東日本大震災“風化進んでいる”
63% 被災地住民アンケート

岩手・宮城・福島の東日本大震災の被災地に住む人たちに行ったNHKのアンケートで、風化が進んでいると答えた人は63%にのぼりました。
避難訓練に参加している人は2割程度で、発生から11年がたつ中で記憶と教訓をどう語り継いでいくかが課題となっています。

NHKは先月1日から3日にかけて、岩手・宮城・福島の沿岸と原発事故による避難指示が出された地域に住む1000人にWEB上でアンケートを行いました。

回答者の平均年齢は51歳でした。

この中で震災の記憶や教訓が風化しているか尋ねたところ、「そう思う」が18%、「ややそう思う」が45%、「あまりそう思わない」が10%、「そう思わない」が2%でした。

「そう思う」と「ややそう思う」は合わせて63%で、「あまりそう思わない」「そう思わない」の12%の5倍以上となりました。

また、去年と今を比べて震災を話題にすることに変化があったか尋ねた質問では、「増えた」が7%、「変わらない」が38%、「減った」が45%などとなり、この1年で減ったと答えた人が最も多くなりました。

避難訓練への参加について尋ねたところ、「いつも参加している」が7%、「ときどき参加している」が14%で、参加している人は21%でした。

一方、「あまり参加していない」が16%、「ほとんど参加していない」が27%、「地域の訓練について知らない」が18%などとなりました。

社会心理学が専門で兵庫県立大学の木村玲欧教授は「震災を知らない世代に記憶と教訓をどうつなぐのかが被災地の課題として現れてきている」と話しています。

そして避難の大切さを伝えるため、「『被災地だから訓練をしよう』ではなく、日常生活のさまざまな行事の中に防災の要素を取り入れて参加を促すような新しい取り組みが必要となっている」と指摘しています。