正予算案見直しで国債
新規発行58兆円余 最大に

政府は、1人当たり10万円の一律給付を実施するために見直した、今年度の補正予算案を決定し、追加の歳出は見直し前より8兆8000億円余り増えて25兆6914億円にのぼります。必要な財源は全額、国債で賄い、当初予算と合わせた今年度の国債の新規発行額は、過去最大の58兆円余りに膨らむことになりました。

政府は今月7日、事業規模が108兆円余りにのぼる緊急経済対策を実行するため、追加の歳出が一般会計で16兆8000億円余りとなる、今年度の補正予算案を決定しました。

しかし、政府は緊急経済対策に盛り込んだ、収入が減少した世帯への30万円の現金給付を取りやめて、1人10万円の一律給付を実施することを決め、補正予算案を見直しました。

新たな補正予算案では、10万円の一律給付に12兆8803億円の費用が必要となることから、見直し前よりも追加の歳出を8兆8857億円増やします。

その結果、補正予算案の歳出は25兆6914億円となり、緊急経済対策の事業規模は、108兆2000億円程度から117兆1000億円程度に拡大します。

不足する財源は赤字国債を、さらに追加で発行して賄うことになり、発行する国債の内訳は、赤字国債が23兆3624億円、建設国債が2兆3290億円となります。

当初予算と合わせた今年度の国債の新規発行額は、リーマンショックの後の2009年度を上回る、過去最大の58兆2000億円に達し、歳入の45.4%を国債に頼ることになります。

政府が一度決定した予算案を大幅に見直すのは極めて異例で、来週中にも国会で成立を図り、盛り込んだ政策を速やかに実行に移したい考えです。

経済対策の財政支出 48兆4000億円

国民1人当たり10万円の一律給付を実施するため、政府が緊急経済対策と今年度の補正予算案を見直したことから、対策の事業規模と財政支出は、見直し前よりそれぞれ8兆円余り拡大します。

このうち、緊急経済対策の財政支出は、国の一般会計や特別会計からの支出に地方自治体の負担や財政投融資を加えたもので、見直し前の39兆5000億円程度から48兆4000億円程度に増加します。

事業規模は、この財政支出に加え、金融機関による融資や保証の枠、税金や社会保険料の支払いの猶予、民間企業の支出なども含めた対策の総額を示すもので、108兆2000億円程度から117兆1000億円程度に拡大します。

この中には、一連の災害からの復旧・復興や経済の下振れリスクに備えるため、去年12月に決定した事業規模で26兆円の経済対策のうち、今後効果が見込まれるものとして19兆8000億円程度が計上されているほか、先月までにまとめた緊急対応策の第1弾と第2弾を合わせた事業規模で、2兆1000億円程度も含まれています。

国債発行残高1033兆円に

財務省によりますと、政府が今年度の補正予算案で国債の新規発行額を増やすため、今年度末時点での国債の発行残高は1033兆円に増加する見通しです。

国債の発行残高は毎年増え続けていて、1000兆円を超えるのは、これが初めてになります。

国債の発行残高は、今年度の税収見込みのおよそ16倍となり、財政の面では一段の悪化が避けられない状況となっています。