放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

豪,ラジオ局の「いたずら電話」で死者

オーストラリアのラジオ局が12月4日,イギリスのウィリアム王子の妻がつわりで入院していた病院に,イギリス女王などを装って電話をかけ,容体などを聞き出して放送,その3日後に電話を取り次いだ看護師が自殺していたことが分かった。この問題は,シドニーのラジオ局「2Day FM」の男女の司会者2人が,エリザベス女王やチャールズ皇太子の声色を使って,ウィリアム王子の妻キャサリン妃の容体などプライベートな情報を聞き出した上,そのやり取りなどをおよそ2分間にわたり放送に流したものである。放送後,視聴者や世界各国から倫理上の強い批判が集まる中,7日にはこの電話を担当看護師に取り次いだ46歳の当直看護師が,寮の部屋で死亡しているのが見つかった。看護師は偽電話と分かってから当惑しふさぎこんでいたと言われ,警察当局は責任を感じて自殺した可能性が高いと見ている。

中国,ネット管理一段と強化へ

中国の全人代常務委員会は12月28日,ネット利用者に実名でのユーザー登録を義務付けることなどを定めた「ネット情報保護強化に関する決定」を行った。決定によると,個人情報の違法な収集・流通やそれに基づく詐欺などの犯罪を抑止するため,ネット事業者に対してユーザーの個人情報の厳正な管理を求めると共に,事業者はユーザーに対して実名による登記を要求しなければならないとしている。中国では個人がネット事業者とユーザー契約を結ぶ際,匿名で行うことが多いが,最近ネット上で匿名による当局者の汚職の告発が相次いでいることから,今回の措置の真の目的は,こうした告発を抑えることにあると見られている。

韓国,大統領選開票速報でKBSが視聴率トップ

韓国では12月19日に第18代大統領選挙が行われたが,開票速報を行った地上放送3社(KBS,MBC,SBS)の中で, 視聴率では公共放送のKBS1が最も高かった。視聴率調査会社TNmSによると,KBS1は14.6%で1位,SBSが9.5%で2位,MBCが4.8%と続いた。

韓国,YTNが大統領当選者の予測を誤り“陳謝”

韓国のニュース専門ケーブルチャンネルYTN は12月19日夜,大統領選挙の開票速報の際に当選者の予測を誤り,結果の判明後に陳謝した。YTNは19日午後6時,大統領選挙の当選者予測調査を発表し,この中で,民主統合党のムン・ジェイン(文在寅)候補が49.7~53.5%,セヌリ党のパク・クネ(朴槿惠)候補が46.1~49.9%の票を得るとの予測を示した。しかし,実際にはパク候補の得票は予測の上限値を大きく上回り,パク候補の当選が決まった。YTNは予測が誤っていたことについて,番組の中で「世論調査機関の韓国リサーチに依頼した調査結果をもとに報道した。結果的に予測が正確でなく,視聴者の混乱を招いたことをおわび申し上げる」と述べ,陳謝した。

インド,政府の放送事業参入禁止を再度勧告

放送の規制機関を兼ねるTRAI(インド電気通信規制庁)は12月28日,政府(連邦・州)及びその部局,またはその傘下の企業による放送事業やテレビチャンネル配信事業への参入を禁じる勧告を,再び情報放送省に提出した。これは情報放送省が11月末,同様の内容を持つ2008年のTRAI勧告への再検討を打診していたことへの回答である。TRAIは勧告の中でさらに,許可が既に与えられているか実施されている該当事業については連邦政府が撤収の道筋を明らかにすべきだとしている。今回のTRAI勧告を情報放送省が受け入れた場合,現在,幾つかの州政府が運営しているテレビチャンネルや,タミルナドゥ州政府が所有するケーブルテレビの大手配信会社Arasu Cable TV Corporationなどが深刻な影響を受けると見られている。

パキスタン,PTVが英語チャンネル開局へ

公共放送PTV(パキスタンテレビ放送協会)のトップであるミルザ専務理事は12月21日,年明けの1月中にもPTV初の英語チャンネルを開局すると表明した。パキスタンでは,商業事業者による2 つの英語チャンネルDawn NewsとExpress24/7が先行しており,公共テレビによる英語チャンネル立ち上げがかねてより課題となっていた。