東京・お台場は、多くの人を呼び込むエリアへと開発が進んでいます。そこに物語の世界観に入り込んだような体験を楽しめる「イマーシブ=没入型」をコンセプトにした新しいタイプのテーマパーク「イマーシブ・フォート東京」がオープンしました。コロナ禍後の、テーマパーク人気やインバウンド需要の高まりを背景に、新たな賑わいを創出できるのか。お台場の今をまとめました。
東京・お台場は、商業施設の「ヴィーナスフォート」や、名物の観覧車を備えた複合型施設「パレットタウン」が1999年にオープンし、一時は若年層を中心に多くの人でにぎわいましたが、おととし2022年8月に23年の歴史に幕を下ろし、現在は、跡地周辺で新たな開発が進められています。
このうち営業を終了した商業施設「ヴィーナスフォート」の建物を再利用して、新たなテーマパークがオープンしました。
開業したのは屋内型のテーマパーク「イマーシブ・フォート東京」です。物語の世界観に入り込んだような体験を楽しめる「イマーシブ=没入型」をコンセプトにしています。
「イマーシブ」は英語で「没入できる」という意味で、映画やドラマの中に“入り込んだ”ような感覚で楽しめることから、エンターテインメント業界で新たな集客のコンセプトとして注目されています。
施設の特徴について、運営会社は、客が傍観するのではなく、物語の当事者になって参加できる「当事者性」、同じアトラクションでも客ごとに異なる体験ができる「個別体験」、VR=仮想現実やAR=拡張現実とは異なる、リアルな体験による「強いライブ感」の3つを挙げています。
12種類用意されているアトラクションのうち、名探偵シャーロック・ホームズをテーマにしたアトラクションは、3000平方メートルに再現された19世紀のロンドンを舞台に、総勢48人のスタッフによる劇が同時に進行し、ホームズとともにさまざまな事件を解明する1時間半のミステリー劇です。
客たちは、会場内をどう動くかどこに着目するかなどで得られる体験が変わり、劇に“没入”して、登場人物の1人になった感覚を体験できます。
テーマパークはユニバーサル・スタジオ・ジャパンの業績の立て直しで知られるマーケターの森岡毅さんが率いる会社が手がけました。
運営会社によりますと、「イマーシブ」に特化した常設型のテーマパークは世界で初めてだとしていて、コロナ禍後の、テーマパーク人気やインバウンド需要の高まりを背景に、新しい観光スポットとなるか注目されています。
森岡毅さん
「『イマーシブ』は世界のエンターテインメントの潮流になっている。多くの人が同じ体験をする従来型の施設と一線を画し、一人ひとりが異なるドキドキ感を味わえる施設にチャレンジした。ここが『イマーシブ』の聖地になって、世界から多くの人が訪れる場所にしたい」
〇チケット(ホームページから購入)
◆12歳以上 6800~1万4800円
◆ 4歳~11歳 3000~6000円
◆ 3歳以下 無料
イマーシブ型の施設について、エンターテインメント産業に詳しい金沢工業大学虎ノ門大学院の北谷賢司教授は「大きな空間があれば開業が可能で、コンテンツの組み替えも簡単にできるため、通常のテーマパークより建設費を抑えられ、経営リスクを減らすことができる。また、一度に多くの客を入れられるため、経営効率も高い。首都圏に多くある閉館した施設などを再利用することで、地域の再活性化につながる可能性もあると思う」な都と話していました。
東京・お台場ではこのほか、2023年12月には、EVレーシングカーをメインとした都市型のサーキット場がオープンしているほか、2025年秋には収容人数およそ1万人の新たなアリーナが整備される計画です。
アリーナはトヨタ自動車の子会社が運営してプロバスケットボールチームがホームとして活用し、周辺にはバスケットコートを備えた公園も整備されます。
かつてにぎわいを生み出したお台場が、今回のテーマパークも含めて新しい観光スポットとして生まれ変われるか注目されています。