放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

05.03.01韓国,放送委員会が地上波DMB6社を選定

韓国放送委員会は,3月28日,地上波を使って携帯電話などの移動体向けに映像,音声,データなどの放送サービスを行う地上波DMB(デジタル・マルチメディア放送)事業者6社の選定結果を発表した。申請を出していた10社のうち選定を受けたのは,地上放送事業者グループからKBS(韓国放送公社)と MBC(文化放送),SBS(ソウル放送)の3社,および非地上放送事業者グループからはYTN DMBと韓国DMB,KMMBの3社。

選定を受けた事業者は,4月中に放送委員会の許可推薦と情報通信部の周波数使用許可を受け,地上放送事業者各社は5月中に,非地上放送事業者各社は今年下半期に本放送を開始すると見られている。

懸案であった,衛星DMBに地上放送番組の再送信を認めるかどうかについては結論が見送られた。

05.03.01台湾公共テレビ,“総統侮辱”の歌放送で陳謝

台湾の公共テレビが3月27日の深夜に放送した音楽番組の中で,有名歌手の羅大佑氏が陳水扁総統を批判する「緑色テロ分子」と李登輝前総統を批判する「阿輝(李登輝氏のこと)が一匹の犬を飼う」という二曲の歌を歌った。これに対し李前総統を精神的リーダーと仰ぐ政党の台湾団結連盟が強く反発,記者会見を開いて公共テレビに陳謝と関係者の処分を要求した。公共テレビの関係者によると,羅氏は以前から他の商業テレビでこの歌を歌っていて問題にならなかったことや,羅氏の歌手としての影響力の大きさを考え,「芸術表現の一つ」として放送に踏み切ったという。政界からの批判を受けて公共テレビの胡元輝社長は,「公共テレビ法に個人の人格・尊厳を尊重するという規定がある」として,陳総統と李前総統に対して陳謝した。一方,野党側からは「芸術表現や言論の自由」を理由に公共テレビは陳謝すべきでないとの意見も出され,公共テレビでは4月中に幅広い関係者の意見を聞く座談会を開くなどして今後の放送のあり方を検討することになった。

05.03.01タイ,ネットと連動のVODサービス本格運用へ

タイ国内の固定電話を手がけるTOT(旧電話公団)と携帯電話最大手のAIS(Advanced Info Service)の合弁会社ADC(Advanced Data network Communications)は,3月24日,インターネットとビデオ配信が連動したサービスを開始した。TOTの固定電話加入者を対象に去年から準備を進めていたもので,パソコンでインターネットを利用しながら,セットトップボックスを設置したテレビで映画やスポーツ,音楽番組などのVOD (Video On Demand)サービスが楽しめる。

インターネットの利用料金は月額650バーツ(約1,780円)で,ビデオ番組は視聴した番組ごとに5~50バーツを支払う。加入時には,加入料金100バーツとモデムとセットトップボックスのレンタル保証金2,000バーツが必要となる。首都圏や主要都市を対象エリアとしており,今年は8万人,2年後には20万人の利用者を見込んでいる。

05.03.01マレーシアの第2有料TV,6月開局の見通し

衛星放送アストロに次ぐマレーシア第2の有料テレビとなるMiTVが,6月中にサービスを開始する模様だ。放送開始までに50以上のチャンネルを確保する予定。3月下旬で決定済みのチャンネルは,言語別で中国語チャンネル15,マレー語11,タミル語10など,中国語放送に力を入れている。MiTVはすでに,北京語ニュースや娯楽番組の24時間放送,中国CCTV-4と番組提供契約を結んでいる。

05.03.01豪ABC,第2の地上デジタルチャンネル開始

オーストラリアのABC(オーストラリア放送協会)は,3月7日から地上デジタル放送の第2チャンネル「ABC2」の放送を開始した。ABC2は,地上アナログのデジタルサイマル放送である「メインチャンネル」の時差放送のほか,子ども番組や若者向けのドラマ,ドキュメンタリー,芸術科学番組など独自番組も放送する。放送は1日13時間。ABCは2001年の地上デジタル放送開始と同時に,デジタル専用の「ABC Kids」と「Fly」の2チャンネルを放送していたが,2003年6月,財政難を理由に両チャンネルとも休止,今回はメインチャンネルの補完的役割をするABC2を発足させた。