自殺対策白書
働く女性の自殺増加

ことしの自殺対策白書は、働く女性の自殺の増加が去年は顕著だったとして、新型コロナウイルスの感染拡大による労働環境の変化が関連した可能性があると指摘しています。

2日、閣議決定された自殺対策白書によりますと、去年1年間に自殺した人は2万1081人と、前の年より912人増えました。

前の年より増加したのは、リーマンショック後の2009年以来です。

男性の自殺者は前の年より23人減って1万4055人と、11年連続で減少した一方、女性は935人増えて7026人と、2年ぶりに増加しました。

増加が顕著だった女性の自殺者を過去5年の平均と比較したところ「被雇用者・勤め人」が最も増加し、職種別では「事務員」や「その他のサービス職」「医療・保健従事者」などが増えていました。

また、女性の自殺の原因や動機では、職場環境の変化や人間関係などの「勤務問題」が最も増えていることなどから、新型コロナウイルスの感染拡大による労働環境の変化が関連した可能性があると指摘しています。

政府は民間団体と連携して、SNSを使った相談体制を拡充するなど、自殺を予防するための取り組みを進めることにしています。

松野官房長官「重く受け止めなければならない」

松野官房長官は午後の記者会見で「多くの方が亡くなられている現実について、政府として重く受け止めなければならない。政府としては自殺を考えている方に対する電話相談や、女性や若者の利用が多いツールであるSNSでの相談などの体制の拡充に努めるほか、やむをえず職を失った方へのきめこまやかな就労支援や生活資金で悩んでいる方への支援を行っている。今後とも関係省庁の連携を密にして、誰も自殺に追い込まれることのない社会の実現を目指し取り組んでいく」と述べました。