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有吉弘行 紅白歌合戦2023司会 上島竜兵さんへの思い胸に インタビュー全文

  • 2023年12月27日

有吉弘行さんが、橋本環奈さん、浜辺美波さん、高瀬耕造アナウンサーとともに、NHK紅白歌合戦の司会を務めます。司会が発表されたとき、有吉さんは、2022年に亡くなった上島竜兵さんのことを思い浮かべていました。

「うれしいことがあったら、必ず上島さんが電話をかけてきてくれたので」

不遇時代の有吉さんの支えだった上島さんの言葉。2022年の紅白にゲスト出演したとき、ステージでこみあげた思いなど、紅白の放送を前に聞きました。

時の人から一転… 居場所だった『竜兵会』

1994年にお笑いコンビ「猿岩石」を結成し、民放の番組「進め!電波少年」のヒッチハイク企画に出演して大ブレイクした有吉さん。

歌手デビューも果たし、「白い雲のように」がミリオンセラーの大ヒット。一躍、時の人となりました。

しかし、人気が続かず仕事は激減。食べることもままならない状況に陥ったといいます。

有吉弘行さん
「全く仕事がなくなったような状態で、何ならもう芸人をやめなきゃいけないかな、という状態でしたね。

なるべくお金を使わないようにしていました。当時はごはんを食べると言っても1日1食、スーパーの見切り品を買って自炊しているような状態でした」

不遇の時代を支えてくれたのが、同じ事務所の先輩芸人、ダチョウ倶楽部でした。

左から有吉弘行さん ダチョウ倶楽部・上島竜兵さん 肥後克広さん

上島竜兵さんの呼びかけで始まった『竜兵会』。東京都杉並区・東高円寺などの飲食店に芸人たちが集まり、毎日のように朝まで飲み明かしました。

「事務所のみんなのつながりが薄かったので、上島さんが『僕らも一致団結していかなきゃいけない。先輩も後輩もなく、一緒に集まってごはんを食べよう』と提案してくださって。

上島さんのところに行って、ごはんもいっぱい食べるし、お酒もいっぱいごちそうになるという感じでした。1週間連続、一緒にお酒を飲んだりとか。待ち合わせの電話をしなくても、お店に行けばいつも上島さんはいるし、僕もいる。

僕の家は、お店から結構離れていたんですよ。電車で行くとお金がもったいないので、大体歩いて行っていたんですけど、歩くと40分ぐらいの道のりでしたね。で、帰りはタクシー代をいただいて、タクシー代は懐に入れたら、また歩いて帰るという状態でした」

竜兵会には、上下関係がありませんでした。友人同士のように大騒ぎする日々。有吉さんは、先輩芸人に対しても、容赦なくツッコミを入れていたといいます。

「上島さんも肥後克広さんも、松村邦洋さんも、大先輩ですけど、僕が何を言っても怒らなかった。僕が『バカ、アホ』と言っても、ツッコミで頭をたたこうが、お尻をたたこうが、『いいぞいいぞ』『どんどんやれ』とおっしゃっていました。

きついことを言えば言うほど、笑って面白がってくれていたので、じゃあもっと、もっとという感じはありましたね。

大概もうみんな酔っ払っていて、昨日何やってたんだっけっていう。で一番冷静な土田(晃之)さんが全部、映像を撮っていて、次の日、『こんなひどいことが行われていたのか』というのが、大体みんなの定番でしたから。

先輩に恵まれていると思います。普通だったら、注意されて『ほどほどにしとけよ』とか言われると思うんですけど、全くそういうことはなかったですね。

放送作家の高田文夫先生も、その様子を見て、『有吉いいぞ、いいぞ。有吉もそろそろ売れるぞ』というふうにおっしゃってくれて、雑誌に書いてくださったりとか。

僕の行動がエスカレートしていたので、初めて来る人たちは結構びっくりしたんじゃないですかね。カンニングの竹山さんは初めて来たとき、『上島さんに対して失礼すぎやしないか』とおっしゃっていました(笑)」

有吉さんを奮い立たせてくれた上島さんの言葉

苦しい日々を送る有吉さんをひときわ気にかけていたのが、亡くなった上島竜兵さんでした。

有吉弘行さん
「もう感謝しかないです。僕が全く仕事がないときでも『お前は大丈夫だ』って、言ってくださっていましたね。シラフのときも、酔っ払ったときも。

僕のためによく泣いてくださっていたなというのが思い出ですね。僕がだめだったときとか。『仕事で先輩にこんなこと言われて悔しかったんです』というと、『そりゃだめだな、悔しいな』って泣いてくれました。すごくうれしかったです。

上島さんは『何でお前、面白いのに売れないんだろうな。悔しい』とよくおっしゃってくれたので、この人のために頑張ろうと思っていましたね。『ほらな、俺が言っていたとおりだろ。有吉すごかったんだぞ』と言ってもらえるように、頑張ろうかなと思っていました。ずっとね。

このことは上島さんには、面と向かって言わなかったかもしれません。そういう関係ですからね。売れるようになってからも『もともと僕すごかったですから。もう随分差が開いちゃいましたね、上島さん』というような話はしていましたね」

『竜兵会』は芸人生活の青春時代

竜兵会の中心メンバーのひとり、ダチョウ倶楽部の肥後克広さん。上島さんや有吉さんと過ごしたあの時間は、かけがえのないものだったといいます。

肥後克広さん
「竜兵会にルールは別にないんでね。後輩だろうが先輩だろうが。僕がひと言、『もう後輩先輩とかそういうのを止めよう、俺たちは友達だ』って言った瞬間に友達になってしまった。僕は後輩がペコペコしていると疲れるから、フラットにいきましょうということで。

一番印象的なのは、キープされている焼酎を有吉が全部飲んじゃって、代わりに水を入れておいたんですよね。それで上島さんから『水割りつくれ』といわれて、ボトルに入っていた水をグラスに入れて、水で割って。でも不思議なことに、水の水割りなのに上島さんがベロベロに酔っ払ってしまった。

ほかにも例えば、有吉がつまみを頼んだら、全部ひとりで食べるというギャグもやっていました。みんなが『おい、何だよ、食べさせてくれよ』っていうギャグですね。ポテトフライとか多めに頼んでも、あいつが多めに全部食べるとか。ある程度食べて、おなかがいっぱいになったら『俺の残りもの、ほら食え』って周りの人に渡すとか、そんなタイプでしたね。

有吉がいると何か面白いことが起きるので、楽しかったです。私も有吉も含め、メンバーも若かったので、芸人生活の青春時代だったなという感じで、本当に楽しかったですね」

毒舌キャラも『竜兵会』で磨かれた

上島さんや肥後さんなど、先輩が温かく支えてくれた『竜兵会』。再ブレイクのきっかけとなった毒舌キャラもここで磨かれたと、有吉さんはいいます。

「上島さんや土田晃之さんなど、第一線でやっている人たちとお話しして、トークの間とかを学びました。こういうふうに言ったら、こういう人たちは笑うんだな、とか。

どんどん失礼なことをやろうって自分も思いましたし、もうこの道しかないと思っていましたね。みんながそっち方面だけで笑ってくれるし、『そっちがいいぞ、どんどん行け』と言ってくださった。すごくいい場所でしたね。竜兵会がなければ、いま絶対こういう仕事はやっていないと思います。

だから、自分のスタート地点という意味では、下北沢とか最初に住んだ街とかいろいろあるんですけど、やっぱり東高円寺は再出発させてもらった町なので、もう本当に再スタートの街って感じですね。行くとやっぱり身が引き締まるというか。そういう町です。

もともとは、ヒッチハイクで苦労して、歌を歌ったすてきな好青年というイメージだったんですけど、上島さんと肥後さんのおかげで、そういうふうになりましたね。だから、毒舌キャラになったのは、上島さんと肥後さんのせいと言えばせいですよね(笑)」

上島さんを思い歌った「白い雲のように」

2004年からピン芸人としての活動を始めた有吉さんは、再び人気を集め、NHK・民放キー局すべてでレギュラー冠番組を持つまでになりました。

そして2022年。有吉さんは、『白い雲のように』をカバーした純烈・ダチョウ倶楽部とともに、紅白にゲスト出演しました。

この年の5月、上島竜兵さんが他界。有吉さんは上島さんを近くに感じながらステージに立っていました。

有吉弘行さん
「ずいぶん強引に割り込んだなという感じはしたんですよね。純烈がいて、そこにダチョウ倶楽部が行って、さらに僕が行くという状態でしたけど、不思議な縁で、純烈さんにも感謝しています。

上島さんがああいう残念なことになりましたけど、きっと喜んでくれているだろうなと思うと、一生懸命、歌えたかなという感じです。

『白い雲のように』は上島さんのための曲ではなく、しっかり僕らのための曲なんですよ。でも、僕は自分のことよりも、上島さんのことを思い浮かべながら、歌っていたかもしれないですね。

『白い雲のように』というのが、上島さんのことを思い出して、見上げるような感じになりましたね」

2023年の紅白は司会。10月に有吉さんの名前が発表されたとき、芸人仲間から次々に祝福の電話がかかってきました。そのたび、有吉さんの胸によぎるのは、上島さんとの思い出でした。

「司会に選ばれたときはすごく驚いたけれど、去年のことがあって、不思議な縁だなと思ったんですね。

僕が何かいいこととか、うれしいことがあったら、必ず上島さんが電話をかけてきてくれていたので、電話が震えるたびに、上島さんから電話がかかってきたんじゃないかなと思って、結構ね、何回か確認したりとかして、ちょっと不思議な感じでしたね。

きっとまた『いいぞいいぞ、大丈夫だろう』って言ってくださっていると思うので、本当にもう真面目に頑張ります」

みんなの思いとともに 紅白司会へ

竜兵会。これからも変わらない、大切な居場所です。

肥後克広さん
「有吉さん、紅白の司会おめでとうございます。ここまで登り詰めるとは思いませんでした。すばらしいです。あとはもう大河ドラマの主役しかないですよね。頑張ってほしいと思います。 

去年『白い雲のように』を歌い終わった瞬間に、あなたは言っていましたよね。『もう1度白い雲を歌いましょう。紅白は同じ歌を何回歌ってもいいんだから、歌いましょうよ』って。そしたら司会者になって、とんでもないやつですね。

まぁことしは、ダチョウ倶楽部は落選しましたが、来年、『白い雲のように』を紅白で一緒に歌いましょう。純烈さんお願いします。純烈が忙しかったら竜兵会だけで4、5人いますんで、よろしくお願いします。

大みそか見てますんで、頑張ってください。体に気を付けて。店を予約してますんで、終わったら来てください」

有吉弘行さん
「今回、残念ながらダチョウさんは落選ですけれど、みんなに迷惑をかけないように、ダチョウ倶楽部の分も一生懸命頑張りたいと思います」

有吉さんが「白い雲のように」を歌った2022年の紅白歌合戦の様子などは、以下の番組でご覧いただけます。

「有吉弘行 いざ紅白司会!~上島竜兵さんへの思い胸に~」
[総合]2023年12月29日(金)午後10時50分
(再放送)[総合]12月31日(日)午前10時25分
NHKプラスの「見逃し配信」はこちらから(2024年1月5日 午後11時まで)

2023年の紅白歌合戦で、有吉さんは、『白い雲のように』を作詞した藤井フミヤさんと共演し、この曲を歌うことが決まりました。お楽しみに!

「第74回NHK紅白歌合戦」
[総合・BSP4K・BS8K・ラジオ第1]2023年12月31日(日)午後7時20分
(見逃し配信2024年1月7日まで)

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