民ファンド「財投要求
全額取り下げ」世耕経産相

国が主導する官民ファンド、産業革新投資機構の田中社長ら取締役9人が辞任する見通しとなったことを受けて、世耕経済産業大臣は11日の閣議のあとの記者会見で、来年度予算案で求めていた機構への資金を全額取り下げる考えを明らかにしました。

この中で、世耕経済産業大臣は、産業革新投資機構の財務基盤を強化するため来年度予算案の概算要求で求めていた資金について「機構のマネジメント機能が実質的に不在になることが明らかになったので、来年度の1600億円の財投要求は全額、取り下げを行わざるをえない」と述べました。

そのうえで、「機構をできるだけ早く、来年春までにも再び立ち上げ、その時点で必要があれば、予算上の対応も改めて考えたい」と述べ、新たな経営体制が整った時点で必要な対応を再び検討する考えを示しました。

また、機構の新しい経営陣について、世耕大臣は「基本的には民間出身で、投資分野で経験のある方が大原則だ」と述べたうえで、「これから有識者の間で議論するガバナンスや報酬の在り方について十分納得して引き受けていただく方が前提になる」と述べ、新たに設けられる諮問委員会が示す方針をもとに人選を進める考えを示しました。

経済同友会「官民ファンドの限界を露呈」

産業革新投資機構の取締役9人が辞任する見通しとなったことについて、経済同友会の小林代表幹事は11日の記者会見で「国民の税金をベースにしたファンドでは、今のスピードやリスクを負う人を集めるのは相当限界があることを露呈した事象だと思う」と述べました。政府と民間が共同で資金を出し合う「官民ファンド」で行えることには限界があるという見方を示した形です。

そのうえで、小林代表幹事は「銀行だけでなく民間企業もそれぞれにベンチャーキャピタルをつくり始めているので、民間のファンドが頑張ればそれなりにやっていけるのではないか」と述べました。