放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

米CNNワールドワイド,新社長決まる

アメリカのターナー・ブロードキャスティング・システムは11月29日,傘下のCNNワールドワイド社の新社長にNBCユニバーサルの前CEOジェフリー・ズーカー氏が2013年1月に就任すると発表した。CNNワールドワイドは,海外市場での業績は好調だが国内のニュース専門チャンネルCNNの不振が続き,ライバルの保守系チャンネルFOXニュースやリベラル派のMSNBCに視聴率で水をあけられている。ズーカー氏は敏腕プロデューサーとして知られ,経営者としての評価も高く,ライバル2社と比較して“中道”とされるニュースチャンネルCNNの復活に向けた手腕が注目される。

FCC委員長,連邦航空局へ
電子機器使用の緩和を進言

FCC(連邦通信委員会)のジェナカウスキー委員長は12月6日,航空運輸の安全を所管するFAA(連邦航空局)に対し,航空機内での電子機器の利用制限を緩和するよう提言する文書を送った。それによると,現在の規則が適用されたのは多くの電子機器が生まれる前の2006年で,今ではタブレット端末や電子書籍リーダーが広く普及したことから,離着陸時を含めて規制を緩めるべきだとしている。パイロットについては操縦席で分厚い航空マニュアルの代わりにiPad版を常時使用することが最近認められている。提言に対してFAAはコメントしていない。

米,携帯端末ニュースの愛読者は 男性,若者,大卒者

アメリカの調査機関ピュー・リサーチセンターの「優れたジャーナリズムのためのプロジェクト」は12月11日,メディア企業のエコノミストグループと共同で携帯ニュースの利用実態に関する調査報告を発表した。それによると,スマートフォンやタブレット型情報端末所有者のうち,男性は4割以上が毎日ニュースを携帯端末で読んでいるのに対し,女性は3割程度にとどまっている。また,年齢や学歴別では,若者や大学卒業者が携帯端末をニュースの主要な情報源として利用する傾向が強いことも明らかになった。

ジャーナリストの殺害事件,世界的に増加

ニューヨークに本部のあるCPJ(ジャーナリスト保護委員会)は12月18日,2012年に世界で殺害されたジャーナリストが67人(発表日現在)に達し,過去最悪の水準にあることを明らかにした。犠牲者のおよそ半数は職務が理由で故意に殺害され,その多くは政治ジャーナリストだという。国別の犠牲者数では内戦の続くシリアが28人と最も多く,ソマリアが12人,パキスタンが7人で,地方でのジャーナリスト襲撃事件が頻発したブラジルが4人などとなっている。

米ニールセン,ラジオ調査のアルビトロンを買収

アメリカの視聴率調査会社最大手のニールセンは12月18日,業界9位のアルビトロンを12億6,000万ドル(約1,070億円)で買収すると発表した。両社はこれまで主に,ニールセンがテレビ視聴率,アルビトロンがラジオ聴取率の調査を行い“棲すみ分け”
をしてきた。ニールセンのD.カルホーンCEOは「アメリカのリスナーは1日平均2時間ラジオを聞いており,アルビトロンの蓄積を活用できることは重要だ」と述べた。今後ニールセンは,テレビ・ラジオのデータに加え,最近注目されているオンラインやモバイル上のデータの収集と分析に力を入れ,ネット時代の事業者に有用な情報を提供していくとしている。

アルジャジーラ,米カレントTVを買収

中東カタールのテレビ局,アルジャジーラは1月2日,アメリカのゴア元副大統領らが運営するケーブルテレビ局カレントTVを買収したことを明らかにした。カレントは2005年に設立されリベラルな内容のニュース等を放送していたが,視聴率は低迷していた。一方,アルジャジーラはアルカイダの声明を放送するなどアラブに偏り過ぎているなどの批判もあったが,2011年の『アラブの春』の一連のニュースで報道機関としての評価が高まっていた。今後,同社はニューヨークとドーハにスタジオを置き,「アルジャジーラ・アメリカ」の名前で米国内への浸透を図っていくことにしている。