大雨で一時特別警報が出た岐阜県と長野県について、菅官房長官は、午前の記者会見で、復旧にかかる費用を政府が支援する「激甚災害」と、被災者の生活再建のため行政上の特例措置を適用する「特定非常災害」への指定に向け、検討を進めていることを明らかにしました。

この中で、菅官房長官は「現在、政府一体となって人命第一の方針のもと、捜索・救助活動などをはじめとする災害応急対策を進めているところであり、激甚災害、特定非常災害のいずれについても、岐阜県と長野県の両県も含めて、指定について調査、検討を行っている」と述べました。

またホテルや公営住宅などの「みなし仮設」の確保の状況について、「被災自治体と賃貸住宅関係団体などが緊密に連携を取り、空き室状況の確認や賃料などの提供条件の調整などを進めており、提供に向けた準備を進めている」と述べました。

さらに孤立集落の状況に関し、「熊本県八代市や球磨村、岐阜県高山市や下呂市などで、およそ100地区が孤立状態にあると報告を受けている。現地の消防団や自衛隊員などが、孤立状態にある地域を回り、体調不良者の有無や食料の状況を確認するとともに、孤立者の輸送、物資搬入などを進めている。連絡は大部分のところでできている」と述べました。

一方、被災地でのボランティアの受け入れについて、菅官房長官は「全国社会福祉協議会が、地域の協議会に対し、新型コロナウイルスも踏まえて、被災地の住民の意向などを考慮し、自治体と十分に連携して行うよう通知している」と述べました。

そのうえで、「政府としては、ボランティア活動と、国や自治体などの支援活動が連携して、被災者支援が効果的に行われるようにするとともに、募集範囲などにも柔軟に対応していけるように環境整備に努めたい」と述べました。

内閣府 平副大臣「3密回避に多くの避難所開設を要請」

内閣府の平副大臣は参議院内閣委員会で、避難所での新型コロナウイルス対策について、「3つの密の回避など、感染防止に十分留意する必要があり、自治体にはホテルや旅館、国の研修施設などの活用も含め、可能なかぎり多くの避難所を開設するなど要請を行うとともに、受け入れ可能な施設の情報を提供している。また、高齢者や障害者などの優先的な避難を検討するよう自治体に示している」と述べました。

そのうえで、「マスクや消毒液、パーティションなどの物資の備蓄や、ホテルや旅館の借り上げに要する費用は、地方創生臨時交付金の活用が可能であり、交付金も活用して取り組みを進めるよう働きかけている」と述べました。

委員会では質疑に先立って、犠牲者に黙とうをささげました。

自民 二階氏 「激甚災害の早期指定を」

豪雨による被害を受けて、自民党の二階幹事長は、鹿児島県を視察し、復旧にかかる費用を政府が支援する「激甚災害」に早期に指定すべきだという考えを示しました。

自民党の二階幹事長は9日、鹿児島県伊佐市を訪れ、山野川の堤防が決壊した現場を視察しました。

このあと二階氏は記者団に対し、「1日も早く皆さんが元の生活に戻れるよう、しっかりと対応していくことが大事だ。全力を挙げて寄り添っていく決意だ」と述べました。

そのうえで、復旧にかかる費用を政府が支援する「激甚災害」への指定について、「雨が降っている最中に激甚災害かどうかは分かる。瞬時にそういう対応をとっていかなければいけない。しばらくたって、激甚災害かどうかなどと、ぼやっとしたことをしていたらダメだ」と述べ、早期に指定すべきだという考えを示しました。

公明 山口氏「一刻も早く激甚災害の指定を」

公明党の山口代表は党の中央幹事会で、「行方不明者の救命救助に全力を尽くすとともに、多くの避難している人や孤立している人に支援が届くよう配慮していかなければならない。現場は復旧復興に向けて国の支援を待ち望んでいる。激甚災害の指定を一刻も早く明確に政府として打ち出すべきだ」と述べました。

社民 吉田氏「福祉施設などの立地の点検が必要」

記録的な豪雨によって熊本県の特別養護老人ホームの入所者14人が死亡したことを受けて、社民党の吉田幹事長は、各地の福祉施設などの立地に問題がないか点検する必要があるという考えを示しました。

社民党の吉田幹事長は、記者会見で、九州などの豪雨被害について、「新型コロナウイルスの感染への備えが必要な中で、避難所の運営などが不十分だ。甚大な被害であり、迅速で的確な支援が必要だ」と述べました。

そのうえで、「熊本県の特別養護老人ホームが水につかり入所者が亡くなったが、大変危険なところに立地している福祉施設や学校などの公共施設がある」と述べ、各地の福祉施設などの立地に問題がないか点検する必要があるという考えを示しました。

一方、河井前法務大臣夫妻が起訴された選挙違反事件について、吉田氏は「安倍総理大臣が、きのう記者団に発言した内容はひとごとのようだったが、自身の問題として説明責任を果たさなければならない」と述べました。