1. NHK
  2. 首都圏ナビ
  3. もっとニュース
  4. 学習塾で子どもの性被害相次ぐ 現場はどう対策?

学習塾で子どもの性被害相次ぐ 現場はどう対策?

  • 2023年9月12日

東京の中学受験塾大手「四谷大塚」の元講師が、教え子の女子児童を盗撮するなどして警視庁に再逮捕されました。学習塾での性犯罪は全国で相次いでおり、業界では対策が求められていますが、課題にも直面しています。

相次ぐ塾での性犯罪

7月には、東京・練馬区の70歳の学習塾経営者が、教え子の10代の少女の体を触るなどしたとして強制わいせつの疑いで逮捕されたほか、8月には、三重県内にある学習塾のトイレで、女子中学生を盗撮したなどとして50代の元塾長が逮捕されました。

このように学習塾の中での、教え子に対する性犯罪が後を絶ちません。

塾では安全対策進めるが限界も…

首都圏を中心に、200あまりの校舎を展開する個別指導の塾では、業界のガイドラインにのっとり、以前から安全対策を進めてきました。 

この塾では、個別指導のブースを区切る仕切りの高さを低くして死角を作らないようにしているほか、集団授業で使う教室はガラス張りにしています。

また、休み時間には講師と生徒全員がブースから出て、密室に2きりになるのを避けています。さらに、すべての教室に複数の防犯カメラを設置して、責任者が各教室を遠隔で確認しています。

採用時には、「生徒と連絡先を交換したりSNS上でつながったりしない」など、必要以上の接触を避けることをルールとし、講師は事前に同意書や誓約書を提出しているほか、採用後も3か月に一度研修を行って、ルールの徹底を図っているということです。

個別指導塾を運営 株式会社スプリックス 堀貴司執行役員
「構造上、子どもとの距離が近いため、安心して通えるようガイドラインや自社のマニュアルを守ることを徹底しています。

採用時にも官報などを検索して懲戒処分歴がないか確認していますが、どうしても一企業としての取り組みには限界があります」

塾の業界団体 ガイドラインを改めて周知

全国の400あまりの学習塾で作る「全国学習塾協会」は8、子どもの安全確保のためのガイドラインを会員に対して改めて周知し徹底を呼びかけました。

ガイドラインでは、安全対策として教室内では低い仕切りやガラス窓を多く使うことなどで教室内の死角をなくようにしたり、センサーや防犯カメラなどを活用するよう努めたりしています。

また、教員の採用にあたっても、適性テストの導入や子どもに対する接し方のチェックのための模擬授業を実施することなどをあげています。

性犯罪歴確認する「日本版DBS」 塾業界は?

一方で、採用を厳格化しても本人からの申告制では限界があるとして、協会では、「日本版DBS」を民間の事業者も利用できるようにしてほしいと求めています。

「日本版DBS」は、イギリスなどの制度を参考にした新たな仕組みです。

子どもを性犯罪から守るため、子どもに接する仕事に就くことを希望する人に対し、性犯罪歴などがないことの証明を求めるもので、対象とする事業の範囲など、どのような制度にするか、政府が議論を進めています。

9月5日、こども家庭庁の有識者会議が大筋でまとめた報告書では、学校や保育所などでは義務化。学習塾などの民間の事業者は、一定の条件のもと、任意で参加する認定制とする方向で検討されています。

全国学習塾協会 安藤大作会長
「昨今、塾でさまざまな事件が起きていることを深刻に受け止め、全会員に安全確保ガイドラインを再度周知しました。

各事業者ではハード面ではさまざまな未然防止対策を行っていますが、採用時については努力を重ねても問題がある人物を見抜くことは難しい部分があります。

学習塾や習い事に通う子どもが増える中、民間の塾も採用時に犯罪歴を確認できるようにしてほしいと思います」

ページトップに戻る