国会議員は連休
どう過ごす?野党編

一方、野党の議員はどうでしょうか。
超党派の議員連盟による外国出張や、労働組合を支持団体とする各党の幹部らが、5月1日のメーデーに合わせて各地で開催される集会に参加するのは、恒例となっています。
ことしは、新党結成の動きや大型連休明けの国会の動向などをにらみ、時間を使う議員もいます。
(政治部野党担当記者・鈴木壮一郎、山枡慧)

再び、新党の渦中に

「ことしのゴールデンウィークは、ひと呼吸置いて、今までの政治活動を総括し、もう1回、自分に問いかけるような時間も必要だとは思っています」

希望の党の結成メンバーだった松原仁・元拉致問題担当大臣(61)です。去年9月、民主党も含めて、17年間、在籍した民進党に離党届を提出しました。

「あの時は、あの決断しかないと思ったのは事実です」
当時、支援者の中には反対意見もありましたが、十分に説明が出来ない中での決断だったといいます。一時は大きな注目を集めた希望の党ですが、その後、失速。去年の衆議院選挙で松原さんは、比例代表での復活当選となりました。

それからわずか半年余り。希望の党は大型連休明けに、民進党と「国民民主党」を結党することになりました。
「やっぱり『野党第1党に』と、みんな、そうなると思っていたから、最初は。東京都の小池知事がリーダーとして戦い、そこは期待したんだけど……」

もう一度、問い直す

松原さんは、「国民民主党」の結成が決まる直前まで、新党に加わるかどうか悩んだといいますが、最終的に参加しないと決断しました。支援者からは、「当面の間、無所属で活動を続けていくべきだ」という強い要請があったといいます。

有権者の理解を求めるため、地元の駅頭に立ち、みずから大きなスピーカーを肩に下げます。松原さんは、ライフワークの拉致問題に取り組むため、ことしの大型連休中もアメリカを訪れることにしていますが、有権者の声にも耳を傾けながら、今後の政治活動のあり方を問い直す時間が多くなりそうです。

休みの課題図書は「憲法」

700ページ近い憲法の専門書を手にしているのは、立憲民主党の山花郁夫・憲法調査会長(51)です。山花さんにとって、5月3日の憲法記念日を挟む大型連休は、憲法をめぐる党の主張を多くの人に伝える絶好の機会です。

「専門書は、連休中の課題図書です。憲法記念日は、一般の人が日常的には意識しない憲法に思いをはせる大事な日です。8月15日に平和について考える機運が高まるのと同様に、『憲法の意味』を冷静に考えるチャンスです」

山花さんは、党の伝道師役として、憲法記念日の前後に各地で開かれるイベントなどに参加し、5月6日には、地元の東京・調布市で開かれる市民集会に出席する予定です。

立法事実って、何?

山花さんは、憲法論議で必要な観点は「立法事実」だと訴えています。あまり聞き慣れない言葉なので、山花さんに解説してもらいました。

「『なぜその法律が必要なのか』というのが『立法事実』です。法律を作る時は『立法事実』が必要とされていますが、憲法論議も同じです。自民党は『憲法に自衛隊を明記する』としていますが、自衛隊を明記しても何も変わらないのであれば、『立法事実』の観点から説得力は低いのではないかと」

その日に備えるために

国会では、大型連休前から与野党の激しい対立が続いており、衆議院の憲法審査会は開かれない状況が続いています。

「いずれかの段階で、各党がそれぞれの考えを表明することになりますが、具体的なテーマについては、『立法事実があるのか』としっかり提起したい」。

山花さんにとっては、党の主張に広く理解を得ながら、みずから課した課題図書も読み込んで、国会での憲法論議に備える大型連休になりそうです。

政治部記者
鈴木 壮一郎
平成20年入局。津局、神戸局を経て政治部。現在、野党クラブ担当。神奈川県平塚市出身、湘南ベルマーレのファン。
政治部記者
山枡 慧
平成21年入局。青森局を経て政治部に。現在、野党担当。趣味はフットサル。