放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

FCC,2007年に全テレビにデジタルチューナー義務づけ

FCC(連邦通信委員会)は2005年11月3日,これまで対象外だったポータブルテレビなど13インチ以下も含めすべてのテレビに,2007年3月1日から地上デジタルチューナーの内蔵を義務づけることを決めた。アメリカでは2004年8月以降段階的に大型テレビからチューナーの内蔵を義務づけているが,これまでは13インチ以下のテレビは対象外となっていた。NAB(全米放送事業者協会)は地上デジタル放送の普及を促進する動きとして,同日,歓迎の声明を出した。

米NBC,メインニュースをインターネット配信

NBCは,同社の夕方の看板ニュース番組『NBCナイトリーニュース』のインターネットへの無料配信を2005年11月7日から始めた。NBCのサイトで当日のニュース,そして当日以前の一週間の放送分も見ることができる。配信は当日夜10時からで,これは西海岸との時差を考慮し,すべての系列局がテレビ放送を終えてからサービスするためである。ニュースの無料ネット配信は,すでにCBS, ABC, CNNなどが本格的に開始している。各社はニュースの各冒頭に15秒~30秒の広告を入れ広告収入の拡大を目指している。

米CBS,NBCが人気番組をオンデマンド販売へ

CBSとNBCは11月7日,人気番組のオンデマンド販売を2006年から始めると発表した。CBSは2006年1月からケーブルテレビ最大手のコムキャストのビデオオンデマンドサービスで,『CSI』など4つの人気番組を1本99セントで販売する。コムキャスト加入者は放送1週間以内ならいつでも購入できる。一方NBCは,衛星放送最大手のディレクTVで『The O? ce』などの人気番組をやはり1本99セントで販売する。ディレクTVの加入者がこのサービスを利用するためには,同社のデジタル録画機を購入しなければならない。通常の放送とは別にデジタル録画機へ有料配信することで擬似「オンデマンド」サービスを行うものである。

米タイムワーナー,往年のドラマをネット配信へ

米タイムワーナーは11月14日,往年の人気テレビ番組をインターネットに無料配信するサービスを傘下のAOLとワーナーブラザーズが共同で始めると発表した。「In2TV」と名づけられたこのサービスは2006年1月にも開始される。ワーナーブラザーズが保有する『Beetlejuice』『Lois&Clark』など往年の人気ドラマを中心に,最終的には1万8,000回分の番組が配信されることになる。番組には30分ごとに 1~2分のスポットCMが入り,その広告収入で運営される。

ABC『ナイトライン』のアンカー,コッペル氏退任

ABCの深夜ニュース『ナイトライン』のアンカーテッド・コッペル氏が,11月22日の放送を最後に退任し,ABCニュースを離れた。今年65歳になるコッペル氏は,1963年にABCニュースの記者となり,1980年から放送が開始された『ナイトライン』のアンカーを初回から務め,これまでに41のエミー賞を受賞している。2002年初め,ABCの経営陣が同じ時間帯のCBSのトークショーの司会者を引き抜いて娯楽組化しようと画策し,強い批判を受けて撤回するなど存続を危ぶまれた時期もあった。氏は,2004年4月末,イラク戦争で死亡したアメリカ兵の名前を番組の時間すべてを使って読み上げ,賛否両論を巻き起こした。同番組は今後,複数アンカーで複数トピック制となる。

アルジャジーラの英語チャンネル,アメリカで契約難航

カタールの衛星放送局,アルジャジーラは2006年初め,これまでのアラビア語チャンネルに加え英語チャンネルを開始するが,アメリカのケーブルテレビや衛星放送との再送信契約交渉が難航している。同放送局は9.11テロの首謀者とされるビンラディンの映像やイラク戦争での被災者の映像を放送するなどアメリカ政府に敵視されてきた。同放送局は英語チャンネルはより世界的な視野を持つと説明しているが,当面,デトロイトなどアラブ系アメリカ人の多い地域で浸透を図る戦略だ。