自衛隊で初「宙作戦隊」
発足 不審な人工衛星監視も

自衛隊で初めての宇宙領域の専門部隊となる航空自衛隊の「宇宙作戦隊」が18日に発足し、防衛省は日本の人工衛星を守るため、不審な人工衛星や宇宙ごみを監視する体制の整備を本格化させることにしています。

「宇宙作戦隊」は、東京の航空自衛隊府中基地におよそ20人の隊員で新設され、18日午後、東京 市ヶ谷の防衛省で、河野防衛大臣から阿式俊英隊長に隊旗が授与されました。

宇宙作戦隊の主な任務は、日本の人工衛星を他国からの攻撃や妨害、それに宇宙ごみから守るための「宇宙状況監視」で、不審な人工衛星の動きや宇宙ごみの軌道の監視に当たります。

具体的には今後、宇宙監視用のレーダーを山口県内に設置するほか、JAXA=宇宙航空研究開発機構やアメリカ軍とも連携して「宇宙状況監視システム」を整備し、令和5年度から運用を始める計画です。

防衛省は、人工衛星は情報収集や通信、それに正確な位置情報の把握など、部隊の指揮に欠かせないとしていて、宇宙の監視体制の整備を本格化させることにしています。

宇宙作戦隊の阿式隊長は「まずは人材育成が重要だと考えているので、シミュレーターなどを使った訓練を進めていく予定だ。宇宙状況監視を行ううえで、グローバルな宇宙監視ネットワークを運用するアメリカとの連携は不可欠だと考えているので、今後、情報共有などの在り方について検討を進めたい」と話していました。

防衛相「宇宙の領域でも優位性確保を」

隊旗の授与式で、河野防衛大臣は「宇宙の領域でもわが国の優位性の確保が重要だ。システムの整備や育成をはじめ、本格的な運用に向けて課題は数多くあるが、新たな安全保障環境に一刻も早く適応するため、体制を構築しなければならない」と述べ、任務にまい進するよう指示しました。

このあと河野大臣は、記者団に「『宇宙作戦隊』は、初めての宇宙領域を専門とする部隊で、国民の期待も非常に高いと思う。人材育成も進めなければならず各国との協力態勢を築きたい」と述べました。