緊急事態宣言の対象追加へ
埼玉 千葉 神奈川 大阪

新型コロナウイルス対策で、政府は、東京都と沖縄県に出されている緊急事態宣言の対象地域に埼玉、千葉、神奈川、大阪の4府県を追加し、期間は来月2日から31日までとする方針で、30日、専門家に諮ったうえで正式に決定することにしています。

新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、全国の新規感染者は29日、一日の発表としては初めて1万人を超えて過去最多となりました。

菅総理大臣は関係閣僚と対応を協議したあと、記者団に対し「強い危機感をもって対応している。ワクチン接種を進めながら各地域でしっかりと対応して、病床のひっ迫を招かないようにしっかりと対応していきたい」と述べました。

政府は感染状況の悪化を受けて、東京都と沖縄県に出されている緊急事態宣言の対象地域に、埼玉、千葉、神奈川、大阪の4府県を追加し、北海道、石川、兵庫、京都、福岡の5道府県にはまん延防止等重点措置を適用する方針です。

重点措置の適用地域では、原則、飲食店に酒の提供停止を要請し、提供できる条件を厳しくすることにしています。

期間はいずれも来月2日から31日までとし、来月22日までとなっている東京と沖縄の宣言の期限も、これにあわせて延長する方針です。

この場合、東京パラリンピックは、オリンピックに続いて宣言のもとで来月24日に開幕を迎えることになります。

政府はこうした方針を30日、感染症などの専門家でつくる「基本的対処方針分科会」に諮ったうえで、了承が得られれば、国会への事前の報告と質疑を経て対策本部で正式に決定することにしています。

埼玉 千葉 神奈川 3知事 緊急事態宣言追加を西村大臣に要請

新型コロナウイルスの感染が急拡大している、埼玉、千葉、神奈川の3県の知事は、29日夜、西村経済再生担当大臣とオンラインで会議を行い、緊急事態宣言の対象に3県を追加するよう要請しました。

首都圏での感染の急拡大が止まらない状況を受けて、埼玉、千葉、神奈川の3県の知事は29日夜、西村大臣とオンラインで会議を行いました。

3人の知事による共同での要請の中では、西村大臣に対して
▽現在の感染拡大は人流の増加に加え、感染力の強いデルタ株が拍車をかけていると思われること
▽療養者や入院患者が増加し、搬送の調整も極めて厳しくいずれ病床をひっ迫することが強く危惧されるとしています。

そのうえで、夏休みやお盆休みによる人流の一層の増加も懸念され、歯止めをかけるためには首都圏全体で警戒のレベルを最大限に高める必要があるとして、緊急事態宣言の対象へ3県を追加するよう要請しました。

期間については1か月程度としています。

一方、要請の中では、宣言を出すにあたっては、ワクチンの接種率など宣言を解除する目安も示すよう求めています。

埼玉 大野知事「できることを精いっぱいやる」

埼玉県の大野知事は会議のあと報道陣の取材に応じ「埼玉県としては感染拡大のスピードが極めて早く、まん延防止等重点措置で機動的に行う段階は過ぎたので、迅速に緊急事態宣言を出してほしいというのがいちばん大きな要望だった。また、ワクチンが不可欠なので、ボトルネックになっている国からの供給を求めた」と述べました。

そのうえで「3県のPR効果を出しながら、政府の決定に基づきできることを精いっぱいやりたい。宣言までの準備期間が短くなるかもしれないが、命を守り経済が上向きになるよう丁寧に理解を求めたい」と述べました。

千葉 熊谷知事「“宣言“は今回が最後に近い」

千葉県の熊谷知事は会議のあと、報道陣の取材に応じて「中等症の患者が増えている状況について説明し西村大臣に宣言の要請を行った。大臣からは、あす専門家で作る分科会に方針を諮ることが説明され、危機感を共有できたと思う」と述べました。

そのうえで措置の内容については「飲食店に対して酒類の提供の禁止を要請することになる。大変心苦しく思うが、宣言を出すのは今回が最後に近いと思うので、あと残りわずかな間、ぜひとも理解していただきたい」として県民や事業者への協力を呼びかけました。

また、政府が宣言の期間を来月2日から31日までとして検討を進めていることについては「期間は妥当だと思う。政府が期間の終了を31日までとする意味合いをどう説明するかは分からない」としながら、宣言の解除にあたってはワクチン接種の進捗(しんちょく)状況などを踏まえて目安を示してほしいという考えを示しました。

このほか、千葉県として宣言が適用される地域を県内全域ではなく感染状況に応じて区切ることを求めたことを明らかにしましたが、回答については「非公開の会議なので差し控えたい」としました。

今後は30日に政府から基本的な対処方針が示される見通しを示したうえで「政府と意見交換のうえ、事業者への要請などについて調整を本格化させたい」と述べ、遅くとも31日までに県として対策本部会議を開き、具体的な措置内容を決める方針を明らかにしました。

神奈川 黒岩知事「医療崩壊直前の状況」

神奈川県の黒岩知事は「2日連続で新規感染者が1000人を超え、医療崩壊直前の状況だ。1都3県がそろって緊急事態宣言となって、感染を面で抑える姿勢をアピールすることで、県民に対して、緊急事態を共有する一つのメッセージになるのではないか」と話していました。

そして、すでにまん延防止等重点措置の対象を県内のほぼ全域に広げ、酒類の提供の全面停止も要請していることから、宣言が出されても具体的な対策は、ほぼ変わらないとしたうえで「危機を乗り切るために、不要な外出の自粛など、基本的な対策の徹底を改めてお願いしていくしかない」と話していました。

「まん延防止」地域 酒提供の緩和条件を厳しく

政府は今回の「基本的対処方針」の変更で、まん延防止等重点措置の適用地域では原則、飲食店に対し酒の提供停止を要請するとしたうえで、知事の判断により酒を提供できるとする緩和条件を厳しくする方針で、感染が下降傾向がある場合に限るとしています。

それによりますと、緊急事態宣言の対象地域では、引き続き酒を提供する飲食店に休業を要請するとしています。

さらに、まん延防止等重点措置の適用地域では引き続き、原則、酒の提供停止を要請するとしたうえで、一定の要件を満たした店は知事の判断により午後7時まで酒を提供できるとする緩和条件を厳しくして、感染が下降傾向にある場合に限るとしています。

また、軽症の患者などへの治療法「抗体カクテル療法」に使われる2種類の薬について、重症化を防ぐことは医療提供体制の確保の観点からも重要だとして、必要な患者への供給確保を図り、医療現場で投与が必要な人に適切、確実に活用できるよう取り組むとしています。

さらに、関係する都道府県に対しては、現役世代の感染拡大が懸念される場所などを対象に政府が行うモニタリング検査の拡充に積極的に協力するよう求めています。

また、迅速な検査の実施に向けて、大学や高校などに対し最大80万回分の抗原検査キットの配布を今月中に始めるとしています。