字官民ファンド
元役員に満額退職金

農林水産省が所管し、90億円以上の累積損失を抱える官民ファンド「農林漁業成長産業化支援機構」は、破綻した企業の社外取締役を務めるなどしたあとことし退任した元役員への退職金について、「減額するような事由は確認されなかった」として予定どおり退職金を満額支払うことを決めました。

農林水産業を支援するための官民ファンド「農林漁業成長産業化支援機構」は、出資した企業の経営破たんなどで損失を出しことし3月時点で92億円の累積損失を抱えています。

このファンドはことし6月に退任した元専務に対して、退職金を満額のおよそ1400万円支払うことにしました。

しかし元専務は投資や融資を担当しさらに社外取締役として関わった企業が破綻したにもかかわらず、満額を支払うのはおかしいという批判が出たため、ファンドは外部の法律事務所に調査を依頼していました。

ファンドが30日公表した調査結果によりますと「元専務の経営判断に著しく不合理な点があったとまでは言えない」としたうえで、「退職金を支給しない理由や減額する理由は確認できなかった」としました。

これを受けて、ファンドは元専務への退職金を予定どおり、満額支払うことを決めました。

元専務は、このうち70万円を返納しました。ファンドの光増安弘社長は「投資が失敗した案件があることは事実で、次にどう結び付けるかが大切だ」と話していました。