臨時国会が閉会 野党側追及 1か月で閣僚3人辞任

臨時国会は、69日間の会期を終え12月10日、閉会しました。

10月3日に召集された第210臨時国会は、会期末の10日、土曜日も審議を行う異例の対応が取られ、夕方の参議院本会議で、焦点となっていた旧統一教会の問題を受けた被害者救済を図るための新たな法律が成立しました。

野党側の意見も反映させて政府が法案を提出し、その後、さらに与党側が譲歩して修正が加えられて成立しました。

また、物価高騰対策を盛り込んだ今年度の第2次補正予算や、いわゆる一票の格差を是正するため衆議院の小選挙区の数を「10増10減」する改正公職選挙法なども成立しました。

一方、この国会では、旧統一教会との関係などで、野党側が政府与党を追及する場面が目立ち、およそ1か月の間に閣僚3人が相次いで辞任しました。

また、衆議院憲法審査会が、臨時国会としては最も多い7回開催され、大規模災害など緊急事態での国会議員の任期延長をめぐって議論が行われました。

自民党や日本維新の会などは来年の通常国会で意見集約を目指したいとしているのに対し、立憲民主党は慎重な姿勢で、国会の在り方など幅広い分野での議論を求めていく考えです。

一方、去年6月以降行われていない総理大臣と野党党首による「党首討論」は、この国会でも行われませんでした。

異例 土曜日に本会議や委員会の審議

国会では、金曜日の審議が深夜までかかり、日付をまたぐことはありますが、土曜日に本会議や委員会が開かれて審議が行われるのは異例です。

衆参両院によりますと、土曜日の本会議は、衆議院では、東日本大震災の復旧・復興対策を盛り込んだ補正予算案を可決した平成23年(2011年)4月30日以来、11年ぶり。

参議院では、衆議院選挙での小選挙区比例代表並立制の導入などを柱とする政治改革法が可決・成立した平成6年(1994年)1月29日以来、およそ29年ぶりだということです。

自民 茂木幹事長「いい形で国会を閉じることができた」

自民党の茂木幹事長は、記者団に対し「厳しい局面が続いたが、最終盤で補正予算を成立させ、きょうの最終日に、最重要法案だった救済法案も成立することができ、いい形で国会を閉じることができた。年末に向けて、防衛費の問題や税制改正などの重要な課題を処理していかなければならず、緊張感を持って臨んでいきたい」と述べました。

立民 泉代表「首相は決断力なく 指導力発揮せず」

立憲民主党の泉代表は、記者団に対し「岸田改造内閣の旧統一教会への依存が明確になり、問題意識を持って追及したが、岸田総理大臣は決断力がなく、指導力を発揮しなかった。『国葬』など、内閣支持率や党内基盤の回復をねらって行ったことが、ことごとく国民から見放され、大きな誤りを招いた。3人の大臣が国民の信頼を失って辞任しており、おかしな政権運営をしているかぎり、鋭く問いただしていく」と述べました。

維新 馬場代表「永田町や国会の常識の一部に穴が空いた」

日本維新の会の馬場代表は、記者会見で「立憲民主党との協調で法案の提出や成立など具体的なアクションを起こすことができた。大臣のスキャンダルなどもあったが、野党も入れて法案の修正協議を行い、ひと言で言うと『前例のない国会』で、永田町や国会の常識の一部に穴が空いた。今後もよい方向に動いていけばいい」と述べました。

公明 山口代表「短期集中の中身の濃い国会」

公明党の山口代表は、記者団に対し「物価高から国民生活を守るための補正予算や、旧統一教会の被害者を救済する法律を成立させるなど、短期集中の中身の濃い国会だった」と述べました。

一方、会期中に閣僚3人が相次いで辞任したことについて「任命権者である岸田総理大臣も、自らの責任を痛感しながら、厳しく努力してきたと思うが、今後、国民の不信を買うようなことが起きないように、最大限の努力をしていただきたい。与党としては、岸田内閣を支えるとともに、厳しくチェックをする役割も大事なので、厳しく励ますという姿勢で臨んでいきたい」と述べました。

共産 小池書記局長「政権を担う資格も能力もない」

共産党の小池書記局長は、記者団に対し「野党が結束して3人の大臣を更迭させるなどの成果があり、岸田政権が行き詰まって、政権を担う資格も能力もないことがはっきりした国会だった。大軍拡を行い、暮らしや憲法などを破壊する方向に大暴走を始めており、次の通常国会では岸田政権を打倒するために力を尽くしたい」と述べました。

国民 玉木代表「国民民主党らしさを発揮できた」

国民民主党の玉木代表は、記者団に対し「参議院選挙から訴えてきた電気代の値下げが補正予算に盛り込まれ、実現するめどが立ったのは、わが党がリードしてきた1つの成果だ。『対決より解決』の姿勢で、現実的で具体的な提案を行い、成果につなげることができた。国民民主党らしさを発揮できた国会だった」と述べました。