位に伴う祝賀パレードは
来月10日に延期へ

天皇陛下の即位に伴い、今月22日に予定されていた祝賀パレード、「祝賀御列の儀」について、政府は、台風19号の被災地への対応に万全を期すなどとして、およそ3週間延期し、来月10日に実施する方針を固めました。

政府は、憲法で定める国事行為として、今月22日に、天皇陛下が即位を内外に宣言される「即位礼正殿の儀」を行うとともに、祝賀パレードの「祝賀御列の儀」や、祝宴にあたる「饗宴の儀」を予定していました。

しかし、台風19号により広い範囲で甚大な被害が発生したことを受けて、政府は、被災地の復興・復旧対応に万全を期すなどとして、このうちの「祝賀御列の儀」について、およそ3週間延期し、来月10日に実施する方針を固めました。

一方、「即位礼正殿の儀」や22日から4回に分けて開く「饗宴の儀」については、予定どおり行うことにしています。

政府は、「祝賀御列の儀」の日程などについて、18日の閣議で、改めて決定することにしています。

「祝賀御列の儀」とは

「祝賀御列の儀」は、天皇陛下が、皇后さまとともに、広く国民に即位を披露し祝福を受けられる儀式で、祝賀パレードにあたります。

今月22日、即位を内外に宣言する「即位礼正殿の儀」に続いて午後3時半から国事行為として行われることになっていました。

天皇皇后両陛下がオープンカーで皇居・宮殿を出発し、二重橋前交差点、国会議事堂正門前を経て青山通りに入り、およそ4.6キロのルートを通り抜けて午後4時ごろ、赤坂御用地にあるお住まいに到着される予定でした。

前回、上皇さまが即位された際のパレードでは、およそ11万7000人が沿道に詰めかけ、即位を祝いました。

今回のパレードで使われるオープンカーは、先月、納車されて皇居に運ばれ、皇居内でドライバーの習熟のための訓練が行われるなど準備が進められています。

儀式まで1週間となった15日には、両陛下が「即位礼正殿の儀」のリハーサルに臨み、リハーサルのあとに皇居内でオープンカーに試乗されました。一方、天候が悪化する見通しの場合、パレードは4日後の26日に延期され、26日も悪天候が予想されれば、取りやめられることになっていました。

警視庁 祝賀行事を最大の態勢で警備

天皇陛下の即位を祝う祝賀行事については警視庁が警視総監をトップとする「最高警備本部」を立ち上げて最大の態勢で警備にあたることにしています。

また全国の警察からはすでに応援の警察官が東京に派遣され、皇居の周辺やパレードのルートなどで警戒を強化しています。

一方、台風19号による被害が出た地域では今も警察が住宅に取り残されている人の救助や安否がわからない人の捜索にあたっていて、愛知県警や京都府警など23の道府県の警察から延べおよそ1400人が広域緊急援助隊として現地に派遣されています。

警察庁はもともと大雨などの災害が起きて警察の対応が必要になることも想定して一連の祝賀行事に向けた準備を進めてきましたが、今回の台風による被害が非常に大きく警備態勢などに影響が出ているということです。

大規模災害の際 過去にも皇室の祝賀行事の延期や取りやめ

これまでにも大きな災害や事件が起きた際には皇室の祝賀行事などが延期されたり、取りやめられたりしてきました。

大正12年には関東大震災を受けて、当時皇太子だった昭和天皇の結婚の儀式が延期されました。昭和34年には、東海地方に甚大な被害をもたらした伊勢湾台風を受けて、秋の園遊会が延期されました。

平成に入ってからも、平成7年の阪神・淡路大震災を受けて、春の園遊会が取りやめになりました。

翌平成8年には、南米ペルーの日本大使公邸で起きた人質事件に配慮して、天皇誕生日の祝賀行事や一般参賀が取りやめになりました。

平成23年には、東日本大震災の発生を受けて春の園遊会が取りやめになりました。

平成25年には、台風26号の大雨で伊豆大島などで大きな被害が出たことを受けて、上皇后さまの誕生日の祝賀行事が取りやめられました。