五輪パラ施設
6施設中5施設で赤字見込み

東京オリンピック・パラリンピックで使われた競技会場の魅力を知ってもらおうと、都はカヌーの競技会場で都民向けの見学会を開きました。

都が東京オリンピック・パラリンピックに向けて新たに建設した6つの施設のうち、すでに夢の島公園アーチェリー場はスポーツ施設として開業していて、カヌー・スラロームセンターなど残る5つの施設は、改修工事を終えたあと来年から再来年にかけて開業する予定です。しかし、現時点では5つの施設で年間の収支が赤字となる見込みです。

都が想定する年間収支で唯一黒字なのは、有明アリーナで、年間3億5600万円です。

都は、スポーツの国際大会のほか、コンサートなどイベントでの利用を想定しています。

ほかの5つの施設は赤字が想定されています。

年間の赤字額は、
▼東京アクアティクスセンターが6億3800万円、
▼カヌー・スラロームセンターは1億8600万円、
▼海の森水上競技場は1億5800万円、
▼大井ホッケー競技場9200万円、
▼夢の島公園アーチェリー場は1170万円です。

こうした赤字額を見込んで算定された委託料を、都が指定管理者に支払うことになります。

つまり、都が赤字を負担する形です。

このため、都は今後、利用を促進して収益性を改善したい考えです。

しかし、大会が無観客で行われたことから、都は多くの人にとって施設はなじみが薄いとみていて、施設の魅力を知ってもらうことで、将来、利用者の増加につなげることも、見学会を開くねらいのひとつだといいます。

また、施設の命名権を企業に公募するほか、レジャーの体験やライブイベントの開催など、スポーツ以外の利活用の検討も進めているということです。

見学会に参加した40代の女性は「赤字がかさんでいくことは少し怖いですが、せっかくできたものなので、多くの人が使える施設にしてほしいです」と話していました。

東京都オリンピック・パラリンピック準備局の柏原弘幸 開設準備担当部長は「競技団体以外にもどれだけ多くの都民に利用してもらえるかが大事だ。東京湾を背景にしたロケーションなど、施設の特性を生かした利活用方法を考えていきたい」と話していました。