たんぱく質と食物繊維で血糖値を改善
糖尿病の食事療法で今、たんぱく質と食物繊維が注目されています。どちらも十分にとることで血糖値を上げない効果が期待できるのです。
たんぱく質は血糖値にどう関係するのでしょうか?
私たちが体を動かすと、筋肉がブドウ糖を消費します。ところが、たんぱく質が不足して筋肉が減ると、ブドウ糖の消費が減って血糖値が上がってしまうのです。また、筋肉には余分なブドウ糖を貯蔵する働きもありますが、筋肉が減るとブドウ糖を十分貯蔵できず、血糖値が上がってしまいます。
高齢者は、食事の量が減ってたんぱく質が不足しやすく、加齢も影響して筋肉が衰えやすいので、特に注意してください。
食物繊維の効果はどうでしょうか。食事でとった糖質は体内でブドウ糖に変わり、小腸から吸収されますが、食物繊維はそのブドウ糖の吸収を遅くし、血糖値の急激な上昇を抑えてくれます。また、食物繊維は腸内細菌のバランスを良くします。それによりインスリンが効きやすい体質になることも最近わかってきました。糖尿病の改善には1日20g以上の食物繊維をとりましょう。
たんぱく質と食物繊維をとれるおすすめの食品
たんぱく質
たんぱく質と食物繊維を簡単にとるためには、次のような食品がおすすめです。
- 缶入りツナ・缶入りサバ・魚肉ソーセージ・豆腐・厚揚げ・枝豆・サラダ用チキン
など
魚や大豆製品は、動脈硬化を防ぐ油(不飽和脂肪酸)を多く含んでいます。牛肉や豚肉などもたんぱく質が豊富ですが、動脈硬化につながる油(飽和脂肪酸)が多いため、とりすぎないほうがいいのです。サラダ用チキンは脂肪がとても少ないのであまり心配いりません。また、これらはコンビニなどで買いやすいことも利点です。
食物繊維
- ブロッコリー・ほうれん草・オクラ・モロヘイヤ・ごぼう・めかぶ、・ひじき・もずく・えのき・しいたけ・切り干し大根
など
食物繊維は野菜、海藻、きのこなどに多く含まれています。オクラやモロヘイヤなどのネバネバする食品には、水に溶けやすい「水溶性食物繊維」が豊富で、どろっとしたゼリー状の成分が糖質をくるむようにして腸内を運んでいきます。ごぼうや切り干し大根などには、水に溶けにくい「不溶性食物繊維」が豊富です。一緒にとった糖質の吸収が遅くなります。
組み合わせて小鉢に!
上で紹介した たんぱく質と食物繊維の豊富な食品を、手間をかけずに、さっと小鉢にして組み合わせ、いつもの食事に1つでも2つでもプラスしてみてはいかがでしょう。組み合わせは幾通りもあります。
焼き厚揚げ + めかぶ
香ばしくて歯ごたえがあります。お好みで一味唐辛子を加えてください。厚揚げはトースターでも焼けます。
豆腐 + もずく・オクラ
とても簡単で、食欲のないときにもおすすめです。
サラダ用チキン + ごぼうサラダ
これも簡単に作れます。サラダ用チキンは、ほぐしたものが使いやすいでしょう。
魚肉ソーセージ + ブロッコリー・枝豆
少しの油で炒めます。レンジの加熱でもかまいません。枝豆とブロッコリーは冷凍のものも使えます。少量のイタリアンドレッシングで味付け。お好みでチューブ入りのにんにくを加えてもよいでしょう。
ツナ + ブロッコリー・枝豆
魚肉ソーセージの代わりにツナを使いました。
サバの水煮 + 市販のわかめスープ(半分程度)
ごま油を数滴たらしてください。わかめを足すと食物繊維が増えます。
ただし、次のことに注意してください。
- 食べ過ぎない
- 油や塩分をとり過ぎない
- 食が細い人は、小皿をプラスするのではなく、主食・たんぱく質・食物繊維のワンプレートにしてもよい
- 重い腎臓病の人では、たんぱく質を制限することがあるため、主治医などと相談する
主食でも食物繊維を増やそう
粘りの強い「もち麦」を加えている
主食でも食物繊維を増やすコツがあります。白米だけのご飯でなく、大麦などを加えて食べれば食物繊維をより多くとれます。糖質制限のためにご飯をまったく食べないという人もいますが、それでは栄養バランスが崩れやすくなってしまいます。
また、全粒粉のパンは白いパンより食物繊維を多く含みます。そもそもパンや麺類は小麦などを粉にして作るため、穀物を粒のまま食べるとき(例:オートミール)より、血糖値が速く上がることも知っておいてください。
よくかんで楽しくゆっくり食べることも、血糖値を上げないために大切です。
※食品と献立は管理栄養士の國枝加誉さんにご協力いただきました。