放送研究と調査(月報) - 目次

各国の「放送界の動き」に関する情報を掲載しています。

放送界の動き

韓国,KCC前委員長を収賄容疑で逮捕

韓国の大検察庁(最高検察庁)は4月30日,放送通信委員会(KCC)のチェ・シジュン(崔時仲)前委員長を,委員長就任以前に建設工事の許認可をめぐるあっせん収賄をした容疑で逮捕した。イ・ミョンバク大統領の側近だったチェ前委員長は1月,部下による金品の授受や国会議員への現金贈与などの不祥事疑惑の責任を取る形で委員長を辞任していた。チェ前委員長は金を受け取った事実を認めており,イ・ミョンバク大統領が当選した2007年の大統領選挙の際,世論調査や選挙動向の分析などにその金を使ったと説明しているという。

台湾,大手メディアの事業拡大に関する公聴会で反対論

台湾の国家通信放送委員会(NCC)は5月7日,言論の多様性確保の点から議論を呼んでいる,大手メディアグループのケーブルテレビ事業買収問題で公聴会を開催した。この事案は,中国テレビや中天テレビを運営する中国時報グループを買収した食品事業者の旺旺グループが,2010年にケーブルテレビ大手の中嘉網路の買収でも合意したものである。NCCでは旺旺の蔡衍明(さい・えんめい)オーナーを招いて公聴会を開催したが,席上,蔡氏が早急な買収承認を求めたのに対し,台湾記者協会会長が,旺旺グループの各メディアが蔡オーナーを称える記事を載せたり,オーナーと意見が違う編集者を解雇したりするなど「公器濫用」が目立つとしてケーブルテレビ事業買収の却下を求めるなど,有識者から反対意見が相次いだ。

香港,地上局の五輪中継なしに

香港では,ロンドン五輪の中継について,中継権を保有するケーブルテレビ事業者のi-Cableと地上局のTVB・ATVの間で合意が得られず,地上局での五輪中継は行われない見通しとなった。これは5月29日,i-Cableの会長が明らかにしたもので,今後香港市民はロンドン五輪の中継を見る際,インターネットとスマートフォン以外では無料での視聴が出来ないことになる。i-Cableではもともと,ロンドン五輪までに地上テレビ局の免許を取得する方針で,2010年には当局に免許申請を行っていたが,通信事業者のCity TelecomとPCCWもほぼ同じ時期に申請をしたため,全て認可すると2局が5局に増えることから,香港政府は対応に苦慮し2年以上も結論を先延ばしにしてきた。

NZのTVNZ 7,7月からタイムシフトチャンネルに

ニュージーランドの政府所有放送局TVNZは5月3日,政府補助金の打ち切りで6月末に放送を終えるデジタル専門チャンネルTVNZ 7の周波数帯を,同局の地上無料テレビTV ONEのタイムシフト(時差放送)チャンネルとして引き続き運用する,と発表した。TVNZ 7をめぐっては,良質なドキュメンタリーなどを評価する視聴者から放送継続を求める抗議活動が起きている。

インド,電気通信規制庁の新長官が就任

通信と放送の規制機関TRAI(インド電気通信規制庁)の新長官に,5月14日,ラフル・クッラル(Rahul Khullar)氏が就任した。新長官は就任直前まで商務次官の職にあり,シン首相の蔵相時代(1991-93)には蔵相秘書官を務めた。

スリランカ,新地上TV局Hiru TV放送開始

デジタル放送とHD放送が可能な設備を備えたスリランカの新しい地上テレビ局Hiru TVが,5月23日,放送を開始した。Hiru TVはFM放送大手のABC(Asia Broadcasting Corporation)Media Networkが,今回初めてテレビ事業に参入して運営する総合娯楽チャンネルである。スリランカは地上デジタルテレビ放送の方式にDVB-T2を採用,2017年の移行を目標にしている。

アルジャジーラ,仏でスポーツ局開設

中東カタールの衛星ニュース局アルジャジーラは,スポーツ専門チャンネルをフランスで開設し,6月1日から放送を開始した。「BeIN Sport1」と名づけたこのチャンネルは,月間の契約料が11ユーロ(約1,100円)で,アルジャジーラでは契約増加にはずみをつけるため,6月8日から始まるサッカーの「UEFA欧州選手権2012」をはじめ,,ロンドン五輪のハンドボール,バスケットボール,テニスなどの放送権も獲得している。