動脈硬化の予防に役立つ「ザ・ジャパン・ダイエット」 ポイント・基本の献立例

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「ザ・ジャパン・ダイエット」の基本

動脈硬化予防には、食生活の見直しが不可欠です。日本動脈硬化学会では、動脈硬化予防に役立つ食事として「ザ・ジャパン・ダイエット」を勧めています。これは、伝統的な和食のよい点を取り入れ、さらに減塩などの工夫をした食事のことで、和風以外の料理や味付けにも応用できます。

ザ・ジャパン・ダイエット

動脈硬化予防のために、5つのポイントを心がけます。

①控える食品

脂身の多い肉や動物脂、鶏の卵、砂糖や果糖を含む清涼飲料や菓子、アルコール飲料をなるべく控えます。
動物性の脂肪に多く含まれる飽和脂肪酸は、悪玉と呼ばれるLDLコレステロールを増やします。また、砂糖や果糖を多く含む食品やアルコール飲料は、中性脂肪が増える原因となります。それだけでなく、いずれもエネルギーが高く肥満にもつながりやすい食品なので、とる量を控えましょう。

②積極的にとる食品

魚、大豆・大豆製品、緑黄色野菜を含めた野菜、海藻、きのこ類、こんにゃくを積極的にとりましょう。

さば・いわし・さんまなどの青魚

魚、特にさば・いわし・さんまなどの青背の魚に多いEPAやDHAなどn-3系多価不飽和脂肪酸は、中性脂肪を上がりにくくします。積極的にとりたい「よいアブラ」です。大豆製品に多いn-6系多価不飽和脂肪酸は、LDLコレステロールを減らします。大豆製品や野菜、海藻、きのこ類、こんにゃくには水溶性食物繊維が豊富です。これには、コレステロールの小腸での吸収を抑えたり、便として排泄されるのを促したりという、よい働きがあります。

記事「飽和脂肪酸・不飽和脂肪酸とは?適切な摂取量について」

緑黄色野菜

また、緑黄色野菜には、ビタミン・ミネラルも豊富に含まれています。

ザ・ジャパン・ダイエットのポイント

③主食(ごはん・パンなど)

主食は精製した穀類を減らして、未精製の穀類や雑穀・麦を増やしましょう。雑穀や麦にも、水溶性食物繊維が多く含まれます。

④甘味の少ない果物と乳製品を適度にとる

果物には水溶性食物繊維やビタミンCが豊富で、乳製品は骨をつくるカルシウムやビタミンDが豊富なため、いずれもぜひとりたい食品です。
ただし、食べ過ぎには注意が必要です。甘い果物は糖質を多く含むため、糖質が少なめな酸っぱい果物・みかんなどのかんきつ類やキウイなどを選ぶようにします。乳製品は動物脂を含むため、とりすぎないようにし、生クリームなどは避けるとよいでしょう。

⑤減塩して薄味にする

伝統的な和食は食塩が多く使われており、血圧を上げる原因になります。だしや薬味などを使うなど味付けの方法に工夫して薄味に慣れるようにしましょう。

電子書籍「ザ・ジャパン・ダイエット」をダウンロードする方法

日本動脈硬化学会のホームページ
※NHKサイトを離れます

「一般の皆様へ-動脈硬化を予防しよう-」をクリックすると、電子書籍「ザ・ジャパン・ダイエット」が無料でダウンロードできます。
ただし、特に腎臓病、動脈硬化症の治療中の人は、医師の指示に従った食事療法を行ってください。また、高齢者の場合も、かかりつけ医などに食事について指導・アドバイスを受けている場合は、それに従うようにしてください。

食品の目安量

電子書籍「ザ・ジャパン・ダイエット」では、動脈硬化に直結する脂質異常症のうち、LDLコレステロールや中性脂肪が高い人について、適正な摂取エネルギー量別に、1日にとることが望ましい食品の目安量を示しています。
たとえば、LDLコレステロールが高い人で、医師や管理栄養士から1日の摂取エネルギー量を1800kcalと指示されている場合、以下のようになります。

高LDLコレステロール 食品群の目安量

献立の基本形

献立の基本形

ザ・ジャパン・ダイエットの献立は、主食、主菜、副菜2品、汁物の5品が基本です。1日3食、毎回このようにバランスよく食べるのが理想的です。外食のときや総菜を買うときも、この組み合わせを意識するようにしてください。

  • 主食のごはん・パン・麺類は、未精製のものや、雑穀、麦を増やすようにします。ごはんの場合は、玄米を使ったり、白米と押し麦を混ぜた麦ごはんにするとよいです。麺類は、食物繊維が多いそばがおすすめです。
  • 主菜は、たんぱく質をしっかりとるために欠かせません。魚や脂身の少ない肉、大豆製品などを3食でまんべんなく食べられるように、メニューを決めましょう。
  • 副菜は、野菜・海藻・きのこ類・こんにゃくを取り入れます。毎食少なくとも2皿分が理想的です。
  • 汁物は、無理に取り入れる必要はありませんが、具だくさんにすれば、副菜の代わりになります。ほかのおかずとの相性で決め、食塩が多くならないように注意してください。
  • 果物や乳製品は、デザートや間食で適宜とりましょう。

脂質異常症を改善する献立例

例として、LDLコレステロールが高く、1日の摂取エネルギー量を1800kcalとする場合の1日3食の献立例を紹介します。

朝食

脂質異常症を改善する朝食

  • 主食:プロセスチーズをのせたライ麦パン
  • 主菜:ゆで豚
    塊肉をゆでたものです。休日などに作り置きしておくと、朝、切るだけで済みます。画像のソースは粒マスタードですが、お好みのソースでかまいません。
  • 副菜1:付け合わせのゆでたキャベツ
  • 副菜2:ブロッコリー・トマト・レタスのサラダ
    ドレッシングは、少量のマヨネーズをのばしたものです。エネルギー量や食塩量を減らせます。
  • デザート:ブルーベリージャムをのせたヨーグルト
  • コーヒー

昼食

脂質異常症を改善する昼食例

  • 主食:とろろそば
  • 主菜:納豆
    主食のそばと混ぜてもよいです。
    ※注意:医師からワルファリンを処方されている場合には、納豆を食べてはいけません。別の食品を選んでください。
  • 副菜1:大根・こんにゃく・昆布巻きのおでん
  • 副菜2:小松菜と干しえびのあえ物
  • デザート:オレンジ1/2個

夕食

脂質異常症を改善する夕食の例

  • 主食:麦ごはん
    白米と押し麦を7:3で混ぜて炊いたものです。
  • 主菜:焼いたさんま
  • 副菜1:にんじん・パプリカ・まいたけのラタトゥイユ風
    具材を皮ごと使い、白ワイン、あるいは日本酒、またはトマトピューレ(ホールトマトでもよい)で煮ます。
  • 副菜2:かぶときゅうりの酢漬け
  • 汁物:豆腐とわかめのみそ汁
  • デザート:キウイ1個

中性脂肪が高い場合

中性脂肪が高い場合、LDLが高い場合との大きな違いは、1つは鶏の卵と乳製品をもっと多くとることができます。ただし、果糖を減らす必要があるため、果物の量は少なくなります。同じく、1日の摂取エネルギー量を1800kcalとする場合の1日3食の献立例です。

朝食

中性脂肪が高い場合の朝食の例

飲み物はコーヒーにかえて、乳製品・牛乳にします。バランスを考えて、ヨーグルトは夕食に回します。

昼食

中性脂肪が高い場合の昼食の例

鶏の卵を1日40gまで食べられるので、ゆで卵(Sサイズ)を1個とれます。果物は約半分となるため、オレンジが1/4個に減ります。

夕食

中性脂肪が高い場合の夕食の例

デザートに、ブルーベリージャムをのせたヨーグルト。キウイが1/2個に減ります。

詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2021年10月 号に掲載されています。

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