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ヤングケアラー座談会 VR空間で話してみた “あやさん”

  • 2022年4月19日

「同じ経験をしている同世代の子たちと話してみたい」
 
これは、ヤングケアラーの子どもたちからよく聞く言葉です。今回、当事者の子どもたちにバーチャル空間に集まってもらい、アバターを通して話してもらうと、同じ立場だからこそ言える本音がたくさん出てきました。
 
このバーチャル空間で聞けた話は、4回にわたってお伝えします。3回目は、高校2年生の“あやさん”です。
(さいたま放送局/記者 大西咲)

バーチャル当事者会 参加者3人目 “あやさん”

あやさんは高校2年生の女子高生で、幼いおいの世話を1人でしています。ふだんは、おいとは離れて暮らしていますが、時々、長期間一緒に過ごすこともあるそうです。(家族構成など詳細については、家庭の事情で伏せています)

なんでバーチャル当事者会に参加しようと思ったの?

今回のように、学校以外で集まれる場所ってなかなかないですし、意外と知らないので、同じような経験をしている人たちと話してみたいなと思い参加してみました。
 

友だちに打ち明けたことはある?

話したことはありますが、うまく伝わらずに会話が終わってしまったことが多いです。伝えたときにどんな言葉を使ったかは覚えていませんが、ただ相手の反応からすると、「何の話をしているんだろう?」みたいな感じでした。ちょっと引かれたなと思って、それ以降、自分がしているケアの話をするのが怖くなりました。

ヤングケアラーと呼ばれることに違和感はある?

今も「自分がヤングケアラーだ」という自覚が正直ありません。周りからも「あなたはヤングケアラーだよ」と直接的に言われる機会が少ないので、自覚が無いまま、今回参加しました。
ただ、自分がしていることを考えると、ヤングケアラーが担っている具体例に当てはまっているなと思い、「自分もそうなのかな」と考えます。

おいの世話をしていてうれしかったことは?

おいっ子が私の家に長くいる期間があったのですが、その時にお世話自体は大変だったけど、夜一緒にゲームをしたりテレビを見たりして、おいっ子が楽しそうにしていたのはうれしかったです。おいっ子とは、年齢は少し離れていますが、弟みたいな感覚です。
でも、おいの世話がすごく好きかと言われると、大変な部分もあるので、そこまでじゃないというか、少し複雑です。

家にいたくないなと思ったときはどうしてるの?

知り合いの大人に、家の状況を理解してくれている人がいます。その人とLINEを交換していて、嫌なことがあるとその人に相談しています。自分の感情を訴えたいという気持ちはあるのですが、LINEだと文章ですし、自分の気持ちや状況を説明するのも難しくてうまく伝わらない時があります。そんな時は「今度会いませんか」と言って、直接会って話を聞いてもらっています。
 
あとは、家の中で好きな曲を歌って気分を変えるようにしています。家族に対して嫌な感情があふれた時は黙って深呼吸をして3秒待ちます。けんかをすることもありますが、自分で少し考えてから話すようにすると落ち着きます。

ヤングケアラー支援に期待することは?

小学生が放課後に利用できる「学童保育」みたいな形で、時間が決まっていて、その時間ならいつでも利用できるような場所があると、いいなと思います。ケアをすることに変わりはないかもしれませんが、学校以外の場所で、安心して話せる場所があると少し落ち着けます。
そういう場所があることもですが、その中にいてくれる人が大切で、その人と仲良くなれたら、1駅2駅ぐらいは離れていても、行きたいなと思います。

 

NHKではこれからも、ヤングケアラーについて皆さまから寄せられた疑問について、一緒に考え、できる限り答えていきたいと思っています。
ヤングケアラーについて少しでも疑問に感じていることや、ご意見がありましたら、自由記述欄に投稿をお願いします。

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