新型コロナウイルスの流行で増加する“コロナ太り” 原因と体への影響は?

更新日

メタボリックシンドローム糖尿病高血圧太ってきた全身

ステイホームによる運動不足で肥満が増える

ステイホームによる体重の変化

新型コロナウイルスの流行により、外出を控えるようになり、家で過ごす時間が増えています。スマートフォン用の健康アプリの登録者を調査したところ、およそ57%の人で体重増加が見られました。その原因として考えられるのは「運動不足」です。

コロナ前と後での生活の変化

会社員の濱野俊寿さんは、以前から健康診断で体重や血糖値、中性脂肪の値が高いことが指摘されていました。そこでコロナ前の生活では「ご飯を半分残す」「摂取カロリーに気をつける」「週に5日出勤する」「階段を使うようにする」「積極的に歩く」など生活習慣の改善に取り組みました。しかし、新型コロナウイルスの流行により、ステイホーム生活に。「ご飯を残すのをやめる」「間食をするようになる」「自粛期間中は完全に在宅勤務」「その後も週に1~2回は在宅勤務」するようになると、体重は5kg以上も増えてしまいました。

このように、通勤で歩いていた人が在宅勤務することで運動不足になり、体重増加につながることも多く、また、高齢者や主婦などでは感染が心配で外出を控えるなど、ますます歩かなくなり運動量が減ってしまうケースも増えています。

ストレスが肥満の原因になる

肥満の原因がストレスが関係する

ステイホームをしていると、食べ過ぎてしまったり、間食をしてしまうようになってしまうのは「ストレス」が関係していると考えられています。脳には「お腹がすいた。食べろ」と命令を出す摂食中枢と「お腹いっぱい。食べるな」と命令を出す満腹中枢があります。摂食中枢を刺激するのはドパミン、満腹中枢を刺激するのはセロトニンという神経伝達物質です。ストレスや不安を感じると「セロトニン」が分泌されにくくなります。その結果、満腹感を得られなくなり、食べ過ぎてしまうのです。
さらに、ストレスで満たされない欲求を食べることによる満足感で穴埋めすることもあります。これを「代償性摂食」といいます。

肥満だと新型コロナウイルス感染症が重症化する

肥満がある人が新型コロナウイルスに感染すると、重症化しやすいことがわかっています。これはサイトカインストーム(免疫の暴走)が関係しています。ウイルスや細菌が体内に侵入したとき、それと戦い、排除しようとするのが免疫細胞です。ウイルスを攻撃するために免疫細胞から「サイトカイン」が分泌されます。肥満がある人では、免疫が活発に活動するようになり、正常な細胞まで攻撃し全身の臓器が傷ついたり、血栓ができやすくなります。

また、新型コロナウイルスが体内に入る際には、「アンジオテンシン変換酵素2(ACE2)受容体」に付着して、細胞の中に侵入すると考えられています。ACE2受容体は脂肪細胞に多く、肥満があるとコロナウイルスが体内に侵入する入り口が多くなるため、悪化しやすくなるのです。
また、おなかや胸回りについた脂肪によって、肺が広がりにくくなり呼吸困難を起こしやすいことも新型コロナウイルス感染症が悪化する原因のひとつです。

詳しい内容は、きょうの健康テキスト 2021年2月 号に掲載されています。

きょうの健康テキスト
テキストのご案内
※品切れの際はご容赦ください。
購入をご希望の方は書店かNHK出版お客様注文センター
0570-000-321 まで
くわしくはこちら

この記事は以下の番組から作成しています

  • きょうの健康 放送
    コロナ太りにご用心!「肥満は万病の元」
  • きょうの健康 放送
    コロナ太りにご用心!「ステイホームの落とし穴」