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青森山田 投打に隙見せずセンバツ初勝利へ

  • 2024年03月19日

 

3 月 18 日、甲子園球場で開幕したセンバツ高校野球。
去年秋の東北大会王者、青森山田高校は8年ぶり3回目の出場です。
これまでの2回はいずれも初戦敗退で、今回悲願のセンバツ初勝利を狙います。青森山田高校のチームの特徴をまとめました。

勢いにのって

青森山田高校野球部の名物は「トレーニングアップ」と呼ばれる、練習の最初に行う部員全員で声を出し合いながらのトレーニング。
チームの一体感、そして練習の勢いを作り出します。

開会式で選手宣誓の大役も務めた橋場主将はチームをこう評します。

橋場公祐 主将
「自分たちが勢いにのれば、攻撃も守備もとてもいいリズムで進める。そういった意味で初戦がすごく大事になってくる」

「中学日本一」がチームの土台

チームの土台となっているのは、中学時代です。
付属の青森山田中学は3年前、硬式野球のリーグで日本一になりました。
翌年も優勝し、そのメンバーが高校に進学して現在のスタメンの半数ほどを占めています。

青森山田中学 中條純 監督
「体力的な土台を作るという意味でも、中学校のカテゴリーは大切。野球の技量や戦術の基盤を作ってあげるという意味ではすごく大事な3年間だと思う」

青森山田高校 兜森崇朗 監督
「これまでも中学の段階で優勝した経験をもって高校に入ってきた選手はいなかったわけではない。ただ、今回はひとつの日本一チームがまるごと入ってきている。そういう部分ではチームの中で大きな軸になっている」

投手陣の軸 ライバル関係のダブルエース

最速146キロ右腕 関浩一郎投手

エースナンバーを背負う関浩一郎投手の武器は、187センチの長身から投げ下ろす最速146キロのストレートとスライダーやカーブのコンビネーションで、相手に的を絞らせない投球が特長です。
関投手は付属中学出身ではないものの、高校で球速を15キロほど伸ばして頭角を現し、去年秋の東北大会では準決勝で完封勝利をし、チームをセンバツに導きました。

関浩一郎 投手
「試合で勝てるピッチングをするために、ひとつひとつの球種のレベルを上げていったり試合感を大事にしてこの冬も取り組んできた。」

“ノーヒットノーラン男” 櫻田朔投手

そしてもうひとりのエースが、櫻田朔(さく)投手です。
中学日本一の時の胴上げ投手でもある櫻田投手は、伸びのある最速145キロのストレートを軸に気持ちを前面に出して相手を圧倒していく投球が特長です。
東北大会では決勝のマウンドに立ち、“打の光星”とも言われる八戸学院光星高校を相手にノーヒットノーランを達成しました。

櫻田朔 投手
「自分はまっすぐに自信をもっている。入学したときからみんなの目標は甲子園優勝」

ダブルエースで切磋琢磨

関投手と櫻田投手、2人はお互いに意識しあいながらともに力をつけてきました。

関浩一郎 投手
「櫻田投手は、試合の相手以上に負けたくない相手でもあります。ただ、気持ちの部分、負けん気の強いところは自分も見習わなければいけないところです」

櫻田朔 投手
「関投手は、ライバルとして、自分を成長させてくれるいい存在だと思っています。ひとつひとつのボールの質もそうだが、練習に取り組む姿勢も学ぶところが多い」

打撃陣の軸 1番と4番

脅威の出塁率 佐藤洸史郎選手

打撃の鍵を握るのはチームの切り込み隊長、1番バッターの佐藤洸史郎選手です。俊足でパンチ力もあり、なんといってもファーストストライクから思いきり振れる積極性が特長です。
去年秋の公式戦では10試合中、1打席目の出塁率がなんと7割。1年生ながらチームを引っ張りました。

佐藤洸史郎 選手
「1打席目の勝負強さが自分の武器だと思っています。ヒットだけでなくフォアボールとか相手のエラーを誘って、とにかく出塁することを意識して打席に入っています」

得点圏打率6割近く 原田純希選手

そして佐藤選手をホームに帰すのが、4番 原田純希(あつき)選手です。秋は10試合で12打点を稼ぎ得点圏打率は6割近く。勝負強さをみせました。

青森山田が秋の10試合で初回に“得点できなかった”のは、わずかに1試合。佐藤が出塁して原田が返すパターンで初回から得点を重ねました。

“バランスが良いチーム” 初勝利の先へ

兜森崇朗 監督
「投打に軸がしっかり決まっている分、周りの選手の役割もはっきりしていて。そこがチームの強み。非常にチームのバランスが良くなっている」

悲願のセンバツ初勝利、そしてその先を目指します。

橋場公祐 主将
「いろいろな方からの応援の言葉もいただいて、すごく勝ちたい、負けたくないという気持ちがより一層強くなっている。チームとして大きな目標は優勝」


取材後記
意外にも8年ぶりのセンバツ、夏をあわせても7年ぶりの甲子園となる青森山田。今回打線ではキーマン2人を紹介しましたが、下位打線が爆発して点を取る試合もあり、取材を進めれば進めるほど、投打に隙の少ないチームだという印象を受けました。
練習中の雰囲気も良く、付属中学出身組と高校入学組がお互いを刺激し合い、認め合い、橋場主将の選手宣誓でいうところの「唯一無二の仲間」たちがひとつのチームとしてまとまっているように思えます。早く全国の高校野球ファンにこのチームを見て欲しい気持ちでいっぱいです。

  • 諸冨泰司朗

    記者

    諸冨泰司朗

    2019年入局。青森局で、橋場主将の出身地の青森県むつ市の支局などを経て、現在県政など担当。中学・高校では軟式野球部に所属するとともに、地元が甲子園から自転車で15分ほどの町で、子どもの頃は毎年高校野球を見に行っていました。

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