腹痛・下痢・便秘が続く原因はストレス?「過敏性腸症候群」とは

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ストレスは、腹痛や下痢・便秘が続く大きな原因

下痢
便秘

検査をしても腸に異常は見られないのに、腹痛、下痢や便秘などの便通異常を慢性的に繰り返す状態を過敏性腸症候群といいます。例えば、「通勤電車の中で必ず腹痛に襲われ、下痢をすることもあるため、各駅停車にしか乗れない。各駅のトイレの位置を把握している」「試験の前になると必ず便秘になる。4日以上排便がなく、腹痛で集中できない」など、「ストレスがかかったときに一時的におなかの不調が起こる」ような状態です。このように、ストレスと便通異常に関連があるのは、脳と腸が自律神経でつながっていて、密接な情報のやり取りを行っているからです。ストレスの影響を受け、腸の動きが速くなりすぎると、下痢になります。反対に動きが十分でないと、便秘が起こります。

ストレスにもさまざまなものがありますが、不安、緊張、周囲への過剰反応、抑うつなどがストレスとなって過敏性腸症候群を起こすケースがよく見られます。なかには、ストレスがあることを自覚していないケースもあります。

ストレス以外の原因

感染性腸炎

過敏性腸症候群の発症では、精神的ストレスのほか、腸自体が過敏になって通常より反応しやすくなっていることも要因の一つとして考えられます。

腸が過敏になる理由として、感染性腸炎のあと、治療して腸の炎症が治ったように見えても、軽い炎症が続いていて、過敏な状態になっていることがあります。感染性腸炎の原因菌には、卵が主な感染源となるサルモネラ菌、鶏肉が主な感染源となるカンピロバクター赤痢菌などがあります。また、ノロウイルスに感染して感染性腸炎を起こしたことがある場合は、治ったあとも過敏性腸症候群を発症しやすいことがわかってきました。

ほかにも、腸内細菌のバランスの乱れも影響していると考えられています。腸内には、さまざまな腸内細菌が生息しています。抗生物質(抗菌薬)などの影響でそのバランスが乱れ、健康に有益な"善玉菌"が減り、有害な"悪玉菌"が増えると、悪玉菌の毒素によって腸が過敏になってしまいます。

一般に過敏性腸症候群が命に関わることはありませんが、生活の質を著しく下げる病気といえます。症状があって生活に支障がある場合は、消化器内科や心療内科を受診しましょう。

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過敏性腸症候群の食事療法 低FODMAP食

食事療法

過敏性腸症候群は、適切な治療によって治すことができる病気です。下痢や便秘はほかの病気で起こることもあるため、医療機関では、隠れている病気がないことを確認したうえで、過敏性腸症候群の治療を行います。

治療の柱は、生活習慣の改善、食事指導、薬物療法、心理療法です。なかでも最近注目されているのが、食事療法の低FODMAP食です。FODMAPとは、糖類のうち「単糖、二糖、オリゴ糖、多糖の一部」を指し、低FODMAP食とはこれらを控えた食事のことです。これらの糖類が多く含まれた食品が小腸で十分に吸収されないまま大腸に入ると、大腸内で発酵して、腹痛、下痢、おなかの張りなどを起こす原因になることが最近分かってきました。

控えたい食品には、「ソルビトールやマンニトール(単糖の一種)、果糖、乳糖が多く含まれている加工食品」「小麦、たまねぎ、カシューナッツやピスタチオ(果糖が多く含まれる)」、「牛乳などの乳製品(乳糖が多く含まれる)」「ひよこ豆、レンズ豆(オリゴ糖が多く含まれる)」などがあります。これらの食品をまったく食べないことを目指すよりも、無理のない範囲で頻度を減らすよう心がけましょう。

腹痛・下痢・便秘をすぐに改善する薬物療法

腸に効く薬

生活習慣の改善や食事指導を受けても症状が改善しない場合や、下痢や便秘の症状をすぐに改善したいという場合には、薬物療法が行われます。

薬には大きく分けて、「腸に作用する薬」と「脳に作用する薬」があります。腸に作用する薬としては、下痢を起こす患者さんに使われるセロトニン3受容体拮抗(きっこう)薬や、便を軟らかくする粘膜上皮機能変容薬(ルビプロストン)、腸の動きをコントロールして、下痢を抑制したり便秘を改善したりする消化管運動機能調節薬、腸内の環境を整える乳酸菌製剤、腸内の水分を調整する高分子重合体などが使われます。脳に作用する薬としては、抗うつ薬や抗不安薬が使われます。

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