北朝鮮から弾道ミサイル発射 EEZ外落下 ことし29回目異例の頻度

浜田防衛大臣は、防衛省で記者団に対し、北朝鮮が2日午前8時50分ごろ、東側の海岸付近から少なくとも2発の弾道ミサイルを発射したことを明らかにしました。

このうち
▽1発目は、東方向に発射され、最高高度150キロ程度で150キロ程度飛行し、
▽2発目は、南東方向に発射され、最高高度100キロ程度で200キロ程度飛行し、
いずれも日本のEEZの外側に落下したと推定されるということです。

弾道ミサイルは、変則軌道で飛行した可能性があるということです。

一方、これまでのところ、航空機や船舶などの被害の情報は確認されていないとしています。

そして、浜田大臣は「ここ最近も立て続けに弾道ミサイルを発射しており、 挑発を執ようかつ一方的にエスカレートしている。一連の北朝鮮の行動はわが国や地域、国際社会の平和と安全を脅かすもので、断じて容認できない」と非難し、北朝鮮側に対し、北京の大使館ルートを通じて厳重に抗議したことを明らかにしました。

防衛省“北朝鮮東岸付近から2発が発射”発表

防衛省は、午前8時50分ごろ北朝鮮東岸付近から弾道ミサイル少なくとも2発が東と南東の方向にそれぞれ発射されたと発表しました。

このうち1発目は最高高度が150キロ程度、飛行距離はおよそ150キロで、2発目は最高高度が100キロ程度、飛行距離はおよそ200キロと推定されるということです。

2発はいずれも日本のEEZ=排他的経済水域の外側に落下したとみられ、変則的な軌道で飛行した可能性があるということです。

防衛省が引き続き情報の詳しい分析を進めています。

北朝鮮が弾道ミサイルなど発射はことしに入って29回目

防衛省などによりますと、北朝鮮が弾道ミサイルなどを発射したのはことしに入って29回目です。

これまでに、1月に7回、2月に1回、3月に3回、4月に1回、5月に4回、6月に1回、8月に1回、9月に3回、10月に7回、それぞれ弾道ミサイルなどの発射を繰り返しています。

特に9月下旬から先月にかけては合わせて10回とこれまでにない頻度で相次いで発射しています。

これまでの28回のうち、23回は弾道ミサイルと推定されもう1回も弾道ミサイルの可能性が指摘されています。

残りの4回は長距離巡航ミサイルなどと推定されています。

“ウォンサン付近から短距離弾道ミサイル3発を発射”韓国軍

韓国軍の合同参謀本部は、北朝鮮が午前8時51分ごろ、東部のウォンサン(元山)付近から日本海に向けて短距離弾道ミサイル3発を発射したと発表しました。

このうち1発は、韓国東部キョンサン(慶尚)北道の沖合の日本海にあるウルルン(鬱陵)島の手前の公海上に落下したということです。

韓国軍は、アメリカ軍とともに詳しい情報の収集や分析を急いでいます。

北朝鮮から発射の弾道ミサイルで 一時 空襲警報を発令 韓国軍

韓国軍は、北朝鮮から発射された弾道ミサイルが韓国東部キョンサン北道(慶尚)の沖合の日本海にあるウルルン島(鬱陵)に向かって飛行したとして、ウルルン島を中心とする地域に一時、空襲警報を発令し、テレビなどを通じて地下などに退避するよう呼びかけました。

今回の発射を受けてユン・ソンニョル大統領(尹錫悦)は、緊急のNSC=国家安全保障会議を開くよう指示しました。

日本に関係する船舶への被害の情報 今のところなし 海保

北朝鮮から弾道ミサイルの可能性がある飛しょう体が発射されたとみられることを受け、海上保安庁が日本周辺の海域で被害などの確認を進めていますが、これまでのところ日本に関係する船舶への被害の情報は入っていないということです。

岸田首相「断じて容認することはできない」

岸田総理大臣は午前10時前、総理大臣官邸に入る際、記者団に対し「先ほど、北朝鮮が弾道ミサイルを発射した。私からは国民に対する情報提供、安全の確認など指示を出している。これまでにない高い頻度でミサイルの発射が繰り返されている。断じて容認することはできないと考えており、詳細はこれから報告を受ける」と述べました。

その上で「朝鮮半島において緊張の高まりが見てとれることから、早急に国家安全保障会議を開催したい。それ以上の詳細は報告を受けてからだ」と述べました。

政府 緊急参集チームを招集

政府は、総理大臣官邸の危機管理センターに設置している官邸対策室に、関係省庁の担当者をメンバーとする緊急参集チームを招集し、情報の収集と被害の確認などにあたっています。

外務省幹部「米韓の共同訓練へのけん制か」

外務省幹部は、午前9時すぎ、外務省で記者団に対し「現在、情報収集中だ。アメリカ軍と韓国軍がおとといから行っている、大規模な共同訓練へのけん制だろう」と述べました。

最近の北朝鮮のミサイル発射

北朝鮮は、過去にない異例の頻度で弾道ミサイルなどの発射を繰り返しています。

10月も発射が相次ぎ、▽1日にピョンヤン(平安)郊外のスナン(順安)付近から短距離弾道ミサイル2発、▽4日に北部のチャガン(慈江)道ムピョンリ(舞坪里)付近から日本の上空を通過させる形で中距離弾道ミサイル1発を発射しました。

▽続いて6日にピョンヤン郊外のサムソク(三石)付近から短距離弾道ミサイル2発、▽9日に東部のカンウォン(江原)道ムンチョン(文川)付近から短距離弾道ミサイル2発を発射しました。

▽さらに12日に西部のピョンアン南道ケチョン(价川)付近から巡航ミサイル2発、▽14日にピョンヤン郊外のスナン付近から短距離弾道ミサイル1発、▽28日には、カンウォン道トンチョン(通川)付近から短距離弾道ミサイル2発を発射していました。

北朝鮮をめぐる動き

弾道ミサイルなどの発射を繰り返す北朝鮮に対し、日米韓3か国は連携して抑止力の強化を進めています。

アメリカはことし9月に続いて10月も、原子力空母を日本海に再び展開し、日本や韓国とともに共同訓練を行いました。

さらに10月17日から28日にかけて、韓国軍の定例の野外機動訓練が一部アメリカ軍も参加して実施されたほか、31日から11月4日までは、最新鋭のステルス戦闘機などおよそ240機を投入して米韓空軍による大規模な共同訓練が行われています。

一方、北朝鮮は、10月9日までの15日間、キム・ジョンウン(金正恩)総書記の立ち会いのもとで、軍の戦術核運用部隊の訓練を実施し、弾道ミサイルを7回発射しました。

キム総書記は「必要な場合、すべての軍事的な対応措置を講じていく」と述べていて、北朝鮮は10月14日以降、日本海や朝鮮半島西側の黄海に向け、韓国側への警告として多数の砲撃を繰り返すなど、対決姿勢を強めていました。