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柏崎刈羽原発 新潟県議会議員アンケート【解説編】

再稼働や住民避難 地域の代表はどう考える?
  • 2024年02月27日

燃料価格の高騰や、脱炭素社会を目指す動きが強まるなか、事実上の運転禁止命令が解除された東京電力柏崎刈羽原発の再稼働をめぐる動きが注目されています。こうしたなかNHK新潟放送局は、2024年1月から2月にかけて地域の代表である県議会議員を対象に柏崎刈羽原発についてアンケートを行いました。その結果を解説します。(新潟放送局 記者 油布彩那)

原子力発電所をどうしていくべきか?

国はエネルギー基本計画のなかで電源構成に占める原子力発電の割合を2030年度までに「20%から22%」としているほか、安全を最優先に原発を最大限活用する方針を打ち出しています。
こうしたなか、原発をどうしていくべきだと考えているか聞きました。

その結果「減らしていくべき」と答えた人が最も多く34人。多くが自民党の議員でした。
次いで「すぐにやめるべき」が13人。こちらは、未来にいがたやリベラル新潟の議員など。
「最大限活用するべき」が2人で、自民党や真政にいがたの議員です。

理由については以下のような回答がありました。

減らしていくべきと答えた人は「将来的には減らすべきだが、当面必要なエネルギー確保のためには選択肢の1つ」などと説明しています。
すぐにやめるべきと答えた人は「事故時の安全な避難が不可能」、
最大限活用するべきと答えた人は「現状では頼らざるを得ない」などと説明しています。

柏崎刈羽原発6、7号機の再稼働について

次に事実上の運転禁止命令が解除された柏崎刈羽原発の6、7号機の再稼動についてたずねたところ、党派を超えてさまざまな意見が聞かれました。

賛成と答えた人は5人で、自民党や未来にいがたの議員でした。
理由として「原子力規制委員会によって慎重に検査が行われた結果」であるとか「安定的なエネルギー供給のために必要」などを挙げています。

反対と答えた人は21人で全体の4割あまりです。
未来にいがたやリベラル新潟、自民党の一部と無所属の議員でした。
理由として「避難方法が定まらない状況だから」とか「万が一の事故や複合災害時に大きな被害が出る」、また「放射性物質や被ばくに対する不安を消し去ることができない」といった点を挙げています。

最も多かったのは「どちらでもない」や「判断を差し控える」などの判断できないという回答で、約半数の25人でした。こう答えたのは自民党や公明党、真政にいがたの議員です。
理由として「県の技術委員会で安全対策を確認中」であるとか「これまで県などが国に要望してきた避難路の整備について現状が見えない」、「能登半島地震の後、原子力災害対策指針が見直しを含む検討中」といった点を挙げています。

複合災害時の住民避難の対策は

アンケートでは大雪や地震などの際に原発事故が発生する、複合災害が起きた時の住民避難について、対策は十分と思うかについてもたずねました。

この質問に回答した51人が「十分でない」と答えていて、能登半島地震のあと、住民避難のあり方が改めて大きな焦点となっていることが分かります。

理由については以下のように回答しています。
・能登半島地震で石川県にある志賀原発の周辺で家屋が倒壊したが、屋内退避ができるのか
・地震の際、県内でも車で避難する人たちで渋滞が起きたことを踏まえ、だれもが我先に避難す  るわけで屋内退避は非現実的
・過去の大雪で国道や高速道路だけでなく生活道路が塞がったこともあり避難は不可能

柏崎刈羽原発の今後 再稼働めぐる地元同意は

今後、柏崎刈羽原発の再稼動をめぐる議論はどうなるのか。
国や東京電力は再稼動にあたって地元の理解を得るとしていて、地元同意に注目が集まっています。新潟県の花角知事は以前から「自身の判断を示したうえで県民の意思を確認する」としていますが、意思を確認する具体的な方法については明らかにしていません。アンケートでは地元同意を決める方法についても聞きました。

4つの選択肢を設けて聞いたところ、
「知事選挙」が2人、「住民投票」が7人、「県議会での議決」が4人。
「その他」が最も多く37人でした。

「その他」を選んだ議員の多くが「意見の集約方法は首長の判断によるべき」と答えました。また「原発は国策で、明確な法的根拠や権限のない自治体が判断することはあり得ない」などといった意見もありました。

知事の判断 タイミングや判断の材料は

再稼働について「自身の判断を示したうえで県民の意志を確認する」とする花角知事。

花角知事はこれまでに、原発再稼働をめぐる議論の材料を示していて、このうち「県の技術委員会での安全対策の確認」や「原子力災害時の避難の課題への取り組み」は現在も議論が続いています。

また知事は、原子力規制委員会が検討している「屋内退避」についても議論の材料の1つだとしていて、再稼働をめぐる判断については「議論の推移を注視しながらどこかの段階で再稼働の是非を判断するもの」と述べています。
柏崎刈羽原発をめぐっては、安全対策や避難、経済効果を含めた影響などについて、地域の声を踏まえながら県議会でも議論が尽くされることに期待したいと思います。

 

  • 油布彩那

    新潟放送局 記者

    油布彩那

    2019年入局
    新潟生活5年目。
    行政や拉致問題の取材を担当。

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