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『ブギウギ』茨田りつ子とそのモデル・淡谷のり子との共通点

『ラジオでも「ブギウギ」!』ただいま聴き逃し配信中!(3月25日(月)午前11時まで)
  • 2024年03月21日

NHK青森放送局では3月17日(日)に『ラジオでも「ブギウギ」!』を放送しました。番組の中から一部内容を抜粋して紹介します。

<配信期間:3月25日(月)午前11時まで>

読むらじる」でも番組内容をご覧になれます!

※ここをクリックすると「読むらじる」のページが開きます。

<ゲスト>  
太田原慶子さん(青森県立郷土館 学芸員)  
三野亜沙子さん(淡谷のり子のいとこ)  
井上裕太さん(弘前学院大学 文学部 日本語・日本文学科 講師)

<番組進行>  
北向敏幸アナウンサー(NHK青森放送局)

写真左から:井上さん、北向アナ、三野さん、太田原さん

茨田りつ子の 淡谷のり子に似ているところ

北向アナウンサー(以下、北向アナ) 今日は『ラジオでも「ブギウギ」!』と題して、午後4時まで連続テレビ小説『ブギウギ』にまつわる様々な話題をお送りします。

北向アナ 三野さん、ドラマの茨田りつ子と淡谷のり子とで、似ているところって何かありますか?  
三野さん 私はりつ子さんが、「下品ね」って言うところ、あそこそっくりだと思いましたね。

三野さん それでそれに関係してなんですけど、(りつ子を演じた)菊地凛子さんのお話の中に、普段、のり子さんが会話する時はなるべくこう、喉を痛めないような形で会話するっていうふうにおっしゃってて、さすが役者さんっていうのはすごい所まで考えて演技なさってるんだなと思いました。  
北向アナ 淡谷のり子をじっくりとちゃんと研究した上で、調べた上で演じてるんだっていうことですね。  
三野さん そうだと思います。ええ。(のり子さんは)普段やっぱりちょっと低い小さな声で話す人でしたから、そう思いました。

淡谷のり子の人柄が見える戦時中の出来事

北向アナ みなさんからいただいたメッセージの中で、特攻隊員たちの前で『別れのブルース』を歌うシーンが印象に残ったというメッセージがとても多かったんです。

『ブギウギ』第14週(66)では、りつ子が鹿児島にて特攻隊員のために歌った

北向アナ これはモデルとなった淡谷のり子の実体験が元となっています。三野さん、このシーンはいかがですか。  
三野さん この場面っていうのは、ある意味のり子さんの全てが出ているというふうに思いました。(彼女は)こうと思ったら決して譲らない強さっていうのが目立つのですけれども、やはり大切に愛されて育てられた人ですから、のり子さんには本来の、とても純でやわらかいところがあって、それはちょうどここの場面で現れたんだというふうに私は思うんです。強さとやわらかさと両方が出た、大変印象的な場面でした。  
北向アナ やわらかさですか。何かこう、情の深さっていうのを感じましたよね。  
三野さん そうですね。  
北向アナ 太田原さん、このシーンを見ていていかがでした。  
太田原さん 郷土館で以前行った展示会の最中に、このような体験の話のお手紙が寄せられたんですね。  
(淡谷のり子さんに)特攻隊の人たちに向けてということではなくて、戦場から傷ついて戻ってきた人たちのために、ぜひ歌ってほしいっていう(お願いをした)ことを経験して、その中で歌ってもらったっていう思い出を父親が書いたものがある、というような話がお手紙として郷土館に送られてきまして。それが展示会をやった私にとって、すごくいい思い出になっていて、学芸員として博物館として展示会をやったっていうことの反響っていう意味で、今も宝物として大事に持っているお手紙があります。  
北向アナ それはお手紙はあれですか、今手元にあったりします?  
太田原さん そのお父様が書かれた原稿とそれからその息子さんが送ってきたお手紙、「郷土館「淡谷のり子展」担当者様」っていうことでお手紙頂いて。その書いたお父様の履歴っていうか写真とかですね、こういう(ものです)。  
北向アナ 海軍の服ですね。  
太田原さん そうですね。(そのお父様は)薬剤医官という薬剤師の専門の方なんだけれども、こういう軍関係の病院で活動しててっていうことで。淡谷のり子展やってるっていう郷土館にお手紙を出したいと思って出しました、ということで頂いたお手紙が本当に私の宝物になっています。  
北向アナ けがをした兵隊のために、のり子に慰問に来てほしいということを、その手紙寄せた方のお父さんがされたという。  
太田原さん そうですね。お父様がそうやってのり子さんところに歌ってほしいって言って。でものり子さんからは「絶対、私は軍のところで歌わない」って最初突っぱねられたって書いてあって。それでもやっぱりどうしても歌ってほしいということで、このお父様がのり子さんに説明をして、そうしたらのり子さんが分かりましたということで来てくれました。っていうそういう思い出を書いて残していたという事を、息子さんから私たちに宛てられたお手紙です。  
北向アナ その時、本当に実際にのり子が来てくれてうれしかったでしょうね。

淡谷のり子の曲がヒットした背景

ー淡谷のり子が歌う『別れのブルース』『雨のブルース』を聴いて  
北向アナ 井上さん、この曲が発表されたのは戦時色が濃くなっている時代ですよね。  
井上さん はい。そうした時代なので、今の『別れのブルース』のような寂しげといいますか、そういった曲っていうのは逆に国内では大々的に宣伝できなかったという事情があるんですね。じゃあどこで人気になったかというと、当時出征していた満州の兵隊さんなんです。その間で(人気に)火がつきましてそれが日本国内に逆輸入されて、ヒットにつながったというふうに言われているんですね。  
北向アナ 当時の満州にいた兵士たちの間で流行した。それが日本に来たということなんですね。  
井上さん そうですね。  
北向アナ ただこれなかなか、自由に歌えないっていう時代もあったようですよね。  
井上さん そうですね。慰問先に言ってもなかなか歌えないし、歌わないようにというような圧力もあったんですけれども、逆に慰問先の兵隊さんたちの間で求められたのはこういった歌だったっていうのもありますね。やっぱりそういった人々の心を捉えるのは、こういった本当に人間の心をそのまま歌ったような歌なんじゃないかなと思います。


17日放送の番組では、このほかにも『ブギウギ』脚本家の一人、足立紳さんに聞く青森ことば指導の裏側や、淡谷のり子が後年よく歌ったフランスの歌謡曲・シャンソンについての特集、さらに淡谷のり子と作曲家・服部良一(『ブギウギ』羽鳥善一のモデル)と音楽学校時代の恩師との対談の音源をお送りしました。  
全編はぜひ、聴き逃し配信でお楽しみください!

<配信期間:3月25日(月)午前11時まで>

番組でお送りした曲

前編  
『東京ブギウギ』  
 歌:福来スズ子(趣里) 作詞:鈴木勝 作曲:服部良一 編曲:服部隆之  
『別れのブルース』  
 歌:茨田りつ子(菊地凛子) 作詞:藤浦洸 作曲:服部良一 編曲:服部隆之  
『センチメンタル・ダイナ』  
 歌:福来スズ子(趣里) 作詞:野川香文 作曲:服部良一 編曲:服部隆之  
『雨のブルース』  
 歌:茨田りつ子(菊地凛子) 作詞:野川香文 作曲:服部良一 編曲:服部隆之  
『大空の弟(ブギウギ ver.)』  
 歌:福来スズ子(趣里) 作詞:村雨まさを 作曲:服部良一 編曲:服部隆之  
『ラッパと娘』  
 歌:福来スズ子(趣里) 作詞・作曲:服部良一 編曲:服部隆之

後編 ★歌:淡谷のり子  
『別れのブルース』★  
 作詞:藤浦洸 作曲:服部良一  
『雨のブルース』★  
 作詞:野川香文 作曲:服部良一  
『野球シャンソン』★  
 作詞:菊田一夫 作曲・編曲:奥山貞吉  
『青い部屋』★  
 作詞:サトウハチロー 作曲・編曲:服部良一  
『東京ブルース』★  
 作詞:西條八十 作曲・編曲:服部良一  
『ラ・セーヌ』★ ※BGMとして  
 作詞:フラヴィアン・モノ 作曲:ギー・ラフォルグ 訳:佐伯孝夫 編曲:松井八郎  
『聞かせてよ愛の言葉を』★  
 作詞・作曲:ジャン・ルノワール 訳:佐伯孝夫  
『愛の讃歌』★  
 作詞:エディット・ピアフ 作曲:マルグリット・モノー 訳:坂口淳 編曲:松井八郎

『雨のブルース』  
 歌:青森県立青森西高等学校 合唱部のみなさん 作詞:野川香文 作曲:服部良一 編曲:桜田直子  
『別れのブルース』  
 歌:青森県立青森西高等学校 合唱部のみなさん 作詞:藤浦洸 作曲:服部良一 編曲:桜田直子

<配信期間:3月25日(月)午前11時まで>
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