フランスの首都・パリを中心にことし7月26日に開会式が行われ、8月11日までの17日間の日程で開かれるパリオリンピック。100年ぶりに開催される大会では、32競技の合わせて329種目におよそ1万人の選手が参加する見込みです。
日本代表に内定している選手は、これまでにおよそ100人に上り、将来性豊かな10代の若手も名を連ね、大会での活躍に期待が寄せられています。
パリオリンピックは、フランスの首都・パリを中心にことし7月26日に開会式が行われ、8月11日までの17日間の日程で開かれます。
~100年ぶり3回目 パリでのオリンピック~
パリでのオリンピックは1900年の第2回大会、1924年の第8回大会以来、100年ぶり3回目です。
~32競技329種目 約1万人の選手参加~
新型コロナウイルスの影響で開催が1年延期された東京大会からは3年の間隔で迎えるパリ大会では、空手と野球・ソフトボールが除外され新たにブレイキンを加えた32競技の329種目が実施されます。
およそ1万人の選手が参加し、日本勢は、柔道やレスリング、体操のほか、東京大会で注目を集めたスケートボードやスポーツクライミングなどのアーバンスポーツでもメダル獲得が期待されています。
日本選手は、去年6月に神奈川県茅ヶ崎市出身でサーフィン女子の松田詩野選手が最初に代表に内定して以降、NHKのまとめで、これまでにおよそ100人がパリオリンピックの切符をつかんでいます。
注目の1つが10代の若手の台頭で、このうち競泳では、東京出身で17歳の成田実生選手や、栃木県出身で18歳の松下知之選手などが先月(3月)の代表選考の大会で代表に内定しました。
また、卓球の女子では、15歳の張本美和選手が実力と将来性をかわれ、団体のメンバーとして選ばれました。
このほか、ともに17歳の飛び込み・玉井陸斗選手や、千葉県八千代市出身でスポーツクライミング・安楽宙斗選手といったメダル獲得の可能性がある若手もいて、パリ大会やその先のロサンゼルス大会も見据えた活躍に期待が寄せられています。
松田詩野選手は神奈川県茅ヶ崎市出身の21歳です。両親の影響で6歳からサーフィンを始めました。
2019年に16歳でジャパンオープンを制し、同じ年に宮崎県で開催されたサーフィンの世界選手権に当たるワールドゲームズ代表に選ばれました。
東京オリンピックの新競技として採用されたサーフィンは、2019年のワールドゲームズがオリンピックの代表選考を兼ねる大会で、当時、高校生だった松田選手はこの大会でアジア勢最高位に入り条件付きで代表に内定しました。
しかし、東京オリンピックが1年延期となった影響で選考がやり直されたため、出場を逃しました。
一時は内定しながらオリンピック出場を逃し、悔しい思いをした松田選手は、雪辱を期して去年のワールドゲームズでアジア勢で最上位に入り、日本の女子ではただ1人、パリオリンピックへの出場権を手にしました。
日本選手で最も早く去年(2023年)6月にパリオリンピックの代表に内定した松田選手は、大会本番までの期間を使って、会場となるタヒチを訪れ、サイズの大きな波に慣れるための練習を積んでいます。
競泳の17歳、成田実生選手は東京都葛飾区出身です。
3月に行われたパリオリンピックの代表選考の大会で、女子400メートル個人メドレーで、東京オリンピック金メダリストの大橋悠依選手などを破って代表内定を決めました。
成田選手は初のオリンピックについて、次のように話しました。
成田選手
「すごくワクワク、ドキドキしている。まずは決勝にしっかり残るということと、決勝で自己ベストを更新してメダル争いをするのが目標だ。このパリオリンピックが私の水泳人生の中でスタートラインになるような大会にしたい」
そのうえで「17歳だからこそ、明るく元気に、パワーがみなぎった感じでレースを泳いで、そういう面でもチームに貢献したい」と持ち前の明るさで代表チームを盛り上げたいと語りました。
そして、オリンピック本番に向け、「苦手な持久力の練習を逃げずにやって、ベースをしっかり作っていきたい。目標を忘れずに、しっかり逃げずに練習に取り組んでいきたい」とこの夏までのさらなる成長を誓っています。
松下知之選手は、栃木県出身の18歳の高校生です。
個人メドレーを得意としていて、豊富なスタミナと、後半での粘り強さや自由形での伸びが持ち味です。
小学校入学前から本格的に水泳を始め、高校に入ると急成長を見せて、去年(2023年)の世界ジュニア選手権では、400メートル個人メドレーで金メダルを獲得しました。
同じ栃木県出身で、リオデジャネイロオリンピックの400メートル個人メドレーの金メダリスト、萩野公介さんを「重圧をはねのける豪快な泳ぎに憧れた」と尊敬しています。
今大会に向けてはその萩野さんを指導した平井伯昌コーチのもとで指導を受け、平井コーチも「集中すると爆発的な力を出せる」などとその能力を高く評価していました。
スポーツクライミング、ボルダー&リードの安楽宙斗選手は、千葉県八千代市出身の17歳です。
小学2年生のときにクライミングを始め、現在は高校が終わったあとに地元の施設などでトレーニングを積んでいます。
身長よりもはるかに長い腕のリーチを生かした軽やかな登りが持ち味で、昨シーズンから(2023年)ワールドカップに参戦し史上初めて同一シーズンでボルダーとリードの両種目で年間総合優勝という快挙を果たしました。
去年(2023年)8月の世界選手権では、パリオリンピックで実施される「ボルダー&リード」では4位に終わりましたが11月のアジア最終予選でボルダーの4つの課題とリードすべてを完登する圧倒的な力を見せて初めてのオリンピック代表に内定しました。
ふだんの練習は自分自身でメニューなどを考え1人で壁と向き合っていて、世界選手権後にはパワーや持久力を高めるトレーニングを徹底的に積んで、レベルアップを図ってきました。