年度補正予算
賛成多数で可決 成立

新たな経済対策を実行するための費用などが盛り込まれた今年度の補正予算は、30日夜、参議院本会議で採決が行われ、自民・公明両党などの賛成多数で可決・成立しました。

今年度の補正予算案は30日、参議院予算委員会で安倍総理大臣とすべての閣僚が出席して質疑が行われたあと、自民・公明両党と日本維新の会の賛成多数で可決されました。

これを受けて30日夜、参議院本会議が開かれ、討論で自民党は「昨年末にまとめられた経済対策は、安心と成長の未来を切りひらくものであり、補正予算の執行は、その実現のために不可欠なものだ」と述べました。

これに対し、立憲民主党は「不要不急の事業が盛り込まれており、最も重要な被災地の復旧・復興を十分かつ速やかに実施できるのか、懸念を抱かざるをえない」と述べました。

そして、採決が行われた結果、自民・公明両党と日本維新の会などの賛成多数で可決・成立しました。

補正予算は、経済の下振れリスクに備える対策や、去年相次いだ台風など一連の災害からの復旧・復興のための費用などが盛り込まれていて、追加の歳出は一般会計で4兆4700億円余りです。

補正予算の詳細

30日に成立した今年度の補正予算には、去年12月に取りまとめた新たな経済対策を実行するための費用として、4兆4722億円が追加の歳出として計上されています。

災害からの復旧復興

このうち去年10月の台風19号など一連の災害からの復旧・復興や「国土強じん化」に向けたインフラ強化に2兆3086億円が充てられます。

▽河川の堤防のかさ上げや、川底を掘削して水位の上昇を防ぐなどの治水対策に2437億円、
▽市街地の浸水被害を防ぐため、雨水をためておく施設の整備に673億円が盛り込まれました。
経済の下振れリスク対応
経済の下振れリスクに備えるための対策には、9173億円が計上されました。

▽中小・小規模事業者の生産性の向上に向けて、革新的な製品やサービスを開発するための設備投資や、最低賃金の引き上げに向けた支援などに3847億円、

▽日米の貿易協定を踏まえ、和牛の増産に向けた支援の拡充や農林水産業の輸出拡大に3428億円が盛り込まれました。

オリパラ後を見据えた景気活性化策

このほか東京オリンピック・パラリンピック後を見据えた景気活性化策には、1兆771億円が計上されました。

▽去年10月から始まったキャッシュレス決済のポイント還元制度で、還元するポイントの原資などとして1497億円。

▽高齢ドライバーによる交通事故を防ぐため、自動ブレーキを備えた車の購入に最大10万円の補助金を出す制度などに1139億円が盛り込まれました。

また、▽令和5年度までに小中学生に1人1台のパソコンなどを配備することを目指す事業などに2318億円。

▽高速・大容量の通信規格、5Gのさらに次の世代にあたる「ポスト5G」の技術開発を支援する基金を設けるため1100億円が充てられます。

財源

こうした対策を実行するための財源は、公共事業などに使いみちを限った建設国債を2兆1917億円発行するなどして捻出します。

また、税収不足を補うため、赤字国債を2兆2297億円、追加で発行します。年度の途中で赤字国債を追加発行するのは3年ぶりです。

剰余金を財源として活用する特例法も成立

今年度の補正予算の成立に合わせて、昨年度・平成30年度の国の一般会計の剰余金・余ったお金を財源として活用することを特例で認める法律も成立しました。

剰余金は、予算に計上されながら執行されなかったり、税収が見込みよりも増えたりして余ったお金です。

30日に成立した補正予算では、追加の歳出、4兆4722億円の財源として、昨年度の剰余金1兆3283億円のうち8016億円を活用することになっています。

財政法では、剰余金はその半分以上を国債の償還などに充てることが定められていますが、特例法では、昨年度の剰余金についてはこの規定を適用しないとしています。

また、残りの5200億円余りは新年度予算案の歳入の一部に充てられ、これにより昨年度の剰余金は、全額が借金の返済ではなく新たな支出の財源に充てられることになります。

これは、政府が去年12月に取りまとめた新たな経済対策を実行するための費用が、今年度の補正予算と新年度予算案に合わせて6兆818億円盛り込まれたことから、新たな借金にあたる国債の発行を抑制しつつ、財源を捻出するための措置だとしています。