動脈硬化とコレステロール
血液検査でわかるコレステロール値

動脈硬化はコレステロールという脂質の一種が血管の壁にたまることで起きます。コレステロールは動脈硬化の主犯と言っても過言ではありません。脂質の値は特定健診などの血液検査でわかります。
検査項目のうち、LDLコレステロールは「悪玉」とも呼ばれ動脈硬化の最大の危険因子です。HDLコレステロールは「善玉」とも呼ばれ動脈硬化を防ぐ働きをします。中性脂肪はコレステロールとは別の脂質ですが、やはり動脈硬化を促進します。
non-HDLコレステロールが脂質異常症の診断基準に
さらに、最近では「non(ノン)-HDLコレステロール」という値を特定健診でチェックすることがあります。non-HDLコレステロールの値は脂質異常症の診断基準にも加わりました。
「脂質異常症の原因」についてはこちら
「動脈硬化のタイプ、起こりやすい人の特徴」についてはこちら
non- HDLコレステロールとは?

non-HDLコレステロールは"総悪玉"とも言えるものです。血液中にはLDLコレステロールとは別の悪玉が潜んでおり、その別の悪玉を含めたすべての悪玉の量を表すのが、non-HDLコレステロールの値だからです。
通常、LDLコレステロール以外の悪玉はごくわずかです。しかし中性脂肪の値が高い人ではその量が増え、動脈硬化にも悪影響を及ぼします。なぜなら、別の悪玉は中性脂肪と一緒になって血液中に存在するからです。したがって、中性脂肪が高い人などの場合は、LDLコレステロールだけではなく、non-HDLコレステロールの値もチェックすることが望ましいのです。
また、LDLコレステロールは空腹時に測らないと正確な値の出ない場合があるのに対し、non-HDLコレステロールは空腹時かどうかに左右されずに測定できることも利点です。
脂質異常症の診断
non-HDLコレステロールは170mg/dL以上で脂質異常症と診断されます。LDLコレステロールに加えnon-HDLコレステロールの値も考慮することで、脂質異常症をよりきめ細かく治療できます。

なお、悪玉LDLコレステロール、善玉HDLコレステロール、中性脂肪は、それぞれ140mg/dL以上、40mg/dL未満、150mg/dL以上で脂質異常症と診断されます。
LDLコレステロール120mg/dL~139mg/dLを境界域といい、動脈硬化のほかの危険因子が多い人はこの値でも注意する必要があります。