北朝鮮 またミサイル2発 防衛相「執拗一方的にエスカレート」

防衛省は10月6日朝、北朝鮮から合わせて2発の弾道ミサイルが発射されたと発表しました。いずれも日本のEEZ=排他的経済水域の外側に落下したと推定され、このうち1発は変則的な軌道で飛行した可能性があるということです。

北朝鮮は9月下旬以降、弾道ミサイルを相次いで発射していて、4日には日本の上空を飛び越える形で発射しています。

北朝鮮外務省は6日、アメリカ軍の原子力空母が日本海に再び展開したことについて、朝鮮半島情勢への脅威だとして今後の対応を注視していると警告する談話を発表していました。

北朝鮮によるミサイル発射は巡航ミサイルも含めてことし24回目で、防衛省は引き続き情報の収集と分析を進めています。

浜田防衛相「挑発 執ようかつ一方的にエスカレート」

浜田防衛大臣は7時すぎ、防衛省で記者団に対し、北朝鮮が午前6時台に内陸部から弾道ミサイル2発を東方向に発射したと明らかにしました。落下したのは北朝鮮東岸付近や日本海で、いずれも日本のEEZ=排他的経済水域の外側と推定されるとしています。

このうち1発目は午前6時ごろに発射され、最高高度100キロ程度で350キロ程度飛行したと推定され、2発目は午前6時15分ごろ発射され、最高高度50キロ程度で800キロ程度飛行したと推定されるとしています。2発目は、変則軌道で飛行した可能性があるということです。

一方、これまでのところ、航空機や船舶などの被害の情報は確認されていないとしています。

浜田大臣は、今回の発射について「9月末からの短期間で6回目と挑発を執よう、かつ一方的にエスカレートさせている。一連の北朝鮮の行動はわが国、地域、国際社会の平和と安全を脅かすものであり 断じて容認できない」として、北朝鮮に対し、北京の大使館ルートを通じて厳重に抗議したことを明らかにしました。

政府関係者 1発目は350キロ程度 2発目は800キロ程度飛行か

政府関係者によりますと、午前6時台に北朝鮮から東方向に弾道ミサイル2発が発射され、いずれも日本のEEZ=排他的経済水域の外側に落下したということです。このうち1発目は、最高高度は100キロ程度で、350キロ程度飛行した可能性があるということです。また、2発目は、最高高度は50キロ程度で、800キロ程度飛行し、変則軌道で飛行した可能性があるということです。

岸田首相「断じて容認できない」

岸田総理大臣は、午前7時ごろ総理大臣官邸に入る際、記者団に対し「先ほど、北朝鮮が弾道ミサイルを発射した。国民への情報提供、そして安全確認の徹底を指示した。9月末からの短期間だけでも6回目の発射で、断じて容認できない。詳細はこれから確認する」と述べました。

韓国軍 北朝鮮が短距離弾道ミサイル2発を発射と発表

韓国軍の合同参謀本部は、北朝鮮が6日6時1分ごろから23分ごろにかけて、首都ピョンヤンのサムソク付近から日本海に向けて短距離弾道ミサイル2発を発射したと発表しました。韓国軍とアメリカ軍は飛行距離や高度など詳しい情報の収集と分析を急いでいます。

今回の発射はことし24回目

防衛省などによりますと、北朝鮮が弾道ミサイルなどを発射したのはことしに入って24回目です。

これまでに、1月に7回、2月に1回、3月に3回、4月に1回、5月に4回、6月は1回、8月に1回、9月に3回、10月に2回それぞれ弾道ミサイルなどの発射を繰り返しています。

特に9月下旬から10月上旬にかけてはあわせて5回と相次いで発射しています。

これまでの23回のうち、20回は弾道ミサイルと推定されもう1回も弾道ミサイルの可能性が指摘されています。

残りの2回は長距離巡航ミサイルなどと推定されています。

このうち、直近の4日に発射された弾道ミサイルについて防衛省は、最高高度がおよそ1000キロで、およそ4600キロ飛行し青森県上空を通過したあと、日本の東およそ3200キロの日本のEEZ=排他的経済水域の外側に落下したと推定されると発表しています。

IRBM=中距離弾道ミサイル級以上の射程を有するミサイルで、『火星12型』と同型の可能性があり、推定の飛行距離がこれまでで最長だったと考えられるということです。

国連 安全保障理事会の緊急会合中に北朝鮮がミサイル再発射

国連の安全保障理事会では、北朝鮮による4日の弾道ミサイル発射を受けて緊急会合が開かれましたが、欧米各国と中国やロシアが対立し一致した姿勢を示すことはできませんでした。会合の終了間際には北朝鮮が再び弾道ミサイルを発射し、ウクライナ情勢を受け安保理が機能不全に陥っているとされる中、今後の対応が問われています。

国連安保理の緊急会合は5日、日本時間の6日開かれ、欧米各国からは、北朝鮮によるおとといの弾道ミサイルの発射は国連安保理の決議違反であり、日本国民の安全を脅かすものだと北朝鮮を非難する意見が相次ぎました。

このうちアメリカのトーマスグリーンフィールド国連大使は「2つの理事国が北朝鮮を全面的に保護し、北朝鮮のたび重なる挑発を正当化し、制裁を強化しようとする取り組みを阻止した」と述べて中国とロシアを非難したうえで、北朝鮮の挑発には安保理が一致して対応すべきだと強調しました。

一方、中国とロシアの国連次席大使はいずれも、「アメリカが朝鮮半島周辺で日本や韓国と軍事演習を行い緊張を高めた結果だ」などと主張し、欧米各国と中国やロシアが対立しました。

このあと会合は非公開の協議に入りましたが、会合が終了する間際に北朝鮮が再び弾道ミサイルを日本海に向けて発射したという情報が入りました。

国連の外交筋によりますと、非公式の会合では、北朝鮮による安保理決議違反は認められないとする声明を発表するようアメリカが提案しましたが、ここでも中国とロシアが反対したということです。

ウクライナ情勢を受けて常任理事国の欧米各国とロシア、中国との対立が続き、安保理が機能不全に陥っているとされる中、北朝鮮への対応をめぐっても一致した姿勢を示すことができなくなくなっており、今後の対応が問われています。

石兼国連大使「つけいっているかのよう」

会合のさなかに北朝鮮が再びミサイルを発射したことについて、日本の石兼国連大使は記者団に対し「情報収集中だが事実であるならば誠に遺憾だ。安保理が行動を起こさない、統一的な意思表明をできないということにつけいっているかのような行動だと思う」と述べました。