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長野・新潟・群馬 クマ被害相次ぐ 注意点や警戒必要な時間帯は?

  • 2023年10月23日

クマに襲われてけがをするなどの被害が長野県や新潟県、それに群馬県をはじめ、全国で相次いでいます。

クマの生態に詳しい石川県立大学の大井徹特任教授は、例年、クマが冬眠に入るまでの12月に入るころまでは被害が相次ぐ傾向があるとして「クマの出没や被害が出ている地域を中心に特に人とクマの活動が重なる早朝と夕方から夜間にかけての時間帯には警戒してほしい」と注意を呼びかけています。

クマの被害 群馬などでも

◇朝の時間帯に◇
18日朝、群馬県東吾妻町で80代の女性がクマに襲われ、顔にけがをしました。

18日午前7時半ごろ、東吾妻町厚田の路上で、町内に住む83歳の女性の息子から「母親がクマに襲われた」と消防に通報がありました。

警察によりますと、当時、女性は、自宅近くを1人で散歩していたところ、突然現れたクマに襲われ、顔をひっかかれたということです。女性から連絡を受けた息子が現場に駆けつけた際には、クマはすでにいなくなっていたということです。

女性は、額に全治3週間以上のけがをして病院で手当てを受けているということです。

現場は、東吾妻町の中心部から南西におよそ6キロほど離れた山あいの地域です。

◇夜間の時間帯でも…◇
また、19日には、新潟県阿賀町の山あいの集落で60代の男性がクマに襲われ、顔や腕にけがをしました。

19日午後10時前、新潟県阿賀町新谷で60代の男性がクマに襲われてけがをしたと、消防に通報がありました。

警察や消防が駆けつけたところすでにクマの姿はなく、男性は顔や腕にけがをしていて病院に搬送されました。命に別状はないといういことです。

警察によりますと、男性が買い物から帰宅したところうなり声が聞こえ、自宅近くの柿の木に登っていたクマが男性に馬乗りになって襲ってきたということです。

クマの大きさなどはわかっていません。現場は、山あいに住宅が点在する集落です。

◇新潟県 9月から「クマ出没警戒警報」を発表◇
新潟県は、この秋、エサとなるブナの実の凶作が予想され、クマの人里への出没などが懸念されるとして、9月から「クマ出没警戒警報」を発表して、クマに出会ったときは慌てずにゆっくり後退することや、襲われた場合は地面に伏せて頭や首腹を守ること、エサとなる生ゴミを適切に処分することなどを呼びかけています。

クマ被害 少なくとも160人

クマに襲われてけがをするなど被害にあった人の数をNHKがまとめたところ、今年度は、これまでに17の道府県で少なくとも160人にのぼり、国が統計を取り始めて以降、最も多かった3年前の158人を上回る被害となっていることがわかりました。

例年、クマが冬眠に入る12月ごろにかけて各地で被害が相次いでいることから国や自治体などが対策の徹底を呼びかけています。

環境省によりますと、ことし4月から9月までにクマによる被害にあった人の数はあわせて109人に上っています。

その後、10月に入ってからの被害についてNHKが各地域局の取材をもとに集計したところ、被害にあった人は少なくとも51人で、環境省の9月までの集計とあわせると17の道府県で160人に上っています。

これは、環境省が統計を取り始めて以降、最も多い158人の被害が出た3年前・2020年度の1年間を上回り、過去最悪の被害となっています。

このうち、10月19日には岩手県で70代の夫婦がクマに襲われて妻が死亡するなど、これまでに5人が亡くなっています。

◇関東甲信越地方でも◇
道府県別では、秋田が最も多い52人で全体のおよそ3分の1を占めているほか、岩手が38人、福島が13人、青森で11人と東北地方で被害が多くなっています。このほか、長野で10人新潟で7人、山形で5人、岐阜で5人、北海道で4人、富山で4人、群馬で3人、宮城で2人、石川で2人、福井で1人、三重で1人、京都で1人、島根で1人と、各地で被害が広がっています。

~道府県別~
▼秋田52人▼岩手38人▼福島13人▼青森11人▼長野10人新潟7人▼山形5人▼岐阜5人▼北海道4人▼富山4人▼群馬3人▼宮城2人▼石川2人▼福井1人▼三重1人▼京都1人▼島根1人

専門家 過去最悪の被害について…

クマの生態に詳しい石川県立大学の大井徹特任教授は、過去最悪の被害が出ていることについて、次のように指摘しています。

石川県立大学 大井徹特任教授
「もともと、エサとなるドングリなどの不作の影響によってクマの出没や被害が多くなる年があるものの、近年はクマの生息範囲が広がっているほか、生息数自体も増えているという見方もある。狩猟をする人が減り、人里では耕作放棄地も増えてクマが生活しやすい環境に変わってきているうえ、山を下りて人里と隣り合った地域に暮らすクマも増えているとみられ、被害の増加を深刻に受けとめるべきだ」

そのうえで大井特任教授は、例年、クマが冬眠に入るまでの12月に入るころまでは被害が相次ぐ傾向があるとして、次のように述べています。

クマの出没や被害が出ている地域を中心に特に人とクマの活動が重なる早朝と夕方から夜間にかけての時間帯には警戒してほしい

くりや柿の実などクマを寄せつけるものは早めに取り除くことが必要で、自力で作業が難しいお年寄りなどには、自治体の支援も必要だ」

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