児教育と保育無償化へ
改正法成立 10月1日施行

幼児教育と保育を無償化するための改正子ども・子育て支援法は10日の参議院本会議で自民・公明両党と国民民主党、日本維新の会などの賛成多数で可決され、成立しました。

ことし10月の消費税率の引き上げに合わせて、幼稚園や認可保育所などを無償化するための「子ども・子育て支援法」の改正案は10日の参議院本会議で討論と採決が行われました。

討論で日本維新の会は「無償化は、教育費の負担軽減が子どもを持つ動機付けになるという証拠に基づくものだ。社会全体で子育て世帯を支援していくことこそが豊かな未来につながる」と訴えました。

これに対し、立憲民主党は「環境整備をすることなく無償化を進めれば、待機児童問題はますます悪化し、質の悪い幼児教育と保育が横行する。保育士や幼稚園教諭のなり手不足で現場が疲弊する」と指摘しました。

このあと採決が行われ、改正子ども・子育て支援法は自民・公明両党と国民民主党、日本維新の会などの賛成多数で可決され、成立しました。

改正法はことし10月1日に施行され、3歳から5歳までは幼稚園や認可保育所などが無償化されるほか、0歳から2歳までは住民税の非課税世帯を対象に認可保育所などが無償化されることになります。

ベビーシッターの研修義務化へ

幼児教育と保育の無償化では認可外の保育施設や事業を利用する際、自治体が保育の必要性を認めれば、一定の上限を設けて給付金が支給されます。

ただベビーシッターは対象にはなるものの、資格取得や研修など、明確な基準が設けられておらず、自治体などからはベビーシッターの質の確保に向けた対策が必要だという指摘が出ています。

これを受け、厚生労働省の専門委員会は看護師や保育士の資格を持つ人以外がベビーシッターを行う場合には保育や安全管理に関する研修の受講を義務づける方針を決め、新たに指導監督基準を設けることになりました。

10月の消費税率引き上げに合わせ実施対象は約300万人

10日の改正法の成立を受けて、幼児教育と保育の無償化は、ことし10月の消費税率の引き上げに合わせて実施されます。

まず3歳から5歳までの子どもについては、幼稚園、認可保育所、認定こども園、企業主導型保育所などの利用料が、世帯の所得にかかわらず一律に無償化されます。

独自の利用料を定めている一部の私立幼稚園は、月額2万5700円を上限に、幼稚園での「預かり保育」も、市町村から、保護者の就労や介護など保育の必要性が認められれば、月額3万7000円を上限に、それぞれ給付金が支給されます。

さらに、認可外保育施設なども、保育の必要性が認められれば、月額3万7000円を上限に給付されます。

また、0歳から2歳までの子どもについては、住民税の非課税世帯に限り認可保育所、認定こども園、企業主導型保育所などが無償化されるほか、認可外保育施設などは月額4万2000円を上限に無償化されます。

ただ、認可外保育施設をめぐっては、「保育の質の確保が必要だ」という指摘があることを踏まえ、市町村が、運営が不適切と判断した場合は、給付金を停止できるとされています。

また、無償化の費用は、市町村が運営する施設は、全額を運営主体が負担し、私立などは、国が2分の1、都道府県と市町村がそれぞれ4分の1を負担することになっています。

対象者は幼児教育と保育を合わせておよそ300万人と見込まれています。