【特集】ストレスが原因で起こる病気 心身への影響や症状、治療法について

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【特集】ストレスが原因で起こる病気 心身への影響や症状、治療法について

ストレスは体や心に不調を及ぼします。心身への影響や、ストレスが原因で起こる病気についてまとめました。過敏性腸症候群、円形脱毛症、緊張型片頭痛、慢性腰痛などといった病気の症状や治療法について解説します。簡単にできるストレスチェックについても合わせて紹介。

ストレスによる心身への影響

ストレスを感じている時、人によっては、お酒が増えてしまったり、やけ食いをしてしまったり、行動に表れるケースがあります。または、便秘や下痢など身体に直接現れてくる場合もあります。これらは、自分にストレスがたまっていることを自覚することができるサインとなります。

ストレスが関係する主な病気

ストレスが関係する病気には

  • 過敏性腸症候群
  • 円形脱毛症
  • 緊張型片頭痛
  • 慢性腰痛
  • 脳卒中
  • 心筋梗塞
  • 冠れん縮性狭心症
  • うつ病
  • 適応障害

などがあります。

過敏性腸症候群

下痢
便秘

検査をしても腸に異常は見られないのに、腹痛、下痢や便秘などの便通異常を慢性的に繰り返す状態を過敏性腸症候群といいます。例えば、「通勤電車の中で必ず腹痛に襲われる」「試験の前になると必ず便秘になる」など、ストレスがかかったときに一時的におなかの不調が起こる」ような状態です。このように、ストレスと便通異常に関連があるのは、脳と腸が自律神経でつながっていて、密接な情報のやり取りを行っているからです。ストレスの影響を受け、腸の動きが速くなりすぎると、下痢になります。反対に動きが十分でないと、便秘が起こります。

ストレスにもさまざまなものがありますが、不安、緊張、周囲への過剰反応、抑うつなどがストレスとなって過敏性腸症候群を起こすケースがよく見られます。

過敏性腸症候群は、適切な治療によって治すことができる病気です。治療の柱は、生活習慣の改善、食事指導、薬物療法、心理療法です。

過敏性腸症候群の治療について詳しく知りたい方はこちら

円形性脱毛症

円形脱毛症の発症はストレスや風邪や、睡眠不足、過度な疲労、胃腸炎、出産やケガなどさまざまな要因が関係していると原因が考えられます。

「円形脱毛症」の治療は、年齢や脱毛の範囲などにより変わってきます。
初期の治療法としては、ぬり薬やのみ薬で治療を行います。そのほか、光線治療を行う場合もあります。およそ3か月~半年ほど経過を見ます。

円形脱毛症は、抜けてしまうのはあっという間ですが、取り戻すには根気がいります。
重症化すると、治療が長期にわたる可能性が高いので、早期発見することが何より大事です。

円形脱毛症の早期発見のサイン

【早期発見のための円形脱毛症のサイン】

  • 髪の毛がゴワゴワとした感触になる
  • 毛根がついていない髪の毛が多く抜ける

円形脱毛症は、自然に治ることもありますが、一人で抱え込まず、さまざまな治療法がありますので、心配せずに皮膚科を受診してください。

円形脱毛症について詳しくはこちら

緊張型頭痛

緊張型頭痛は、側頭筋や後頚筋群、僧帽筋などの頭から首、背中にかけての筋肉のコリや張りによって、痛みを感じる神経が刺激されることで、痛みが起こると考えられており、その原因の多くは、長時間の同一姿勢、悪い姿勢、不適切な枕、運動不足など生活習慣が関係しています。

緊張型頭痛かどうかわかるセルフチェックはこちら
緊張型頭痛を改善する対策についてはこちら

原因となる生活習慣を改めても頭痛がやわらがない場合は、精神的ストレスが関係している可能性があります。精神的ストレスが加わると、脳など中枢神経の痛みの感じ方が過敏になることで緊張型頭痛が長引くと考えられています。

緊張型頭痛について詳しくはこちら

慢性腰痛

腰の痛みが3か月以上続く状態を、慢性腰痛といいます。慢性腰痛には腰に異常がないのに痛みが続くケースと、腰の異常が治ったのに痛みが続くケースの2タイプがあります。腰の痛みがよくなったり、悪くなったりするのを繰り返す場合も慢性腰痛に含みます。痛みの程度はさまざまで、なかには激痛を訴える場合もあります。

慢性腰痛は、小学生から高齢者まで幅広い年代に見られます。なかでも30~50歳代の働き盛りに多く、都会の事務職に多いことがわかっています。その理由として考えられるのがストレスです。

痛みを和らげるしくみ
ストレス うつ 不安を長期間感じると

慢性腰痛は、腰の痛みを和らげる仕組みと関係があります。腰から痛みの信号が脳に伝わると、脳からドパミンという神経伝達物質が放出されます。すると、脳内でμオピオイドという物質が多量に放出されます。その結果、神経伝達物質であるセロトニンやノルアドレナリンが放出され、痛みの信号を脳に伝える経路が遮断されます。この仕組みによって、腰痛などの痛みが気にならなくなったり、我慢できたりするようになります。しかし、ストレス、うつ、不安などを長期間感じていると、脳でドパミンが放出されにくくなって、腰痛が長引いたり、わずかな痛みでも強く感じたりするようになります。

精神的要因の有無をはっきりさせないまま腰痛の治療を繰り返していると、効果が出ないため治療への不満が増して、ストレスや不安が増えるという悪循環が起こるため、医療機関では、慢性腰痛の患者さんの精神的要因をチェックする方法としてBS-POPという質問票が使われることがあります。

腰痛の精神的要因のチェック「BS-POP」はこちら

ストレスが原因で起こるその他の病気

脳卒中

脳卒中は、脳梗塞、脳出血、くも膜下出血の3つのタイプに分けられます。ストレスによって緊張や不安を感じると、血管が収縮して血圧が上がり脳卒中の発症リスクを高めます。

【特集】命に関わる脳卒中はこちら

心筋梗塞

心筋梗塞は心臓を取り巻く冠動脈という血管が突然詰まる病気です。冠動脈は心臓を動かす心筋に酸素や栄養を送っています。心筋梗塞は、この冠動脈が動脈硬化によって詰まり血流が途絶え、その先にある心筋が壊死して、激しい胸の痛みに襲われます。

心筋梗塞について詳しくはこちら

うつ病

うつ病は心理的なストレスなどが原因で、睡眠障、疲労感などのからだの不調や、意欲・興味の減退などのこころの不調が現れる病気です。

【特集】うつ病はこちら

適応障害

適応障害は、強いストレスによって、日常生活を送ることが困難になるほどの"こころの不調"が現れる病気です。こころの症状には、「憂うつな気分で落ち込む」、「不安感で神経質になる」、「焦る気持ち」などがあります。

適応障害について詳しくはこちら



ストレスを溜め込まない!解消する!

簡単にできる!ストレスチェック

ストレスを限界まで溜め込まないように、自身のストレス状態を定期的にチェックすると良いでしょう。簡単にできる「余力チェック」というストレスチェック法をご紹介します。

【用意するもの】

  • 手帳またはカレンダー
  • ペン

余力チェックの手順はいたって簡単。1日の終わりに余力を0~100%で記録するだけです。
例えば、「今日は化粧を落とす気力さえないから、0%」や「録画したドラマを見る余力があるから60%」というように、深くは考えずに直感で余力パーセンテージを記録します。パーセンテージと一緒にその日の出来事や感想を添えておくと、後々振り返りを行う際に役立ちます。

コーピング(適切な気晴らし・ストレス解消法)

ストレス発散の仕方を間違えると、将来病気につながったり、別のストレスにさらされてしまったりする場合があります。
ストレスを前向きに解消する行動、ストレスの原因を取り除いていく行動を心がけましょう。

ストレスを前向きに解消する方法として、「コーピング」という対処法をご紹介します。コーピングとは、「上手に対処する」という意味をもつ言葉で、適切な気晴らしやストレスの発散方法を指します。
コーピングにおいて重要なのは事前に考えておくこと。ここで、番組ディレクター(30代・女性)が作成したコーピングリストの一例です。

コーピングリストの一例ストレスに対処するコーピングリストの一例

コーピングのコツ

コーピングリストには、ストレス発散につながるものならなんでも入れていいというわけではありません。以下の3つに注意しましょう。

  1. ストレスが解決した後必ず自分のためになる行動にする
    やけ酒ややけ食いなどは、後々自分のためにならない面もありますよね。将来の自分にとってメリットのある行動を選びましょう。
  2. 細分化して増やす
    例えば「掃除をする」という行動でも、キッチンを掃除するのか、洗面台を掃除するのかなどは分けておくと良いでしょう。行動を起こす時に、気分や状況に合わせて、キッチンと洗面台どちらかを選べるようにするためです。
  3. 実際にどんどん試してみる
    試してみるうちに、「今日はこちらの方がよかった」「今日はこちらの方が役にたった」のようなデータが蓄積されていきます。そういった積み重ねをもとによりよいストレス対処について考えていくとさらに質の高いコーピングが実現できます。

コーピングが多ければ多いほど状況に応じた選択肢を増やすことができます。ストレスの度合いや状況はその時々で異なりますので、対応するコーピングのバリエーションも多いほうが良いと言えます。



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