WEBリポート
  1. NHK
  2. 首都圏ナビ
  3. WEBリポート
  4. 舘ひろしさんインタビュー 新作「あぶない刑事」など続々出演 “創”り続ける73歳

舘ひろしさんインタビュー 新作「あぶない刑事」など続々出演 “創”り続ける73歳

  • 2024年1月4日

いまも第一線で映画やドラマに大活躍の俳優、舘ひろしさん。
8年ぶりの新作が話題の「あぶない刑事」シリーズや、人気漫画が原作の「ゴールデンカムイ」など、今年も注目作に続々と出演予定です。

作品作りになみなみならぬ情熱があるという舘さんに、転機となった作品や、仕事で大切にしているモットー、若い世代への思いなどについて聞きました。

2024年 作品も自分も“創”りたい

新年を迎えるにあたり、今年の抱負を一文字で書いてもらうと…

舘ひろしさん
「私は創ることが大好きなので、今年は映画も創っていきたいし、いろいろなものを創っていきたい。私自身も創っていきたいと思っています」

ハードボイルドな役を演じ続け ダンディーの代名詞に

今年8年ぶりに新作が公開される「あぶない刑事」シリーズ。横浜を舞台にした刑事アクションドラマで、舘さんの代表作のひとつです。

バディの柴田恭兵さんとの軽妙なかけあいや、ド派手なアクションで人気を集めてきたこの作品。70歳を超えてのハードな撮影に、率直な感想を聞いてみると…。

「大変ですよ、やっぱりハアハア言いますし、走れと言われてもそんなには走れませんし。今回のあぶない刑事はなんとか参加するのに必死で、周りも見ていられなかったという感じです。年を取ったわりにはよく頑張っているなというところが見所ではないかと思います」

照れ隠しのように見所を語る舘さん。1986年の連続ドラマのスタートから38年もの間、愛されてきた秘訣はいったい何なのでしょうか。

「あの当時1980年代だと思うんですが、刑事ドラマはずっと悲壮感を持って進んでいくっていう、その悲壮感を全く否定したのがこの作品だったんですね。
僕はいつも文化的大事業と呼んでいるんですが、とにかく本当に新しいスタイルで、ファッショナブルで、それがずっと今のあぶない刑事まで続いているのが秘訣じゃないでしょうか」

「あぶない刑事」をはじめ、数々の作品でハードボイルドな刑事役を演じてきた舘さん。実は、幼い頃から大好きな映画を参考に演じているのだそう。

「『007(ダブルオーセブン)』の『ロシアより愛を込めて』は僕のなかのバイブルだったりするんですね。あのショーン・コネリーの動きだとか、『ゲッタウェイ』のマックィーンの動きとかを、結構コピーしています。

いまの『ドクター・ノオ』(※「007」シリーズの一つ)ね。昔は、殺しの番号っていったんですけど。それを中学校のとき、おやじに連れられて見に行って、すごくかっこいいと思ったんです。僕は、たぶん映画ってあれだなと思ったの。

他に好きな作品って『ゴッドファーザー』もあるんですけど、僕らが目にしない世界を引っ張りだして、エンターテインメントにして見せるっていう。きっと映画ってこれかなという気がしますね」

“勇気”をもって ダンディーからの転換

「西部警察」や「あぶない刑事」など数々の作品を経て、クールでダンディーなイメージを確立した舘さん。しかし近年では、定年後の居場所を探す情けない役や、仕事に悩み惑う役などを表現豊かに演じています。
転機となったのは、今から15年ほど前。60歳を目前にしたころに、役が広がるきっかけとなった作品に出会いました。

「『パパとムスメの7日間』(TBSテレビ)という、僕が女子高校生になっちゃうという作品が、たぶん俳優人生のなかで結構大きな割合を占めるというか。

最初お話をいただいたとき、石原プロからは絶対やらないほうがいいと言われたんです。方程式としてきっとそれまでハードボイルドの僕を見ている、僕はそういう役が多かったものですから刑事役みたいな、そういう(作品のファンの)人はきっと見ないだろうと。

でも、視聴者になる若い女子中高生は、僕がほしかったマーケットで、そういう人たちが見てくれるだろうと思って。その方程式が解ければ、あとはやるべきだという論理と、あとやる勇気があったんでしょうね」

56歳の舘さんが演じることになったのは、高校生の娘と人格が入れ替わる父親。覚悟を決めて、これまでとは180度異なる陽気でおちゃめな若者像に挑みました。そして、女子高校生の微妙な動きも徹底的に研究したといいます。

「とにかくね、高校生を見るとずっと観察して、どういう風に動くんだろうとかね。だからね、『久しぶり』ってやるシーンがあって、高校生を見ていたら、必ず胸を前にやるんですね。それで『久しぶり~』ってやるんですね。こういうことをすごく研究してやりました。それはそれで楽しかったです。

あのドラマをやったあとから高校生に『キャー!舘!』とかって言われて、呼び捨てにされちゃって、そこにざばーってすごく集まって、女子高生というか女子中学生とか、すごく支持されているんだなという、それはそれでうれしかったですね」

一方で、従来のイメージが壊れることでファンが離れる、そんな心配は本当になかったのか。さまざまな役をやる上で、ダンディーなイメージが損になることもあったのではないかと聞いてみると。

「きっと自分の得になるとか、損得じゃないかなっていう気がするんですね。結果的にたぶん自分が得するっていうのは人が決めることで、人に支持されないと。自分がやりたいものとか、自分がこうすればこうなるとか計算できるものでもないし。それは自分のなかで、うーんこれはやんないほうがいいと思っても、やるべきだと」

2021年 石原プロ解散に伴い事務所を立ち上げ

現場では明るく楽しくをモットーに

確立したイメージにとらわれず、新たな役に挑戦し続ける舘さん。その原動力はいったいどこから生まれてくるのでしょうか。

「みんなと一緒にこう、ひとつのものを作っていくその過程のなかで参加するのがすごく好きというか。ものを作っていくのが好きなんです。
自分の芝居もできればうまくなりたいとは思うんですけど、“芝居をすごく”というタイプではない。作品のひとつのシーンのなかで、自分の居場所を探してそこにいくというか。

だから、他の人の芝居を見ているとうまいなあとか思いながら、自分を見ると、うーんまだまだだなあって、そう感じるんですねやっぱり。“できあがったら終わっちゃう”のかなというのはありますね。それとも理想が高いのかな、自分の。身の程知らずというか」

いまや撮影現場では、ほぼ最年長。誰よりも経験豊富な舘さんですが、若者からも学んでいるのだといいます。

「やっぱり若い俳優さんは、若いというだけですばらしいですよね。持っているものとか、かなわないです。だからそこから学ぶものとかありますし、若い俳優さんを横目で見ながら『ああ、そうか~』とか。

現場で一番大事にしているのは、みんな仲良く明るく元気に。昔は怒号がとんだりする撮影現場もあったんですけど、ああいうのはあんまり好きじゃないですね。僕はみんなで楽しく物作りをしている感じが好きです。

現場の雰囲気が楽しくて、前向きで元気っていうのは、やっぱり画(え)に出ると僕は信じてるんですね。誰かが押さえつけたような現場だと、押さえつけられたような画になるというか。ですから、みんなが楽しくやったほうがいいじゃないですか」

舘ひろしさんインタビューを、1月5日(金)午前7:45から「おはよう日本(関東甲信越)」で、午後6:00から「首都圏ネットワーク」で放送する予定です。

NHKプラスでは、同時・見逃し配信を全国からご覧いただけます。
おはよう日本(関東甲信越)はこちら(1月12日午前8:00まで)
首都圏ネットワークはこちら(1月12日午後7:00まで)

ページトップに戻る