私たちのはじまりは、「受精卵」というたった1つの細胞です。この受精卵が母親の子宮の中で分裂を繰り返しながら、さまざまな細胞に分かれ、臓器をつくり、体がひとりでにつくり上げられていきます。
精子が卵子に侵入することで受精卵となりますが、新しい命が生まれるのは、受精卵の中で、遺伝子情報をもつ父親の染色体と母親の染色体が合わさったときです。番組ではこの瞬間をとらえた映像を紹介しました。

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私たちのはじまりは、「受精卵」というたった1つの細胞です。この受精卵が母親の子宮の中で分裂を繰り返しながら、さまざまな細胞に分かれ、臓器をつくり、体がひとりでにつくり上げられていきます。
精子が卵子に侵入することで受精卵となりますが、新しい命が生まれるのは、受精卵の中で、遺伝子情報をもつ父親の染色体と母親の染色体が合わさったときです。番組ではこの瞬間をとらえた映像を紹介しました。
受精卵が生き続けるためには、まず子宮に着床しなければなりません。そこで大切なのが、受精卵が出すメッセージ物質、hCG。このメッセージ物質は、母親の卵巣などに働きかけます。すると受精卵がしっかり着床できるように子宮の内膜が厚くなり、生理(月経)が止まるのです。
hCGは、母親の血流に乗って全身をめぐります。実は、母親の血液中に含まれるhCGの量は、着床したかどうかを調べる検査に用いられています。妊娠判定の目安は、受精3週目(妊娠4週)頃で100mIU/mL以上とも言われています。血液中に含まれるhCGは、尿にも出てきます。尿による妊娠検査薬は、hCGに反応するようにつくられているのです。この妊娠反応は、正常な妊娠でない場合でも検出されるため、妊娠の可能性がある場合は、産婦人科で確認することが大切です。
妊娠の可能性があるときは、超音波診断装置で診断します。まず確認するのが心臓の動き"心拍"です。早い場合には、受精5週目(妊娠6週)に、超音波でその動きを確認できることもあります。超音波診断装置の進歩で、赤ちゃんがお母さんのお腹に宿ってから出産するまで、妊娠期間中のさまざまな様子が映像で確認できるようになりました。
その後、手足の形だけでなく、体の中ではさまざまな臓器がつくりあげられていきます。とくに受精7週目から受精12週目頃に多くの臓器がつくられ始め、その後、臓器はさらに成熟していきます。
今回、番組では、主に発生学で用いられる「受精齢」を使って受精卵・赤ちゃんの成長の経過を紹介しています。受精した日が受精第1週1日目。この日は、産婦人科などでよく使われている「月経齢」であらわすと、妊娠2週0日に相当します。赤ちゃんがお母さんのお腹の中で育つ期間を「10月10日(とつきとおか)」ということがありますが、これは「月経齢」であらわした期間です。これは、お母さんの最後の生理(月経)がはじまった日(最終月経日)=妊娠0週0日から数えています。