安定的な皇位継承の在り方
衆参両院議長各党に議論要請

安定的な皇位継承の在り方などをめぐって、衆参両院の各会派の代表者が集まり、政府から有識者会議がまとめた報告書の説明を受けました。衆参両院の議長は今後、各党・各会派で議論を進めるよう要請しました。

18日は衆議院議長公邸に、自民党の茂木幹事長や立憲民主党の野田元総理大臣ら衆参両院の各会派の代表者30人が集まり、安定的な皇位継承の在り方などをめぐり、先週国会に提出された有識者会議の報告書について松野官房長官らから説明を受けました。

報告書には皇族数を確保する方策として、女性皇族が結婚後も皇室に残る案と、旧皇族の男系男子を養子に迎える案の2つが盛り込まれています。

細田衆議院議長は「いつまでにと決めるものではないが、各党で検討を進めてもらいたい」と述べ、山東参議院議長も「大事な問題なので政争の具にしてはならず、各党でしっかり議論してもらいたい」と述べ、今後各党・各会派で議論を進めるよう要請しました。

有識者会議の報告書を受けて、自民党が麻生副総裁をトップとする懇談会を設置するほか、立憲民主党は野田氏をトップとする検討委員会を開くなど、各党それぞれ新たな組織を設置するなどして議論を進めることにしています。

松野官房長官「報告書 議論に資するものに」

松野官房長官は、午後の記者会見で「私と事務方から有識者会議の報告書の内容を説明し、出席された方から発言や質問があった。具体的なやり取りについては国会で議事録を公開するものと承知している。政府の立場で国会の議論などについて申し上げることは差し控えるが、報告書が国会での議論に資するものとなってもらいたいと考えている」と述べました。

自民 茂木幹事長「皇族数の確保が課題 議論進める必要」

自民党の茂木幹事長は記者団に対し「きょうは報告を受けることが主眼だったが、意見を求められたので、『報告書の内容はバランスのとれた内容になっている』と申し上げた」と述べました。

そのうえで「自民党でもこれから懇談会を立ち上げ、座長の麻生副総裁と、どのタイミングで議論をスタートするかよく相談したい。皇位継承の問題と切り離して、まずは皇族数の確保を図ることが喫緊の課題だという認識は共有しているので、そうした観点から議論を進める必要がある」と述べました。

立民 馬淵国対委員長「本気で向き合う覚悟があるのか」

立憲民主党の馬淵国会対策委員長は、記者団に対し「政府に対し、『安定的な皇位継承の在り方については、皇位継承資格者がいなくなるまで議論を行わないのか』と質したが、十分な答えはなかった。衆参両院の議長から、今後の議論の日程感も示されず、本気で課題に向き合う覚悟があるのかと強く感じた」と述べました。

そのうえで「今後、党内の検討委員会の議論では、報告書で問題となる箇所について政府の考えを質したうえで、独自に工程表を考えて、丁寧な議論を重ねていきたい」と述べました。

維新 馬場共同代表「いろいろな制度 検討しておく必要性ある」

日本維新の会の馬場共同代表は、記者会見で「報告書の方向性は、現実に沿った形になっていると思うが、皇族数を確保する方策として提示された案にはいろいろ問題点もあるので、党内で議論を進めたい」と述べました。

また、安定的な皇位継承の在り方について「以前、党内で議論した際には、女性天皇などの必要性を指摘する議員もいたので、改めてヒアリングをおこなって方向性を見いだしたい。個人的には、不測の事態に備えるという意味では、いろんな制度を検討しておく必要性はあると思う」と述べました。

国民 玉木代表「安定的皇位継承 どう図るかという視点の議論も」

国民民主党の玉木代表は記者団に対し「次の世代の継承者が、悠仁親王殿下しかいない中では安定的な皇位継承をどう図っていくのかという視点の議論もしていかなければならない。基本は男系男子だと思うが、非常に細い1本の糸のようになっているので、それで果たして大丈夫なのかという危機感は共有しており、これまでの伝統や憲法との整合性をとりながら解決策を見つけていくことが必要だ」と述べ、党内で議論を進める考えを示しました。

共産 小池書記局長「女性天皇 女系天皇も認められるべき」

共産党の小池書記局長は記者会見で「報告書では、女性天皇、女系天皇について正面から検討していない。むしろ男系男子によって継承されるべきだということが事実上、不動の原則となっており大きな問題だ」と述べました。

そのうえで「日本国憲法は天皇を日本国民統合の象徴と規定している。多様な性を持つ日本国民の統合の象徴である天皇を男性に限定する合理的な理由はなく、女性天皇、女系天皇も認められるべきだというのが共産党の立場だ。この立場で今後の議論に臨んでいきたい」と述べました。

れ新 山本代表「本質避けたゼロ回答 報告書基にした議論難しい」

れいわ新選組の山本代表は「天皇家への過重な負担を軽減するための代替案は一定示された。ただし、本質を避けたゼロ回答のため、この報告書を基に安定的な皇位継承という問題を国会で議論することは難しいだろう」とのコメントを発表しました。