリカのネット検索最大手グーグルは7月9日,中国における事業の免許更新を中国政府から受けたことを明らかにした。グーグルは今年3月,中国政府による厳しいネット検閲に反発して中国市場からの“撤退”を表明,その後中国からのアクセスについてはグーグル香港のサイトに自動転送していた。しかし,6月末に事業免許が期限を迎えるなか,グーグルは方針を変更,中国政府の要求に基づいて「国家転覆や社会不安をあおるようなコンテンツの提供」を禁じた中国の法律の遵守に同意することで,免許更新にこぎつけた。ネットユーザーの間では,中国政府への妥協に失望する声がある一方,グーグルは中国の大手「百度」より良いと評価する声もある。

韓国,上半期の放送広告が 昨年比37.5%増と急回復

韓国放送広告公社(KOBACO)は7月7日,2010年上半期の地上放送広告費が昨年同時期比で37.5%増の1兆1,282億ウォン(約830億円)となったことを明らかにした。昨年は金融危機の影響を受け,広告費が激減したが,今年に入り,冬季オリンピックやワールドカップなどの大型スポーツイベントが集中したこともあり,全体的に回復基調へと向かったという。しかし,2008年の同時期比では96.5%,2007年比で94.8%の水準にとどまっている。

韓国,KCC新委員は市民運動出身の梁文錫氏

放送通信委員会(KCC)は7月16日,ヤン・ムンソク(梁文錫)氏を常任委員に任命した。これにともないヤン委員は同19日,KCCでの業務をスタートした。今回の就任は今年2月,野党推薦常任委員のイ・ビョンギ(李秉基)氏が任期半ばで辞任したのを受けたもので,野党民主党の推薦を受けたヤン氏は5月 19日,国会本会議で承認されていた。ヤン委員は全国言論労働組合政策委員,言論改革市民連帯事務総長,それに公共メディア研究所所長などを務めた人物である。また,イ・ミョンバク(李明博)現政権による放送界への圧力に対して批判を続ける野党や市民運動団体からは高い信頼を得ていることでも知られ,今後のKCCの政策決定には少なくない変化が予想される。ヤン委員の任期は2011年2月までである。

アフガニスタン,初の24時間衛星ニュースch誕生

アフガニスタンで最も人気の高いダリー語の商業テレビ局Tolo TVが,7月1日,同国初の24時間衛星ニュースチャンネルTolo Newsの試験放送を開始した。放送はダリー語とパシュトゥー語で行われており(ダリー語が主),SESAT2(別名Express AM22)衛星を通じアジア・ヨーロッパ・北アフリカに配信されている。ダリー語はペルシャ語圏地域で広く通じ,パシュトゥー語も近隣諸国に使用人口が多く,同チャンネルが視聴対象とする人口は1億6,000万に達すると言われている。Tolo TVはアフガニスタン最大のメディア企業Moby Groupが所有しており,同グループはパシュトゥー語のテレビ局Lemar TVも所有している。

サウジアラビア,アラビア語ニュースch新設計画発表

サウジアラビア有数の資産家Al-Walid bin Talal王子が運営するKingdom Holding社は,7月6日,アラビア語の新たな24時間ニュースチャンネルを「間もなく」立ち上げると発表した。チャンネル名は未定だが,代表には5月まで日刊紙Al-Watanの編集長を務めリベラル派のジャーナリストとして知られるJamal Khashuqji氏が就任することが決まっている。同チャンネルはAl-Walid王子が所有するテレビ・映画制作会社Rotanaから独立したチャンネルとしてサウジアラビアやアラブ世界の政治・経済・社会の発展に焦点を当てた放送を行うとしている。アラビア語の汎アラブ・ニュースチャンネルには Al-JazeeraやAl-Arabiyaが既に地歩を築いており,新チャンネルは激しい競合の場に参入することになる。

イラク,衛星TVニュース局が自爆テロの標的に

サウジアラビア資本によるアラビア語の汎アラブ衛星ニュースチャンネルAl-Arabiyaのバグダッド支局が,7月26日,車を利用した自爆テロの攻撃を受け,少なくとも警備員ら4人が死亡,20人近くが負傷した。治安当局はアルカイダ系武装組織による犯行との見方を示している。同局は過去にもアルカイダの標的となったことがある。