放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

05.03.01英デジタルテレビ,約60%に普及

イギリスの放送と通信の規制機関であるOfcom(Office of Communications)は3月30日,2004年12月末現在でデジタルテレビが全世帯の59.4%(1,477万3,881世帯)に普及したと発表した。内訳は,衛星デジタル放送のSky Digital契約が約726万世帯,ケーブルデジタルが約250万世帯,地上デジタルのFreeviewは約460万世帯,衛星デジタルの無料放送受信世帯約38万5,000世帯。

05.03.01英BBC,リストラ案を発表

BBCは3月21日に,ニュースやドラマなどテレビとラジオによる国内放送サービスの制作要員数を2007年度末までに2,050人削減することを発表した。また,3月10日には,経営計画や人事など管理間接部門の要員数を1,730人削減することを発表しており,BBCは,合計3,780人のリストラと業務運営の見直しによって年間約3億5,500万ポンド(約705億円)の経費節減を見込んでいる。このリストラ案は,2006年に予定されている特許状の更新を目指し,前年(2004年)12月に発表した構造改革案に沿った効率化の具体策である。

05.03.01仏地上デジタル放送,3月31日開始

フランスの地上デジタル放送が3月31日の18:00に開始された。各局は1月17日以来受信テストのためパリで実験放送を順次開始してきたが,ラファラン首相が出席したセレモニーの後,正式に放送を開始した。パリなど17地点の送信所から放送され,人口の35%がカバーされる。放送を開始したのは5つのマルチプレックスで,現行アナログ放送7チャンネルを含めた14の無料チャンネル(F5とARTEは地上アナログ放送では同じチャンネルで時間を分けて放送されていたが,それぞれ独立した)。有料放送のカナル・プラスも,無料放送の時間帯は視聴できる。地上デジタル放送の有料チャンネルの放送開始は9月に予定されており,人口のカバー率は50%となる。

05.03.01伊AGCOM,RAIとMediasetに罰金

イタリアの独立規制監督機関AGCOMは3月8日,公共放送RAI,ならびに商業放送Mediasetの事業統括会社RTIと広告会社 Publitalia ’80の3社に対して,2001年-2003年の3年間,テレビ広告市場の支配の上限を定めた「1997年放送法」に違反したとして,合計6,500万ユーロ(約87億7,500万円)の罰金を科す決定を行った。この決定は,「97年放送法」が,一つの事業者による広告市場の支配の上限を30%としていることを受けたもの。RAIとMediasetは,この決定を不服として,行政裁判所に訴えると発表している。

05.03.01独,放送に関する州間協定第8次改正法施行

ドイツ各州の放送法の共通原則と位置づけられる「放送に関する州間協定」の第8次改正法が,4月1日から施行された。この改正で,公共放送の受信料額が,テレビ・ラジオ併用の場合で月額0.88ユーロ値上げされ,17.03ユーロとなった。また,ラジオやテレビを持たない世帯や企業でも,放送を受信できるパソコンや携帯端末を持つ場合には,1台分の受信料を徴収される。ホテルの客室のテレビの受信料は,これまで一般世帯の支払額の50%とされていたが, 51室以上を備えるホテルに限って75%に引き上げられた。このほか,各州の公共放送協会のテレビとラジオのチャンネル数は,2004年4月1日の時点の数を上回ってはならないとする条項が新たに設けられた。

05.03.01欧州評議会が共通マスメディア政策で決議

ヨーロッパ46か国が加盟する欧州評議会は,3月10日と11日にウクライナの首都キエフでマスメディア政策に関する閣僚会議を開き,加盟国のマスメディア政策の指針を明示した決議と「行動計画」を採択した。決議は,各国の公共サービス放送が果たすべき役割として,社会的結束,文化的多様性の反映,すべての人がアクセスできる形での複数の視点の提供を期待した。また公共サービス放送事業者のサービスは,さまざまなプラットフォームを通じて自由かつ普遍的に提供される必要があると指摘された。「行動計画」は,公共サービス放送がデジタル環境の中で発展するために必要な法的,財政的,技術的諸条件を欧州評議会の場で研究するとしている。