Q26 マンションの高齢者向けリフォーム、注意すべきポイントは?
クローズアップ現代で継続取材してきた『住まいの問題』。視聴者の皆さまからも数多くのお悩みが寄せられました。そこで今回、専門家協力のもと、2ヶ月の間お答えしつづける「お悩み相談マラソン」に挑戦します。今回寄せられたのは「マンションの高齢者向けリフォームを検討しているが、注意すべきポイントを知りたい」というお悩み。マンション管理の専門家に聞きました。
(NHK『住まいの問題』取材チーム)
相談内容
高齢の親がマンションで独居しています。築40年を超える物件で、安全に暮らしてもらうためにリフォームを検討しています。どんな点に注意すべきでしょうか。
回答
“ 専有部分のリフォームでも、共用部分の変更にあたるケースがあります ”
解説
(マンションみらい価値研究所 所長 久保依子)
高齢者向けのリフォームとしてご相談が多いのは、追い炊き機能の追加、車いす等の移動用レールの設置、ガス器具の電化などです。
とかく高齢者は皮膚の感覚が弱くなり、温度を感じにくくなります。築年数の経過したマンションでは、追い炊き機能がなく風呂の湯を温め直すときに指し湯をしなければならないことがあります。高齢者の場合、この際に誤って高温のお湯に触れて火傷をしてしまう危険性があるのです。ただし、追い炊き機能を追加するには、給湯管を通すためにコンクリートに穴をあける必要があります。この工事は共用部分の変更にあたり、事前の調査と管理組合の総会決議が必要になります。
車いす等の移動用レールは、コンクリートにレールを固定するためにアンカー等を打ち込む必要があります。火事の危険性を減らすためにオール電化にするには、配線や配管工事が必要です。いずれも同様に共用部分の変更にあたります。
こうした工事のリフォーム申請は、実際に高齢者が怪我をしたなどの切羽詰まった状況になってからの相談になることが多いです。しかし、管理組合の総会は年に1回。臨時総会を開催するにしても、時間がかかってしまいます。また、ご高齢の方は、今まで使っていた機器などは利用できても、新しいものはなかなか使い方を覚えられないというお話もよく聞きます。
そのため、事前に管理規約を改正して、高齢者向けリフォーム工事をしてもよい範囲を決めておき、理事会への申請で工事可能にしておくことなどの対応も考えられます。高齢化が進んでいるマンションはニーズにあわせた管理規約の改正を検討してみてはどうでしょうか。
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