放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

05.03.01子供のメディア利用の実態調査発表

保健医療慈善団体のカイザー財団は,3月9日,アメリカの子供達(小学校3年生~高校3年生,2,032人)のメディア利用行動に関する調査結果を発表した。これによるとテレビや活字メディア,音楽など従来のメディア利用の時間は減らすことなく,パソコンやテレビゲームなどの新しいメディアに費やす時間を増やしていることが分かった。これは複数のメディアを同時に使うようになっているため。メディアごとの 1日平均利用時間は,テレビ:3時間51分,音楽鑑賞:1時間44分,パソコン:1時間2分,テレビゲーム:49分,読書:43分,映画鑑賞:25分などとなっていた。子供の 3分の 2 は自室にテレビを所有し,自室にテレビのない子と比べて 1日1時間半長くテレビを見ている。また 80%の子供はテレビ視聴について親が何もルールを設けていないことが分かった。

05.03.01FCC,85局のDTV開始延期を承認

FCC は 3月10日,全米の 85 テレビ局のデジタル放送開始延期を承認した。85局の内訳は商業放送40局と公共放送45局。このうちの 82局はデジタル放送のための施設建設ができない正当な理由があると認められたが,残る 3局は正当な理由がないとして,1年以内にデジタル放送を開始しないとデジタル放送の免許を取り消されることになる。アメリカでは商業局は 2002年5月までに,公共放送局も 2003年5月までにデジタル放送を開始しなければならないことになっていたが,今回延期を認められた 85局を含め,189局がまだ開始できていない。

05.03.01コムキャストとTiVoがDVRサービスで提携合意

ケーブル最大手のコムキャストは 3月 15日,デジタル録画(DVR)サービス大手の TiVo 社と提携合意に達したと発表した。この合意によってコムキャストは,向こう 7年間,DVR サービスで TiVo 社と提携し,TiVo はコムキャスト向けのソフトを開発する。主要マーケットに新サービスが導入されるのは 2006年半ばになる見込みである。300万世帯の加入者を持つ TiVo は,これまで通信大手のディレク TV を通して多くの利用者を獲得してきたが,ディレク TV は現在別サービスへの移行を進めている。全米に 2,200万世帯の顧客を持つコムキャストは TiVo にとって強力なパートナーになる一方,コムキャストとしては,TiVo のサービスを取り入れることでデジタルサービスの販促を狙う。

05.03.01FCC次期委員長に現委員のマーチン氏指名

3 月16日ブッシュ大統領は,FCC の次期委員長に現 FCC 委員のケビン・マーチン氏(38歳,弁護士)を指名した。マーチン氏はブッシュ大統領の 1期目の選挙や民主党からの政権移行チームで働いた後,FCC の委員になっており,パウエル委員長が進めてきた規制緩和路線を継続するものとみられる。マーチン氏は就任早々,テレビ放送のデジタル移行,メディアの集中に関する規則の再検討,インターネット電話サービスへの対応等の重要課題に直面することになるが,「アメリカの消費者がこれからも世界最高のコミュニケーションシステムの恩恵を享受することができるための仕事を楽しみにしている」という声明を発表している。

05.03.01衛星ラジオ両社,大手自動車メーカーと提携強化へ

米有料衛星ラジオ放送の XM 衛星ラジオとシリウス衛星ラジオ両社は 3月23日,それぞれ大手自動車メーカーとの提携を発表した。XM によると,米国で販売される韓国のヒュンダイ(現代)自動車のすべてに 2006年から XM 受信機の工場装備を開始する。米国で販売するモデルのすべてに衛星ラジオを装備する決定をした自動車会社はヒュンダイが初めてで,2007年には,ヒュンダイの XM 受信機搭載車は 70万台に上る見通しという。一方シリウスによると,米フォード社が 5月から同グループのランドローバーやジャガーの高級車種にオプションとしてシリウス衛星ラジオの受信機を装備する。またメルセデスベンツも順次工場での搭載を強化していく。加入者は XMが 3月末現在で377万人,シリウスが 04年末現在で 124万人。