韓国大統領選挙は政権交代
日本政府の対応は

韓国の新しい大統領にユン・ソギョル氏が決まったことを受けて、政府は、政権交代を機に日韓関係の改善につなげたい考えですが、「徴用」をめぐる問題などで両国の溝を埋めるのは容易ではないという見方もあり、新政権の対応を慎重に見極めていく方針です。

韓国の新しい大統領にユン・ソギョル氏が決まったことについて、日本政府内には、ユン氏が選挙戦で北朝鮮の核・ミサイル問題などへの対応で日米韓3か国での連携に意欲を示してきたことを踏まえ、歓迎する声も出ています。

一方、日韓関係は、今のムン政権の5年間で、太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題や慰安婦問題などをめぐって、国交正常化後最悪と言われるほど冷え込み、政府は政権交代を機に日韓関係の改善につなげたい考えです。

ただ、政府内には、ユン氏が実際に日本との連携の強化に踏み出すかどうかは韓国の国内世論や国会の動向しだいで、「徴用」をめぐる問題などで両国の溝を埋めるのは容易ではないという見方もあり、新政権の対応を慎重に見極めていく方針です。

韓国大統領選 野党ユン・ソギョル氏当選5年ぶり保守政権誕生へ

9日投票が行われた韓国大統領選挙で、保守系の最大野党のユン・ソギョル(尹錫悦)氏が当選し、5年ぶりに保守政権が誕生する見通しとなりました。

ユン氏は「国民の皆さんが導いてくれたように、私も国民だけを見つめ国民に仕える」と述べて勝利宣言しました。

韓国のムン・ジェイン(文在寅)大統領の任期満了に伴う第20代大統領選挙の投票は、9日夜7時半に締め切られ、10日朝まで開票作業が続けられました。

中央選挙管理委員会によりますと、10日午前6時すぎに開票率が100%となり、得票率は、
▽保守系の最大野党「国民の力」のユン・ソギョル氏が48.56%、
▽革新系の与党「共に民主党」のイ・ジェミョン(李在明)氏が47.83%となっています。

公共放送のKBSは午前4時半すぎ、出口調査の結果や開票状況などに基づいて「ユン氏が当選した」と伝えました。

ユン氏はソウル出身の61歳。

2019年にムン・ジェイン大統領によって検察トップの検事総長に抜てきされましたが、ムン大統領の側近をめぐる疑惑を徹底追及したことなどから政権との対立を深め、去年3月に辞任しました。

政治経験はないものの、選挙戦で「真の公正な社会」を実現するとして政権交代を訴えて支持を広げました。

さらに終盤になって、3番手だった中道系野党のアン・チョルス(安哲秀)氏との間で候補者の一本化にこぎ着けました。

今回の選挙戦は、ムン政権を厳しく批判し「無能な政権を審判すべきだ」と政権交代を呼びかけたユン氏と、地方行政を率いた実績を強調し「有能な経済大統領になる」と訴えたイ氏が競り合う展開になりましたが、ムン政権への批判票を取り込んだユン氏がイ氏との接戦を制し、5年ぶりに保守政権が誕生する見通しとなりました。

ユン氏は午前4時20分ごろ、ソウル中心部に設けられた開票状況を見守る陣営の会場であいさつし「この結果は、私やわが党の勝利というよりは、偉大な国民の勝利ではないか」と述べて、勝利宣言をしました。

その後、党本部の前に集まった支持者に向けて「国民の皆さんが導いてくれたように、私も国民だけを見つめ国民に仕える。政権交代のために最善を尽くしてくれた皆さんに感謝する」と述べました。

一方、イ氏はソウルの国会近くにある党の本部で記者団に対して「最善を尽くしたが、期待に応えられなかった。党員や支持者に申し訳ないし、感謝の気持ちを伝えたい。すべての責任は私にある。ユン候補にもお祝いを言いたい」と述べて、敗北宣言をしました。