"空飛ぶ絵本"に込めた思い 89ERS 片岡大晴選手

親子の時間を大切にしてほしい。
バスケットボールB2 仙台89ERSのベテラン片岡大晴選手は、その願いを地域に広く届けるために絵本を活用した取り組みを始めました。
仙台放送局スポーツ担当の島影咲織キャスターが取材しました。


<感謝を忘れない“ソルジャー”>
36歳の片岡選手は激しいディフェンスなど闘志あふれるプレーが持ち味です。そのプレースタイルから「ソルジャー」の愛称で親しまれています。一方、コートの外では常に周囲への感謝を忘れない人柄で、「スポーツ選手としてやらせてもらっている中で何か皆さんに返していきたい」と心に秘めています。


<絵本を通じて親子の時間を>
去年12月29日に仙台市で行われた89ERSのホームゲーム。この日は会場で持続可能な開発目標「SDGs」について知ってもらうイベントが開かれました。
その一角では、使わなくなった絵本を集めて資源の循環につなげるという片岡選手が考えた活動が紹介されていました。ホームゲームで勝利するたびに宮城県内の子育て支援施設などに絵本を届ける取り組みで、その名も「空飛ぶ絵本」です。

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片岡選手が「空飛ぶ絵本」の取り組みを始めたのは、親子向けのキャンプに参加したことがきっかけでした。親子で過ごす時間の大切さを改めて感じたと言います。多くの人がその時間を作れるように自分にできることはないか。片岡選手はふだん2児の父親として読み聞かせをしている絵本を思いつきました。
そこで今シーズン、ホームゲームで勝利するたびに1勝あたり5冊ほどの絵本を寄贈することにしたのです。去年12月3日にはそれまでに勝利した3試合分の絵本14冊を仙台市若林区の社会福祉法人に届け、ひとり親の家庭などを支援する保育所で活用されることになりました。

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片岡大晴選手
「絵本を読む時間を親子で持ってもらいたい。子どもたちの心がいい未来につながる温かい心に育ってほしい」


<手作りの絵本ポスト>
さらに多くの絵本を届けたいと考えた片岡選手は、12月29日のホームゲームで会場にポストを設置し、試合を見に来た人からも絵本を募ることにしました。
絵本ポストは、片岡選手みずからがデザインと制作にあたりました。自分の願いがみんなに届くことをイメージして名付けた“空飛ぶ”を表そうと、投かん口の周りには綿で作ったふわふわの雲を飾りつけました。

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片岡大晴選手
「ポストの出来は100点じゃないですか。ポストにいろいろな人たちの思いが詰まって、絵本もいっぱい詰まってほしい」


<共感呼んだ300冊>
試合当日、ポストには自宅などから持ってきた絵本を手にした人が次から次へと訪れました。

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この日集まった絵本はおよそ300冊。片岡選手の熱意が大きな共感を呼んだのです。
「これ全部集まったんですか!?」。試合でも勝利に貢献した片岡選手は、試合後に目にした絵本の山に驚きの声をあげ、うれしそうにスマートフォンで撮影していました。

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片岡大晴選手
「僕だけじゃなくて皆さんと一緒に作り上げているんだと改めて感動した。この“空飛ぶ絵本”を大切に続けていきたいし、そのためには勝利が必要なので、1試合でも多く勝ち続けて息の長いプロジェクトにしていけるよう頑張りたい」

 


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<取材者プロフィール>
仙台放送局キャスター
島影咲織
これまでに宇都宮放送局、仙台放送局でスポーツを担当
バスケで好きなプレーは気迫を込めたディフェンス!
89ERSのB1昇格で歓喜の涙を流したい


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