放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

米で世界初の24時間3Dチャンネル開始

米衛星放送大手ディレクTVは,7月1日,世界で初となる1日24時間放送の3D専門チャンネル「n3D」の放送を開始した。日本の大手電機メーカー,パナソニックとの提携によるもので,映画専門チャンネルとビデオ・オン・デマンドの2つの3D専門チャンネルも同時に開設された。パナソニックはこれらのチャンネルのスポンサーとなるほか,技術面で全面支援する。米国では家電メーカーが3Dテレビの販売に力を入れており,ソニーも米国で来年3D放送を始めると発表している。

ボリビア,地デジ規格で日本方式採用

ボリビア政府は,7月5日,地上デジタルテレビ放送の規格として日本方式(ISDB-T)の採用を決定したと発表した。7月20日,日本との協定に調印したデルガディージョ公共事業相は,ブラジルで一部変更が加えられた日本方式は,アメリカや中国,ヨーロッパの方式よりもボリビアに適していると述べた。海外での日本方式の採用は,これで10か国(ブラジル,ペルー,アルゼンチン,チリ,ベネズエラ,エクアドル,コスタリカ,パラグアイ,フィリピンおよびボリビア)となった。

民間サイト,アフガン戦争の米機密文書を公開

アフガニスタン駐留米軍や米国の諜報機関の活動内容が記された7 万点以上の機密文書が,7月25日,政府や企業などの内部告発情報を公開するウェブサイト「ウィキリークス」によって公表された。米紙ニューヨーク・タイムズによると,機密文書によって,パキスタンの情報機関がアフガニスタンのイスラム過激派組織タリバンを援助していることや,NATO軍の誤爆によって多くの市民が死亡しているが発表されていないことが明らかになったという。ウィキリークスが入手した機密文書は2004年から2009年末にかけてのもので,公表されなかったものも含めた総数は9万点以上に上る。これについて,ジョーンズ米大統領補佐官は,「機密情報の暴露は米国と友好国の国民の生命を危険にさらし,安全保障も脅かされる」と非難している。

アマゾン,最安値のKindle発売へ

米アマゾン社は7月29日,これまでの電子書籍リーダーの中で最も安い139ドルのKindleを8月末に発売すると発表した。3代目となる新 KindleはWi-Fi 対応のみで,以前の2機種に比べて小型軽量で,画面も鮮明で読みやすくなっている。電子書籍用端末は,アマゾン,ソニー,大手書店バーンズ&ノーブルの製品に,アップルのiPadが参入して売れ行きが大きく伸びており,年末商戦の目玉のひとつになると見られている。2007年にKindleが登場した時には399ドルだった価格も,3 年足らずで半分以下になるなど価格競争が激化している。

下院議員48人,FCCへ自制求める意見書提出

FCC が3月に発表した『全米ブロードバンド計画』について,7月30日,連邦下院の48人の議員が共同で,FCCのジェナカウスキー委員長に対し,計画実施のための規制や法律作りについては,議会での審議を優先するべきだとして,FCCの独自の活動に自制を求める意見書を送った。全米にブロードバンド網を整備するため,FCCは放送局が使用していない周波数帯域を徴収することなどを検討しており,FCCの権限強化の動きに対しては放送事業者などから反発の声が出ている。

ホワイトハウス記者席,Fox Newsが最前列に

ホワイトハウス記者会は8月1日,UPIのヘレン・トーマス記者の指定席だった会見場の最前列中央の席にAPの記者が移り,AP 記者席だった最前列の席に2列目からFOX Newsの記者が移ることを決めた。89歳の名物記者トーマス女史は,ユダヤ人に対して侮辱的発言をしたとして6月に引退しており,その席をめぐり,FOXやブルームバーグニュース,NPR(全米公共ラジオ)が移動を希望していた。FOXについては,報道内容が右派に偏っているとして市民グループなどが反対していたが,記者会はFOXの長年の報道活動を考慮して,中央ではないが最前列にするという折衷案をとった。