電復旧「甘い見通し」
冷房使えず高齢者死亡も

台風15号の影響で広範囲で停電が起きた千葉県で、県内の複数の自治体が、東京電力が当初示した早期復旧の見通しに基づいて、福祉施設への電源車の派遣要請を一時見送っていたことが分かりました。停電が長引いた君津市の福祉施設では入居者が熱中症の疑いで死亡していて、東京電力は「見通しが甘かったことは事実で今後、停電との関連を検証する」と話しています。

台風15号の影響で今月9日から始まった千葉県の大規模な停電で、東京電力は当初、11日までに復旧させる見通しを示しましたが、その後、何度も修正され、停電が長引く結果となりました。

NHKが千葉県内の各地の自治体に取材したところ、複数の自治体で、早期復旧の見通しに基づいて東京電力に対して福祉施設への電源車の派遣要請を一時見送っていたことが分かりました。

このうち君津市は、市内の99%以上が10日中に復旧すると発表されたことから、水や食料の確保を優先して行い、電源車の要請は見送ったということです。

ところが停電は解消されず、市内にある特別養護老人ホームではクーラーが使えない状態が続き、11日朝、入所していた82歳の女性が熱中症の疑いで病院に搬送され、その後、死亡したということです。

君津市は「10日中に電気が復旧すると思い込み、電源車の要請が遅れてしまった」と話しています。

福祉施設は「電源車は必要ないと判断して施設からも市に求めなかった。東京電力には甘い見通しではなく正確なデータに基づいて想定をして欲しかった」と話しています。

東京電力は「見通しが甘かったことは事実で、今後、停電との関連を検証する」と話しています。