放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

韓国,世界初の地上波DMB本放送が始まる

首都圏の地上波DMB(デジタル・マルチメディア放送)免許を持つ6社(地上放送局3社,非地上放送局3社)のうち4社が,12月1日,本放送を開始した。DMBは携帯電話など移動体向けの放送で,衛星DMBが有料なのに対し地上波DMBは無料サービスとなっている。地上波DMBの本放送を開始した地上放送局のKBS,MBC,SBSは,サービスの名称としてU KBS(Uはユビキタスの頭文字),myMBC(myはmobile&youngの略称),SBS●(●は"○"の中に"U"の文字)をそれぞれ使用している。U KBSは,テレビ2ch(U KBS StarとU KBS Heart),ラジオ1ch(U KBS Music),データ放送1ch(U KBS Clover)で構成されている。地上波DMB視聴用の携帯電話端末機はすでに開発されているが,移動通信各社が収益性の問題で流通を保留しており,携帯電話による視聴は当面は困難な状況にある。

韓国,地上テレビの昼午後の放送12月から可能に

韓国ではこれまで,地上テレビの放送時間は原則的に午前6時から正午までと午後4時から翌日午前1時までの1日15時間に制限されていたが,放送の規制監督機関である放送委員会は,11月9日,地上波DMB(デジタル・マルチメディア放送)の本放送が始まる12月1日以降,正午から午後4時まで地上テレビ放送を認める決定を下した。深夜1時から早朝6時までの時間帯については,昼間の放送時間延長の運用結果を総合的に検討した後改めて討議するとしている。地上テレビの放送時間拡大にはケーブルテレビや衛星放送,新聞などの各業界や一部市民団体が強く反対していた。

中国,2007年後半に直接受信用放送衛星打ち上げ

中国長城工業総公司と中国衛星通信集団公司は11月9日,「中星9号」と名づけた直接受信(DTH)用の放送衛星を2007年下半期に打ち上げる協定に調印した。中国では現在,衛星放送の直接受信は原則として禁止されているが,中国独自の衛星が打ち上げられた後は直接受信が認められる予定で,今後ケーブルテレビやインターネットを利用したIPTVとの競争が激しくなると関係者は予測している。

香港の地上テレビ局,地上デジタル方式決定時期を前倒し

香港の地上テレビ局,TVBとATVは11月24日,2007年中に開始することを義務づけられている地上デジタル放送の技術方式について,決定時期を当初予定の2006年末から半年前倒しすることを明らかにした。TVBやATVでは,経済上のメリットを考え,中国が開発を進めている独自方式の決定を待つ方針を示してきたが,TVBの総支配人は「もし中国が2006年6月末までに方式を決めない場合,我々はヨーロッパのDVB-T方式を採用する」と述べた。

インド,FM放送事業への外資規制を緩和

インドでは地上放送事業への外資参入は20%まで認められているが,外国法人による直接投資(FDI,Foreign Direct Investment)やインド国内に居住していないインド人(NRI,Non-Resident Indian)による投資などは禁止されてきた。しかしインド政府は,11月17日,FM放送事業についてはFDIやNRIによる投資を含めて20%まで外資の参入を認めると発表した。背景には,インドでは商業FM放送局の免許料金が高くて,政府が期待する程その数が増えず,促進を図るには外資の規制をある程度緩めざるを得ないとの判断がある。この決定を受け,早速BBC WorldやドイツのDWなどが強い関心を示している。

NZの有料TVスカイ,地上無料TVを買収

ニュージーランドの有料放送最大手スカイ・ネットワークが,地上無料テレビのプライムTVを3,026万NZドル(約24億8,000万円)で買収することになった。スカイは衛星と地上UHF帯を使った有料テレビで,ニューズ・コープが所有。全国テレビ保有世帯の約45%にあたる58万件の契約数があり,この数年で視聴率,収入とも地上放送に迫る成長を遂げた。一方,プライムはオーストラリアのメディア富豪ケリー・パッカー氏が所有する地上テレビで,番組の大半はオーストラリアのチャンネル9の再送信をしている。