院代表質問 中東派遣や
憲法改正で論戦

国会では、衆議院本会議で安倍総理大臣の施政方針演説に対する代表質問が、22日に引き続いて行われ、自衛隊の中東派遣や憲法改正などをめぐり論戦が交わされました。

気候変動問題

公明党の斉藤幹事長は、気候変動問題について「脱炭素社会の構築に向けて、2050年を視野に温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることを目指すべきだ。CO2を出さない、エネルギー源のベストミックスについて国民的理解をえる議論が必要だ」とただしました。

これに対し、安倍総理大臣は「再エネの主力電源化や徹底した省エネを進め、責任あるエネルギー政策を展開していく。そのうえで、脱炭素社会の早期実現には、非連続のイノベーションが不可欠だ。世界の英知を結集し、人工光合成をはじめとした革新的イノベーションに挑戦するなど、気候変動問題への対応をリードしていく」と述べました。

豚の伝染病
また、斉藤氏は、豚の伝染病のCSF=いわゆる豚コレラと、全く別の伝染病であるASF=いわゆるアフリカ豚コレラについて感染拡大の防止に向けた対策の実施を求めました。

安倍総理大臣は、CSFについて衛生管理の徹底やワクチンの散布などを進め、一刻も早く終息させる考えを示したうえで、ASFについて「家畜防疫官の権限強化など水際の防疫対策を強化し、予防的殺処分の実施に向けた体制を整備することにしており、所要の改正法案を今国会に提出する予定だ」と述べました。

中東地域への自衛隊派遣

共産党の志位委員長は中東地域への自衛隊派遣について、「トランプ大統領が呼びかけた『有志連合』に事実上こたえる形で自衛隊派兵を決めたが、安倍政権の対応は『橋渡し』ではなく『お先棒』かつぎだ」と指摘しました。

これに対し、安倍総理大臣は「現時点で、アメリカとイランの間で武力行使が行われている状況ではなく、自衛隊が何らかの武力紛争に巻き込まれる危険があるとは考えていない」と述べました。

そのうえで、「自衛隊はアメリカとも情報共有をするが、アメリカの指揮統制を受けることはない。中東での日本の外交的関与は、各国からも高く評価されており、『お先棒かつぎ』との指摘は全く当たらない。トランプ大統領とも、イランの核問題が平和的に解決されるよう真剣に議論していく」と述べました。

憲法改正 解散・総選挙 

日本維新の会の馬場幹事長は憲法改正について、「今国会で、国民投票法改正案を成立させ、憲法改正原案に関する議論に指導力を発揮し、改憲論議が停滞するならば、解散・総選挙に踏み切る覚悟はあるか」とただしました。

これに対し、安倍総理大臣は「先の参議院選挙や、世論調査を通じて示された憲法改正に対する国民的意識の高まりを受け止め、憲法審査会で、国民投票法の改正はもとより、与野党の枠を超えて、活発な議論が展開されることを強く期待している」と述べました。

そのうえで、「現時点では解散は頭の片隅にもないが、今後も政治を前に進めていくうえで、信を問うべき時が来たと考えれば、解散・総選挙を断行することにちゅうちょはない」と述べました。

また、中東地域への自衛隊派遣について安倍総理大臣は「今般の活動は現行の法令に基づいて実施可能であり、特別措置法の制定を含む新たな立法措置は必要はない」と述べました。

さらに、IR=統合型リゾート施設の整備に向けた基本方針について、「カジノ管理委員会や国会での議論も踏まえつつ、丁寧に策定作業を進めており、いわゆる接触ルールの策定についても盛り込むことを検討していく」と述べました。

公明 斉藤氏「緩みやおごりは許さない」

公明党の斉藤幹事長は記者団に対し、「安倍総理大臣には、質問に誠実に答えてもらったと思う。『桜を見る会』やIRをめぐる汚職事件などで、国民から『与党として緩んでいるのではないか』、『おごりがあるのではないか』という指摘を受けるが、公明党がいるかぎり、そういうことは決して許さないということをしっかり話したつもりだ」と述べました。

共産 志位氏「まともな答えなく総理失格」

共産党の志位委員長は、記者会見で、「聞いたことにはまともな答えがなく、総理大臣失格の答弁だった。『桜を見る会』について、来年度予算案に計上していないので施政方針演説で触れなかったというのであれば、なぜ来年度予算案に入っていない憲法改正をあれだけ話したのか。理屈にもならない理屈で、国民を愚弄している」と述べました。

維新 馬場氏「憲法改正 これからも提案していく」

日本維新の会の馬場幹事長は記者会見で、「憲法改正は、現代社会に合うようにきちんとした形で改正する部分を考えていくことが大事で、これからも提案していきたい。また、IRをめぐっては、すべての行政機関で、事業者との倫理観のある接触のルールを決めたほうが安倍総理大臣にとっても安全策となる。今後の推移を見守りたい」と述べました。